2006年4月分の感想
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Missing13 神降ろしの物語・完結編
(著:甲田学人)  電撃文庫
 聖創学院で密かに流れる‘チャネリング’のウワサ。それは魔女の計画が最終段階に入ったことを意味していて……。
 シリーズ13巻目。ついに最終巻です。

 亜紀のどうじさまにはそういう意味があったのか……。というか、どうじさまは自分で自覚している欠落でないと埋めてくれないのね……。
 そして、やっぱり亜紀は空目に自分の感情を告げなかったようで……。犬神があやめに向かったことが、亜紀の感情を物語ってるよなあ……。

 武巳はけっきょく、凡人なんだよね、マツカタの見込み違いだ……。でもまあ、武巳にとっての目標は最終的には達成できたのか。 釈然としないだろうけど。
 空目が武巳がいろいろ隠していたことをすべて分かっていたことが驚きでした。なにか言ってあげれば良かったのに……。空目にそれを期待するのは まあ、無駄なんでしょうけど……。でも、その一言で状況はかなり改善したのではないかと思うとなあ……。
 あ、でも空目が自分の身を犠牲にすることを最終手段としてたようなのにはちょっと驚きましたかね。彼は異界に行きたいと願っていた人間だから 好機とみれば他の手段を考えることなくそうするのかと思っていたので。

 ん〜、読んだ直後はあらかたの伏線は回収したかなと思っていたけど、 そういえば基城さんの伏線が回収されてないですね……。神野に会ってどうなったんだろう。

 神降ろしの儀式がスケールの大きい合わせ鏡で行われたことといい、結局、『合わせ鏡』から大きな流れは続いていたんですね。(もっと言えば、 『神隠し』からですが)初期の感じは好きでしたがまあ、ストーリィも大事ですしね。 しかし、キャラのほとんどがバラバラになる終わり方か……。
評価:3+  2006/04/03読了
Missing12 神降ろしの物語』←

SHI−NO ―シノ―黒き魂の少女
(著:上月雨音 イラスト:東条さかな)  富士見ミステリー文庫
 電灯に自然と導かれる蛾のように、死に惹かれる少女、支倉志乃(小学5年生)。そんな彼女を見守るのは現在大学生の僕。僕は志乃に普通の小学生で いて欲しいと思っているけれど、志乃はいつのまにか重大事件の鍵を握っていて……。
 第5回富士見ヤングミステリー大賞最終選考作だそうです。

 読んでいる途中に思い浮かべたのは奈須きのこの『空の境界』と西尾維新の戯言シリーズでした。
 最初の方の生きるということについての言葉が戯言に似ていたのかな……。あとは普通の少年と枠からはずれた少女というのも両作品で共通してますね。

 うつ系になるのかな……。ちょっと気分が落ち込んでいないとうまく感情移入できなくて読めない気がします。読み始めたときにちょうど落ち込んでたので うまく読み進められました。
 ストーリーはともかくとして、雰囲気が好きですね。暗い感じ。

 ただ、志乃ちゃんは小学5年生である必要はあるのか?とは思うんですよね……。 某子ども探偵に比べればまだましなのかも知れないですが、生と死とか存在の意義とかを考えるにはちょいとおさなすぎはしないか?と。

 う〜ん、たたき出すとほこりがけっこう出てきそうですが雰囲気が好きだったので別にいいや。
評価:4−  2006/04/05読了

お留守バンシー
(著:小河正岳 イラスト:戸部淑)  電撃文庫
 人間ではないもの達が住む城。その城の管理を一手に引き受けるのはバンシーのアリア。同居人は首なし騎士やサキュバス。 そしてガーゴイルにリビングデッド。しかし同居人たちはみんなどこか変。しかし、それなりに平和に暮らしている。
 そんななかアリアはある日、ご主人様からお留守番を言いつかる……。
 第12回電撃小説大賞の大賞受賞作。

 前回読んだ本から一転してコメディですね〜。まあ、予想済みでしたが。

 キャラがすっごく個性的。サキュバスなのにえらく禁欲的なイルザリア。そしてイルザリアにぞっこんでええかっこしいの首なし騎士、デュラハン。 門番を務めているのに気弱ですぐに逃げ出すガーゴイル(ペンギン似)のセルルマーニ。庭師をしているリビングデッド、フンデルボッチ。
 こんなキャラが動き回るのでそれは面白くないわけないわな……。

