2005年7月分の感想
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アブダラと空飛ぶ絨毯 ハウルの動く城2
(著:ダイアナ・ウイン・ジョーンズ 訳:西村醇子 画:佐竹美保)  徳間書店
 絨毯を扱う若き商人、アブダラはある日、魔法の絨毯を仕入れる。それに乗って寝てしまったアブダラは夜の庭で目覚め、そこで麗しき姫君と恋に落ちる。
 その麗しの姫君とともに駆け落ちしようとしたアブダラの目の前で姫君は魔神にさらわれてしまう。
 アブダラは姫君を助けに行くことにする。
 ハウルの動く城の2巻ですね。
 でも、主人公も違うし、ハウルたちはちびっとしか出てこないので、ちょっと期待はずれな感じもしました。ハウルの2にするよりは番号をつけないで、解説を読んだら ああ、つながってるのねぐらいの方が良かったかなと思いました。
 肝心な感想ですが、1作目よりもキャラに感情移入しやすいせいか、かったるく感じた文章が少なかったように思いました。ハウルたちは〜?と思いながら、いつのまにかアブダラの ストーリーに飲まれていきます。
 ちゃんと出てきますしね。ハウルたちも。ちょっとかっこ悪いような気もしなくもないような気はしましたが。
 個人的には2作目の方がおすすめです。
評価:3+ 2005/07/01読了

正しい怪異の祓い方 結びの七つ穴の紐
(著:スズキヒサシ イラスト:)  メディアワークス
 小学生の綾は行方不明になった義姉の倫子を探すために家を出た。兄であり、倫子の夫である進に業を煮やしてだ。
 そんな道行きで絹糸と某人と会い、綾のメル友である鼎も加わる。性格が最悪という絹糸は綾に倫子は呪われているとつげるが。
 怪異とタイトルにあるのでそっちの方向に期待してしまったんですが、そちらのテイストは薄い気がします。
 どちらかというと、綾と絹糸(あと某人)の会話が印象に残ります。綾自身にはオカルト的な能力もそれを見ることすらもできないせいかもしれません。 (‘霊的不感症で怪異の認識がほとんどできない’という設定)
 綾がかみつき、絹糸が軽くいなすといったかけあいは面白いと思いました。キャラ的にはどちらもツボではないけれど、絹糸が普段は性格最悪なのに
ふっと見せる綾に対しての気遣いはおおっ?と思わせる要素ですね。おきまり要素と言えばそうなんでしょうけど。  男性陣である綾、絹糸、某人はキャラ立ってるなあと思わせてくれるんですが、女性陣の鼎と倫子はそれが薄いかなと思いました。
 鼎は主人公の綾とは友達という関係以上にはならないし、それどころか出てきた意味はなんだろう。戦力補充?とも思ってしまいました。
 また、綾が家出までし、事件の原因となった倫子も義姉以上の態度を示さず、綾の思いは空回りしている印象を受けました。
 あと、物語は主に綾の一人称視点で進行するのですが、これはハッキリ言うと三人称の方が良かったと思います。視点移動が多く、そこで 物語に入りにくさを感じてしまったのと、綾視点なのに彼は‘霊的不感症’で某人からあとで話を聞いたなどとあるので、そこまでして綾の一人称 にする必要はあるのかと思ってしまったので。
評価:3− 2005/07/04読了

高天原なリアル
(著:霜越かほる イラスト:木場智士)  集英社スーパーダッシュ文庫
 おかんが声優、という理由で話題のゲーム「高千穂学園」のメインキャラ、高天原かほりのキャラクターボイスをした主人公、毒島かれん。ところが かほりの人気は社会現象にまでなってしまった。
 99年のロマン大賞の入選作ということで、ところどころ時代が見受けられます。主人公の所有物が携帯ではなくPHSとか。
 でも、そういう細かいところを抜いて考えると、ネット配信のラジオ番組とか、家庭用ゲーム(ときメモがモデル?)とかすごくリアリティを感じます。
 そんな中でうごめく人間模様。面白いです。
 章立ては23章とライトノベルではびっくりな章立てですが、逆に視点移動がわかりやすくて良かったです。まあ、ふつうの章立てでもかれんとそのマネージャーの 神代美代子さんの視点だけなのでわかりにくいということは無かったと思いますが。

 カロリーメイトのミルク味、食べてみたいです。
評価:4+ 2005/07/11読了

リリアとトレイズU そして二人は旅行に行った(下)
(著:時雨沢恵一 イラスト:黒星紅白)  メディアワークス
 リリアとトレイズは街に戻るため、孤児院の子どもたちを乗せた遊覧飛行機に便乗させてもらう。しかし、その遊覧飛行機には陰謀が渦巻いていた。
 リリアとトレイズ2巻。アリソンからだと通算5巻目ですね。
 読んでいる途中では楽しめたんですが、読後感はいまいちな感じ。
 最後の真相シーンであの人が喋るからでしょうか。
 アリソンVのラストからずっと思ってるんですが、どうしてあの人はああいう道を選んだんだろう。シリーズ展開したら明かされるのかしら。
 まあ、そんなつぶやきはともかく。
 アリソンとヴィルの印象が強すぎて、リリアとトレイズの印象もかぶりがちでしたが、それぞれのキャラがそれとなくわかってきました。
 トレイズは射撃に飛行機操縦に頭の回転も速いとヴィルにもまして何でもできるっぷりをアピールしてる気がしますが、意外にもそういう弱点があったのね〜と思いました。 育った地域からも納得の弱点ですが。でも、ヴィルは好きだったんですが、トレイズはいまいちベクトルが好きに傾きません。ふつうくらい。
 意外性というとカルロくんの正体もですかね。2巻を読むのに1巻を読み直したんですけど、伏線がちっとも思い当たりません。名前が元々そういう名前なんでしょうか。

