2005年8月分の感想
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聖霊狩り 呪われた都市  (著:瀬川貴次 イラスト:星野和夏子)  集英社コバルト文庫
 早紀子と萌は御霊部に行くという裕樹に便乗して東京に行くことにする。
 御霊部の事務所で柊一に再会し、早紀子と萌は翌日、裕樹や東京に転校した友達、 美也や柊一と柊一の同僚である雅行とともに鎌倉見物に出かけるのだが……
 前巻に引き続き、伏線を張っていっている感じです。
 早紀子ちゃんがいろいろを引き寄せる体質になってしまったようですね。 周りにはいろいろを退治できる人がいるからいいんでしょうけど。

 これからの見所は、早紀子ちゃんのお相手と前巻から召喚能力が使えなくなってしまっている美也と裕樹がどうなるかだな。
 早紀子ちゃんの相手はともかく、召喚能力の方は事件に大きく関わってきそうな感じですね。
評価:3+  2005/08/04読了

花散る頃の殺人  (著:乃南アサ新潮社
 警視庁機動捜査隊、音道貴子。32歳、バツイチ。  刑事の捜査と日常の短編連作。
 短編連作は読みやすくて好きです。これは同じ主人公で長編物も出ているんですよね〜。 シリーズ物はできるだけ一作目から順番に読む主義なのでちょっと悩んだんですが、借りちまったものはしょうがない。読み終えます。

 「あなたの匂い」と表題作の「花散る頃の殺人」が印象に残りました。
 「貴女の匂い」はひょっとしたことで貴子のゴミが誰かにひろわれていることが発覚してしまう話で、気持ち悪さが何とも言えなかった。
 だしたゴミをひろわれて、捨てたはずの手紙がつなぎ合わされて返ってきたりしたら・・・。しかもそれを近所の人に拾われたりしたら・・・。 貴子のようにひとり暮らしをしている女性にとってはとても怖いことだと思う。
 「花散る頃の殺人」は切なかった。
評価:4−  2005/08/12読了
← →『未練

未練 (著:乃南アサ) 新潮社
 警視庁機動捜査隊、音道貴子。33歳、バツイチ、独身。
 刑事の捜査と日常を描く6つの連作短編。
 『花散る頃の殺人』の続きですね。本当は『花散る頃の殺人』とこの『未練』の間にもう一冊『鎖』という題名の長編があるようです。 その『鎖』の後の話となっているらしいのが2番目の「山背吹く」という話で、知らずに読んだ私は貴子がいきなり刑事生活を離れていてびっくりしました。 この話の最後で貴子は刑事生活に戻ることになりますが。
 この「山背吹く」は微妙かも知れませんが、今回は貴子の私生活の話が多かった気がします。表題作の「未練」や「よいお年を」など。
 「よいお年を」は貴子が里帰りし、母親とともに正月の買い物に出かけ、母親に振り回されまくる話ですが、ラストの方のシーンで 酔っぱらいをやっつけるシーンなどかっこいいな〜と思いました。作中の貴子の母親は“恥ずかしいんだから"なんて言ってますけど。
評価:4  2005/08/16読了
花散る頃の殺人』← →

夜叉の恋 花咲かす君  (著:山本瑤 イラスト:たむら純子)  集英社コバルト文庫
 前作から数ヶ月、葉月の元を古の一族である夜薙王が再び訪れた。聞くと、森に結界が張られ、本体である桜の木に戻れなくなったという。
 森に出かけた葉月と夜薙王はそこで少年と人ならざる気配を持った美女に出会う。
 前作である『花咲かす君』はだいぶ前に読了し、続きが出ていることは知りつつも、 私が行ったときに図書館になかったので読むのはのばしのばしになってました。
 まあ、そんないきさつはともかく。
 
 鬼を粛正する秘密結社(笑)、天真水穂流の登場。ちょっとありがち展開に感じました。

 天真水穂流のひとりで葉月と同じ力を持つ飛翔と飛翔とともにあることを選んだ藤の木の神、穂波。
 飛翔に恋してしまった彼女がどうなるかというのが本筋だった気がします。
 他にも、前半のエピソードとかいろいろあるんですけどね。飛翔と葉月の出会いとか。あっ、べつにここには恋愛感はまったく感じませんでしたが。

 ストーリーは好きな方向性なので、問題はないんですよね。
 古岩の神様、了庵さんがあそこで死んでしまったのは残念でした。後で考えても、あそこで殺す必要があったのか?と思うんですが。
 あと、季節感のある言葉がないのと前半は葉月の学校シーンが出てこないので、夏休み?とか思ってしまってました。
評価:3+  2005/08/23読了
← →『水に棲む鬼 花咲かす君

