2006年5月分の感想
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ワーズ・ワースの放課後U
(著:杉原智則 イラスト:湖澄遊智)  電撃文庫
 次第に夢の世界が誠の現実を浸食し始めていた。目が覚めると丸1日が経っていたり、保健室に寝ていたり。その行動は眠り病に罹ってしまった幼なじみの 一人、神谷のこととあいまり、幼なじみのもう一人である智子をひどく心配させていた。
 一方で、王子としての僕は世界の終末を阻止するために仲間たちと聖地に向かう。かつて始まりの人々が築いたという城へ……。
 後編且つ真相編な二巻です。

 二巻に入り、夢の世界での話が中心になってからもなかなか真相が見えずストレスがたまりましたが、じわじわと毛細管現象のように明かされていく謎 (ストレスが……)とラストの盛り上がりは良かったです。まあ、ラストまでじっくり下地があるからこそ、盛り上がりであるラストが気持ちいいですしね。

 誠とマコト王子の相関関係と智子とサキの関係は何となく予測はしていましたが、神谷と誠の母親と夢の世界との関係はちょっと予想外でした。
 あと、重要用語である‘言葉’と‘無’の関係がわかりにくくて何度か立ち止まって考えてしまったので、そこはもうちょっとわかりやすくして欲しかったな と思います。

 2巻までしかないですし、伏線が細かいので一気読みをしたほうが良いでしょうねえ。私はけっこう分けて読んでしまって、忘れてるところも ある気がするので。
評価:3+  06/05/07読了
ワーズ・ワースの放課後』←

夜魔
(著:甲田学人)  メディアワークス
 ‘魔人’‘叶えるもの’さまざまな名で呼ばれる都市伝説中の黒マントの男。――彼を最もあらわし、そして意味のない名前「神野陰之」
 これは彼に出会ってしまったもの達にまつわる話―奇譚である……。
 Missingの甲田さんですね。この本は出ているのは知っていてほうぼうを探していたのですがみつからずに結局、友人に借りました。 持つべきは本好き(マンガ含む)の友人です。ありがとう。

 さて、本編。6編の連作短編ですね。
 う〜、どれも怖くて痛いです。甲田さんの恐怖は基本的には肉体的痛覚に訴えてきます。 本当は真夜中丑三つ時に読みたかったなあ……。時間が取れずに昼間とか夕方とかにしか読めなかったですが。
 読んでいて一番得体が知れなくて怖いと思ったのは電撃ゲーム小説大賞最終選考の罪科釣人奇譚(とがつりびときたん)ですね。 モチーフ同士のつながりがうまくわからなくて得体の知れない薄ら寒さを覚えました。得体の知れなさ加減が西尾維新のニンギョウガニンギョウに 似てるかなともちょっと思いました。

 以下手短に。
 繕異奇譚はありがちかなと思わなくもないですが、ぬいぐるみには悪夢が詰まっていって子どもを守ってくれるという発想が何だか好きです。 ちゃんとお弔いしなきゃな……。
 魂蟲奇譚は虫がダメなので私がみたら卒倒だろうな……と。そんなのが見えるんだったら生きて帰ってこれなくてもいいです……(泣)。
子どもを産みたかったら子どもを孕んだモノを喰えという発想は中国っぽいなあと思いますね。魚じゃダメなんですか?(怖さ激減……)
 薄刃奇譚は痛くてグロくて血みどろですね……。あ〜、でも我が身を省みずのこの考え方が魔人を呼ぶのはなんだかわかるかも……。悪魔的な人(モノ)は こういうのが好きなそうな気がする……。
 魄線奇譚は話そのものはどこかにありそうですが、一瞬、助かりそうと思わせといてどーんと落とすやり方が効きますね。 白線の上だけ歩く……とかそういえば昔、やったなあ……。
 ラストの現魔女奇譚以外はどれもがえげつない終わり方で、異界に関わった人間の末路を充分に分からせてくれました。
 魔人に出会わなかった場合の詠子ももしかしたらこうなっていたのかもしれないなとも思いましたね。