 短編2本もいい感じでした。
 「遺書」ではアリソンの気持ちが切々と語られていて良かったし、「メグとリリア」ではリリアの日常が感じられました。余談ですが、メグとメリエルが頭の中でごっちゃに なってました(笑) 
 メリエルと言えば一巻では何度かそのころみたいな感じで登場してましたが、今回ちっとも出てきませんねえ。一巻のは何だったんだろう。
評価:3+ 2005/07/22読了
→『リリアとトレイズ[V] イクストーヴァの一番長い日<上>

流血女神伝 暗き神の鎖 中
(著:須賀しのぶ イラスト:船戸明里)  集英社コバルト文庫
 ヨギナの総督となったカリエ。バルアンとの子どもであるアフレイムも元気に育っており、傍目には至上の幸福を手に入れていた。  しかし、カリエたちをザカールの呪いが日々さいなんでいく。
 暗いですねえ。まあ、シリアスシーンなんでいいんですけど。
 ザカールのクナム、リウジール。ほんっとうにイヤな奴。曲がってます。腐ってます。
 今のところはカリエの伴侶であるバルアン。彼の態度もわからないもんではないんですが、もうちょっと、こう、どうにかなんないかなと 思ってしまう。
 ラクリゼは相変わらずですね。ずっとカリエについてきていたエドもついにそういう結論を抱くかと思ったし。

 おんなったらしなイーダルは正直、存在を忘れていて(というか、ルトヴィア側、ユリ・スカナ側の人間や展開はほとんど忘れかけてる)誰?とか思ってましたが、 ミュカとの会話は面白かったです。エドとサルベーンも迷コンビっぷり。展開が厳しい分、息抜きも大事ですね。
評価:4 2005/07/23読了
→『流血女神伝 暗き神の鎖 後


流血女神伝 暗き神の鎖 後
(著:須賀しのぶ イラスト:船戸明里)  集英社コバルト文庫
 アフレイムを取り戻すためにリウジールの思うつぼであることも知りながらザカールへ乗り込んだカリエ。
 一方、そんなカリエを救出するためにラクリゼ、サルベーン、エドなども動いていた。
 ああ、怒濤の展開。
 今まで、どんな状況でもたくましく雑草のように(笑)生き抜いてきたカリエが打ちのめされ次第に魂が抜けていく様子は読んでいてすごく痛ましいものでした。 カリエ救出第一部隊で、カリエがもっとも頼みにしていたと思うラクリゼも悲惨な状況になってしまうし。リウジール・・・やな奴。まあ、彼も彼でその生い立ちは 悲惨だなあとは思うんですけどね。
 大祭の場面は本当に怒濤。カリエはザカリエ女神の枷からなんとか抜け出すし、カリエ救出第二部隊兼お笑い担当たちも活躍するし。
 ラストのカリエが「これから」を選ぶシーン。ハードですね。まあ、今までもハードじゃない選択はなかったですが。どうやらここでバルアンとは道が 分かれましたね。別に彼に思い入れはないのでいいんですが、カリエとの分かれを悟ったシーンの反応はちょっと意外でした。
 イーダルはそういう方向に進むための登場だったんですね。砂の覇王のどこかでバルアンがカリエにエドと逃げるか自分とともに来るかを選ばせるシーンが ありましたが、結局は一緒に進めない運命だったんですね。

 次の巻からは番号振りに戻ってますねえ。全巻出てからのまとめ読みにするか、一巻ずつ読むか、どうしようかな。
評価:4+ 2005/07/24読了
流血女神伝 暗き神の鎖 中』←

霧の迷宮から君を救い出すために
(著:黒田研二) 実業之日本社
 僕が目覚めると、視界は白かった。
 災害用シェルターで何者かに襲われた僕は脳を損傷し、動くものが捕らえられない視界を手に入れてしまった。退院した僕は事件解決に挑もうとする。
 何回か図書館で見かけてそのたびに私の目が止まり、あらすじを読んで棚に戻すということを繰り返したのでついに借りてみました。
 結論から言うと、失敗でした。だいたい何度も目にとまったものは面白いことが多いんですが、今回は本当に失敗でした。
 動くものが捕らえられない視界とかそういうのは面白いと思うし、どこが面白くなかったというわけでもないのですが、全体的に感想を抱きにくかったです。
評価:2− 2005/07/29読了

今日からマのつく自由業!
(著:喬林知 イラスト:松本テマリ)  角川ティーンズルビー文庫
 主人公・渋谷有利がトイレに顔をつっこまされ、いつの間にかついたのは異世界。しかもあなたは魔王陛下ですなどと言われてしまった。
 アニメにもなってたし、ネットでの評判もいいし、近所の本屋では平積みなのでレンタル本で借りてみました。(買わないらしい)
 すごく面白い、とまでは言わないもののふつうに面白い、くらいのレベルですね。キャラの誰かがツボにでもはまればまた評価が 変わるのかも知れませんが、もともと私の野郎ツボは幅が狭いので。人気の高いらしいコンラッドでさえいい奴どまりくらいです。
 ありきたりな'いきなし異世界、しかもあなたは選ばれた人です系'設定ですが、コメディタッチで、クスクスきました。電車では読めんな。
 コメディコメディでゆるゆるきてラストの方でユーリに王の自覚らしきものが芽生え、締めるので作品として成り立っている気がしました。エピローグは コメディでしたが。
 とりあえず、もう少し読んでみることにします。
評価:3  2005/07/31読了
→『今度はマのつく最終兵器!

 今月の感想数 8冊



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