水に棲む鬼 花咲かす君  (著:山本瑤 イラスト:たむら純子)  集英社コバルト文庫
 9歳の時から天真水穂流で軟禁状態で暮らし、巫女をしている少女、柚木千沙子。彼女はあることがきっかけで天真水穂流を飛び出した。 そして彼女は鎌倉に住む葉月の元に姿を現した。
 さてさて、今回の季節は冬のようです。今回は季節感のある言葉があったのでそうなのねと思いました。まあ、本編にそれほど関係のあることでもないですが。

 う〜ん、急展開。というかいきなりそんな中枢部の人が出てきちゃってよいのか?と思いました。結末が来るのが早そうです。

 新キャラは紹介文にも載せた柚木千沙子ちゃん(現在は16歳)と表紙イラストにも載っている沼の神、天風丸さん。千沙子と葉月ではそれぞれ特別な力があるのに、葉月は普通に女子高生をし 、一方の千沙子は特殊な環境に生きる。千沙子の関心はもっともなことでしょうね。まあ、彼女が天真水穂流を飛び出したのにはもっと大きな理由があり、本編に大きく関わってきますが。 ネタバレ→千沙子は巫女として花鎮めの大祭に参加し、始祖神イザナミのよりしろとなり死亡するという未来がある
 天風丸はあまりにもひょうひょうとしていて何とも言えないですが。あとがきで言われているようにお願い事はしたくないなあ・・・。
 前作では自分の気持ちを認めきれずに、本体にも戻れないという失態をおかした夜薙王はどうやら自分の気持ちと折り合いをつけたようで、さりげなーく葉月とラブラブです。

 さてさて、結局、天真水穂流の本拠地で地元でもある熊野に帰ってしまう千沙子。次巻の舞台は熊野なんでしょうねえ、修羅場だろうなあ。
評価:3+  2005/08/24読了
夜叉の恋 花咲かす君』← →『花鎮めの巫女 花咲かす君

花鎮めの巫女 花咲かす君  (著:山本瑤 イラスト:たむら純子)  集英社コバルト文庫
 千沙子は天真水穂流の巫女として始祖神イザナミに捧げられようとしていた。そんな千沙子を救い出そうと決心した葉月は天真水穂流を脱会した飛翔とともに熊野に向かう。 しかし頼みにしている夜薙王は鎌倉にとどまったまま。熊野では七年に一度行われる花鎮めの大祭への準備が進んでいた。
 おぉ、クライマックス!!
 なんだか、王道クライマックスという印象を受けました。最後に愛は勝つ!というか。
 ん〜、でも始祖神なのだから、もうちょっと歯ごたえがあっても良さそうな気もします。倒したのでなく一時退却し、 もう葉月たちに関係はしてこないだろうということですけど。

 ラストのあのシーンも違う意味でクライマックスだなと思います。 だれもが想像できてしまうクライマックスだと思うんですけど、彼ができる最高のことですよね。
 まだ、続きがあるようなのでもう少し追いかけます。
評価:3+  2005/08/25読了
水に棲む鬼 花咲かす君』← →

フリッカー式 鏡公彦にうってつけの殺人  (著:佐藤友哉)  講談社ノベルス
 僕の愛する妹が自殺した。現れた男は妹のレイプ中継のビデオを見せ、レイプ魔たちのそれぞれ愛娘の克明な行動表を渡してきた。僕のすることは・・・。
 私が見るのは映像。77人の少女を殺した突き刺しジャックが少女たちを殺すときの映像。突き刺しジャックに存在を知られた私がすることと言えば・・・。
 メフィスト賞受賞作。背表紙を何度かみかけたことがあって、気になったので借りてみたのですが、ダメでした。
 面白くない、とまでは言い切らないのですが、前半いまひとつ乗り切れない。各所に元ネタがわかっていないとわからないという箇所がちりばめられていて、 しかも何だか本編に関わってきそうで、でもそれがことごとくわからないんですよね。なんだかもやもやしてきて、ストーリーに集中しにくい。
 我慢して読んでいると後半はストーリー重視の展開になってきて読めたのですが、登場人物全般に感情移入しにくかったです。

 メフィスト賞受賞作でありメフィストという雑誌はミステリ専門誌と銘打ってるので、ミステリなのだと思って読んでたんですが、どうもミステリではないような気がして ならないんですよね。

 各所の元ネタがきちんとわかり、登場人物の誰かにでも感情移入できるなら面白いのかも知れないです。
評価:1−  2005/08/28読了

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