 ただ、問題はどこまでもほのぼのと面白いせいで明確な盛り上がりに欠けていたことでしょうか。
 ここが、山場なんだろうなと思うところはあったんですが、ちょっと肩すかしもあるので、明確な山場と思えず、「山」が「丘」くらいに 感じてしまいました。そのせいか感想としてはふつうに面白かった。ぐらいなんですよね〜。

 もうちょっと明確な山があれば評価がもう少し上がったかも……。

 う〜ん、それにしても家事大好きなバンシーは一家に一人欲しいところです。私の部屋にも是非一人……。
評価:3+  2006/04/07読了

リリアとトレイズ[V] イクストーヴァの一番長い日<上>
(著:時雨沢恵一 イラスト:黒星紅白)  電撃文庫
 冬休み、トレイズに誘われたリリアはアリソンとともにイクス王国を訪れ、初めてイクス王国での年越しを体験することになる。その道中でもトラブルに 巻き込まれながらなんとかイクス王国にたどり着く二人。
 アリソンは気を利かせて宿を脱出。トレイズはリリアに自分の正体を明かそうとするが、またも不穏な気配が迫っていた……。
 リリアとトレイズ3巻目。
 う〜ん、ここ最近に読んだのが新人作品だったせいか、落ち着いて読めるなと感じました。

 まずはイラスト。ベネさんはそんな風に成長するんだ……と思いました。口絵とカバー裏の2等身リリア&トレイズが可愛いです。トレイズが リリアにお茶を淹れてるところがキャラですよねえ……。

 さて、本編。
 う〜ん、本編とはいえ、きな臭さはいつもと同じですしねえ。……いつもよりもこれがポイントかなあと頭の隅でマーク できるところが多かったような気もします。私がこのシリーズの読み方になれてきただけかも知れないですが。
 個人的に好きだった場面はリリアとメグの会話場面ですね。次点がトラヴァスさんと部下たちの会話。 こういう仲間との会話……みたいなの好きです。アリソンシリーズのヴィルと名も無き友人さんとの会話も好きでしたし。
 こっそりほくそえんだのはトラヴァスさんの辞書シーンとぬるいお茶が出てきたシーンですね。猫舌は治らない……。
 そういえばリリアのしゃべり方に違和感を感じたんですが、前からこんなんでしたっけ? う〜ん……。
 違和感といえば、‘アリソン肘打ち’もですね。彼女のキャラからすれば言ってもおかしくないし、リリアとメグの会話での伏線を回収したんだろうな というのはわかるんですが、読んでいるときになんだか引っかかるんですよね。今までのシリーズで言ってればともかく、 言っていなかったような気がするし……。(読み直すべきか……?)

 短編の騎士の背中。これを読んで、アリソン3巻のもやもやが少しだけ緩和されました。あくまで少しだけで、本編のどこかででも 本人に語らせて欲しいですけども。

 まあ、そんなこんなですが、次巻が楽しみですね。事件もですが、トレイズがどうするかとか、メリエルがどう関わってくるのかなとか。今回の事件は アリソンの方も関わっていそうだし、改めて読み直そうかな。
評価:3+  2006/04/10読了
リリアとトレイズ[U] そして二人は旅行に行った<下>』←  →『リリアとトレイズ[W] イクストーヴァの一番長い日<下>

骨音 池袋ウエストゲートパークV
(著:石田衣良)  文藝春秋
 街のトラブルシューターとしてすっかり名が売れてきたマコト。
 そんな彼はコラムのネタを探して街をうろつき、事件の方も彼の元に飛び込んでくる……
 シリーズ3巻目。

 このシリーズ読んでいるときは非常に楽しいんですが、読み終わるとなんか内容忘れていることが多いです……。文句があったら覚えてるんだろうけど そんなこともなく安定してるからかな……。
 ネタが古いな〜と思うことはありますがね。モー娘。とか。
 次も借りてこよう。
評価:3+  2006/04/14読了
少年計数機 池袋ウエストゲートパークU』←  →『電子の星 池袋ウエストゲートパークW