 こういう話とか形態は好きなので、こちらの続きもしくは似た形の作品を出してくれないかなあ……。
評価:4+  06/05/09読了

これがマのつく第一歩!
(著:喬林知 イラスト:松本テマリ)  角川ビーンズ文庫
 ユーリは小シマロンの王様、サラレギー、大シマロンからの使者で現在は実質サラレギーの護衛状態になっているコンラッドと聖砂国への 旅を続けていた。
 一方で、地球に残る村田は何か様子が変ということに気づき、なんだかんだでユーリの兄、勝利と行動をともにする。
 そしてユーリたちの船上ではあるハプニングが起こり……。
 他、短編一本。
 マのつく12巻目。

 しっかし、今回ほとんどストーリー進んでませんよねえ……。1巻のあのドタバタでいつの間にか魔王です……なノリはどこへいったのやら。 かけるべきところにページ数をさくのはそりゃ当然ですが、これはなんだか冗長に思えるんですが……。
 ユーリたちはシリアス、シリアス、シリアス、サラレギーのぼけ。というカンジですが、その他のシーンは本当にギャグになってますねえ。ヴォルフとか あのままだとどうなることかと。おキクに続いてギュンターは本当に壊れキャラ担当になってますねえ……。村田と勝利はまあ、ああいうキャラ同士だし どうにかなりそうですね。

 短編はああ、これぞマだよね展開ですね。楽しかったです。グレタは可愛いですし。本当にグレタとユーリの触れ合いシーンて少ないですもんねえ。
評価:3−  06/05/15読了
息子はマのつく自由業!?』← →『やがてマのつく歌になる!

ブギーポップ・イントレランス オルフェの方舟
(著:上遠野浩平 イラスト:緒方剛志)  電撃文庫
 須磨貞夫はあるクラブに参加している。貞夫とクラブのメンバーである相川靖子はある日、 クラブの実質の指導者である六嶺平蔵の怪しい行動を発見してしまう。
 そのころ、街では貞夫の幼なじみである杉乃浦春海が同じ学校の男とデートをしていて……。
 ブギー新刊。
 今回は読みすすめやすいですね〜。他の話とむりやりつなげようとしていないせいでしょうかね。
 ホーリー&ゴーストが未来へ続く二人の絆だとしたら、今回の炎と氷のそれぞれのカップルは既にして終わっているけれども終わらせないために続いている けれどもそれはやっぱり終わっているモノで……という感じでしょうか。よくわからないけれど、そういう感じを受けました。

 時間軸としてはロストメビウスの後(1,2ヶ月後?)ですかね。蒼衣秋良が出ているのが誤算でした。 何だか知らないけれど彼は一回限りのキャラだと思っていたので(明らかにそういう書き方ではなかっただろう……)
 そういえば、久しぶりにブギーが活躍したなあ……と思いましたねえ。まあ、霧間凪はいま忙しいみたいですし。(留年しちゃうのかしら〜)
 あ、あと深陽学園校内が出てきたのも久しぶりですね。

 データは近いうちに更新します。
評価:3+  06/05/20読了
ブギーポップ・バウンディング ロスト・メビウス』←

やがてマのつく歌になる!
(著:喬林知 イラスト:松本テマリ)  角川ビーンズ文庫
 ユーリたちはなんだかんだでなんとか無事に聖砂国に入国し、聖砂国皇帝イェルシーと面会する。
 一方で、ユーリの兄、勝利はナイアガラを逆流させようと国外脱出を計るが、空港で出会ったのは怪しい外国人だった。
 マのつく13巻目。

 ようや〜く、やっとこ〜さ、聖砂国に入国しました。聖砂国編2巻目ぐらいでここまでこれるぐらいが理想のペースだと思うんですがねえ。 箱関係の話と地球組がなければ次巻で聖砂国編は終わりかなという感じですが、箱関係の話は先が読めない上に この巻で本格的に箱が関わってくることを宣言されたようなものですしねえ。地球組も読めないし。

 グレタはユーリが思っているのとは違う方向にどんどんと成長していっているきがするなあ。このペースだとユーリが帰国する頃にはちび毒女グレタ ができあがっていそう……。
 箱関連はやっぱり「お嬢様」を読み返すべきかなあ。まあ、「お嬢様」はけっこう面白かった覚えがあるので もう一度くらいなら読んでもいいんですが……。
評価:3  06/05/24読了
これがマのつく第一歩!』← →『宝はマのつく土の中!

宝はマのつく土の中!
(著:喬林知 イラスト:松本テマリ)  角川ビーンズ文庫
 ユーリたちは神族たちの希望「ベネラ」と会うことに成功する。ベネラ――ヘイゼル・グレイブスは聖砂国の反抗勢力の指導者的立場にあった。
 そんな彼女からユーリはある情報をもらい……。
 マのつく14巻目。

 あ〜あ、本当にもうちょっとてきぱきっと展開を進められないモノなのかねえ。というわけでストーリーがあまり進行していないですね。
 しかも、そのうえ超極悪ひき。う〜んう〜ん。

 勝利&村田ケンたちも何かたくらんでいるようですが、そういえばグレタとか、ヴォルフたちもいるよなあ。みんなバラバラなので正直 展開を覚えていられません(苦笑)

 まあ主人公たちの極悪展開だけでも気になりますが。このさきのストーリーも気になるところだったり。
 でも次でも聖砂国編解決してないんですよねえ……。
評価:3  06/05/27読了
やがてマのつく歌になる!』←

リリアとトレイズ[W] イクストーヴァの一番長い日<下>
(著:時雨沢恵一 イラスト:黒星紅白)  電撃文庫
 イクストーヴァの宝を求める連中に占拠された王城。その危機を救ったのは……。そしてイクストーヴァの宝とは……。
 リリアとトレイズ4巻目。

 読み終わっての感想はトレイズヘタレ過ぎ! そしてリリアは平和主義者だなあ……と。

 トレイズのヘタレ加減はどうでもいいですが、こうもタイミングを逃してばかりだといつか取り返しのつかないことになりはしないかと 心配ですね。まあ、そこは物語ですしからどうにかなるでしょうけど。現実だとこうして機を逸していってとりかえしのつかないことになった人とか こととかはいっぱいありそうですから。(たぶん自分も入ってる……)

 まあ、本編としてはアリソン&彼氏があまり出てこなかったのがちょっと意外でしたね。まあ、タイトル通り「リリアとトレイズ」ってことで いいのではないかと思います。
 トラヴァス少佐と英雄さんの会話がけっこう好きでしたね。しかし、あのシーンは部下はどこへ? とか思いましたけど。私の読み落としでしょうか。

 宝のシーンはお嬢の暴れ具合を冷めた目で見ているうちに想像ついてしまったので「やっぱりか……」というカンジでした。これから 飛行機とかどんどん開発されて、高度文明化社会になっていくんだろうな。イクスの自然を大切にしてもらいたいモノです。
 あ、あと、「戦後世代か。」とか言われてましたが、1世代くらいだとまだ微妙に戦中の影響が残っていそうな気はするんですけどねえ。孫世代くらいになる と、ああいう反応なんじゃないかなあと思いました。まあ、冷戦で実際にドンパチやってたわけではないのでああいう反応なのかも知れないですけど。 両方とも親が親だし。

 お姉様とかメリエルとか、トラヴァスがらみとか、ヘタレとかいろいろ伏線が残っているのに、次巻の予定は未定っていうのはただの嫌みだと思うんですが ねえ。とりあえず来年3月までに次巻を出してもらいたいです。(超個人的事情から)
評価:3+  06/05/29読了
リリアとトレイズ[V] イクストーヴァの一番長い日<上>』←  →『リリアとトレイズ[X] 私の王子様<上>

 今月の感想数 7冊



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