ダークローズ・プリンセス 黒の騎士
(著:榎木洋子 イラスト:左近堂絵里)  角川ビーンズ文庫
 幼くして両親を亡くし、育て親の叔父とも死別した15歳の真夜。彼女は故郷の英国を離れ、血縁である祖母を頼って日本にやってきた。 一見は平穏な暮らし。しかし彼女は絶えず‘混沌の夜’と呼ばれる別世界からの魔物に襲われ続ける。そんな彼女を守るのは同じく‘混沌の夜’から やってきて真夜と契約を交わしたレイヴェンと死別したが守護霊となった真夜の叔父イーサンである。
 ある日、真夜は魔物との戦いを同級生であるミナトにみられてしまう……。
 榎木洋子さんのビーンズ文庫の方の読んでない作品制覇フェア(笑)です。

 えっと、感想はあま〜い……でした。
 ラブラブとかそういうんではないんですが(むしろそういうテイストは少なめ)、なんだか読んでいてガムシロップをそのままなめてしまうような気分に 襲われて何度か本を閉じました。
 そんな感じで何度か息継ぎをしながら読み終えたのですが、読了感は悪くはないです。
 おそらくあま〜いの原因は敵だと思うんです。☆とか♪とかを多用した独特の口調でなんとなく辟易しました。

 読了感は悪くはなく、まあそこそこ続きも気になりはしますが、新刊を買うほどではないので地道に古本化を待ちます。
評価:3  2006/04/17読了
→『ダークローズ・プリンセス 蒼炎の輪舞

息子はマのつく自由業!?
(著:喬林知 イラスト:松本テマリ)  角川ビーンズ文庫
 「うちの息子はいい子なんだけど……こんなので本当に大丈夫なの?」
 地球産魔族のウマちゃんと横浜ッコのジェニファー(本名:美子)の次男は別世界の魔王になる予定の魂だった。円満だがズレまくりの両親とその子どもたち の行方は……?
 久々にマです。えっと12巻目?(「お嬢様〜」がはいらなければ11巻目ですね)

 短編が3本(母ちゃん・次男(コンラッド)・兄貴(勝利))ですね。 全部、舞台は地球でのお話で、ユーリが子ども時代のお話ばかりです。兄貴の話の時の挿絵のワンピースユーリが可愛かったです。
 しっかし、両親も魔王になる予定の魂だからと言われても意に介さず「野球少年に!」とか「少女趣味のキラキラ〜」とか突っ走ってますねえ。だからこそ この両親が選ばれたのかも知れないですが……。
 母ちゃんの話はともかくとして次男の話と兄貴の話は割と相似形な気がします。両親がドタバタしてるうちに結局……てあたりが……。まあ、それなりに 新事実も明かされてますけどね。

 読んでいて笑ってはいるんですが、このシリーズを自分で買って読んでいたらそろそろ切ってると思います。貸本だから惰性で読んでますけど。 なんだかノリについていけない……。(ガンダムネタとか入ってるらしいけどわからないしな……)

 そういえば、ウマちゃんこと勝馬さんが妻を呼ぶときには「嫁さん」なのがすごく気になりました。その呼び方はどうなのよ……
評価:3−  06/04/28読了
めざせマのつく海の果て!』← →『これがマのつく第一歩!

ワーズ・ワースの放課後
(著:杉原智則 イラスト:湖澄遊智)  電撃文庫
 ベッドで眠ったはずの僕が目を覚ますとそこは別世界だった。知らない言葉が交わされている。どうやら僕はそこでは王の息子であり、 しかも無能よばわりされているようだった。
 起きれば現実が待っている。孤独な教室。唯一の友人といえる幼なじみはいるが彼らとの関係はぎくしゃくしてきている。
 夢と現実の往復を繰り返すぼく。夢の中の物語は進行し戦いが迫る。一方で現実の世界では‘ねむり病’が世間を騒がせていた……。
 え〜っとなんでこの本を買ったんだろう……思いだせないや。と思うぐらい前(半年前ぐらい?)に古本で買っておいた本です。 すぐに読む気にはなれなかったみたいで積ん読用の袋に入ってました。

 現実と異世界を交互に旅する話でその入れ替わりの唐突さに最初は慣れなかったものの、慣れてくるといい感じです。実際にも夢から目覚めるとき は特にぶつ切り感が漂うもんなあ……。
 ただこの話はコメディというわけではなく全体的にダウン系かと。この巻の時点では話の盛り上がりもやっと盛り上がりそうかな……というところで 終わっていますし。ということで、次巻に期待。

 ところで、全二巻で完結するなら上・下という言葉を使えばいいのにねえ。 (数字振りは電撃の慣例だから? それともシリーズ化するつもりだったとか?)
評価:3  06/04/28読了
→『ワーズ・ワースの放課後U

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