2007年05月分の感想
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涼宮ハルヒの憤慨
(著:谷川流 イラスト:いとうのいぢ)  角川スニーカー文庫
 「編集長★一直線!」……今までSOS団を黙認していた生徒会がついに動き出した。その理由とは‘文芸部なのに機関誌も出さないとはこれいかに’という もの。文芸部室はSOS団のモノ。画して、団長ハルヒは一時的に編集長ハルヒに肩書きを変えて動き出した!
 「ワンダリング・シャドウ」……犬が近寄らない地域が出来てしまったという。SOS団への来客の訴えにノリノリになったハルヒ。SOS団も動き出す!
 ハルヒ8巻目。
 雑誌掲載中編(?)が2本。

「編集長★一直線!」
 前半の生徒会長が好かないキャラでした。古泉のなんかたくらんでそな雰囲気も気に入らなかったし。
 後半のSOS団オンリーになってからの話は面白かったですけどね。それぞれの作中作が良かったです。 できれば、ハルヒの作品も見てみたかったところ。

「ワンダリング・シャドウ」
 わりと好きな話でした。ちょっと、(作者が)結末を長門さんに頼りすぎな感がありましたが。
 ハルヒは本当に丸くなりましたねえ。
評価:3+  07/05/01読了
涼宮ハルヒの陰謀』← →『涼宮ハルヒの分裂

キノの旅]
(著:時雨沢恵一 イラスト:黒星紅白)  電撃文庫
 しゃべる二輪車エルメスと旅人キノのお話。10巻目。
 今回もあらすじは省きます。

 あとがき、あんなところにあるんだ(笑)
 さて、今回も各話一言感想を。反転して読んでください。

「ペットの国」・・・入国時と出国時でキノの言っていることが違う!(笑)シズ様だったらこの申し出を断ってそうですね……。
「ティーの願い」・・・本当の願いは別にあるってことかしら。
「インタビューの国」・・・前、読んだヤツね〜。ココに乗ってます。思ったほど、違和感はなかったです。
「ホラ吹きたちの話」・・・他の旅人さん登場。こういう舞台ってちょいと珍しい。わりと好きでした。
「保護の国」・・・人間VS.野生動物。師匠の眼力がさすが。野生動物って無理に保護する必要があるのかな〜 と思わなくもないのですよね。
「電柱の国」・・・なんで羽虫崇拝の国になったのやら。
「こんなところにある国」・・・こんなところにあったんだね!!
「ティーの一日」・・・ティーもちょっとだけ成長? そして、ついに追いやられてきたなシズ様。
「歌姫のいる国」・・・長っ。メインディッシュだね。この前の話までは全部、前菜。あ〜、でも純粋な少年と少女のお話は アリソンとかリリアとトレイズでやってくれればいいから!(アレはアレで権謀術数うずまいてますけどね)と思っちゃいました。 視点移動有りで時間軸にそってストーリーを進めることで、真実が分かってしまい、すごいイライラじたばたしちゃったので、 Aパート、Bパートにわけて各視点の話をばーっと読んだ方が面白かったかも。この話の評価が個人的に微妙だったので、 本自体の評価が下がり気味になってます。
「ある男の旅」・・・目的壮大! いつか旅は終わりますという師匠の言葉が深いなあ……。
評価:3  07/05/03読了
キノの旅\』← →『キノの旅]T

リリアとトレイズ[X] 私の王子様<上>
(著:時雨沢恵一 イラスト:黒星紅白)  電撃文庫
 ベゼル王室への婿入り話が本格化しているトレイズは近いうち(遠くても3年以内)に‘答え’をだす必要に迫られていた。 そんな中、ベゼル王室次期女王、マティルダの案内を仰せつかったトレイズはしかし、二人きりになっても煮え切らない態度を崩せなかった。
 一方のリリアとアリソンは春休みを利用しての列車旅行へ。偶然か必然か、リリアたちとほかの乗客は機関車の故障により、
マティルダとトレイズたち一行の乗る列車へと移乗する。しかし、またしても事件が起こり……。
 とりあえず、一言。ヘタレ、頑張れ!

 いやあ、読んでてにやにやしっぱなしでした。ヘタレはかっこよいところを見せられるんでしょうかねえ。
 シリーズ全体としてもクライマックスでトラヴァス少佐がらみのストーリーあたりもにやにやでしたし、展開が非常に楽しみなのです!
 毎度毎度の謎に包まれたストーリー展開ですしね。今回は頭の中のメモ帳にふせんがあまりつかなかったのですよね〜。名前だけが 出ている‘囚人四二番’が誰なのか、目的は何なのかドキドキです。

 う〜ん、でも思い出せない名詞も多くてイライラします。持ち主が引っ越したので、読み返そうにも読み返せないし……。(買えよ!)  短編はカルロの主役話。良かったなカルロ。いい話に落としてますね〜。
評価:3+  07/05/03読了
リリアとトレイズ[W] イクストーヴァの一番長い日<下>』←  →『リリアとトレイズ[Y] 私の王子様<下>

リリアとトレイズ[Y] 私の王子様<下>
(著:時雨沢恵一 イラスト:黒星紅白)  電撃文庫
 マティルダと護衛のトラヴァス一行はトレイズを他の乗客の元に残し、出発した。しかし、襲いかかった連中と一戦を交えた後にトラヴァス少佐は 敵の本当の目的に気づく。
 またもやとりあえず一言。ヘタレはやっぱりヘタレだった!

 全体的に読みやすかったので、わりと短時間で読了。文章が軽いとかではなく引き込まれてました。

 中盤まではわりと緊張感たっぷりの進行。ときおり入るイズマのつっこみっぷりが良い感じのガス抜き。
 後半になって囚人四二号の正体が分かってからは、彼のアッチな方向へのいかれっぷりとトレイズとの会話が笑えて笑えて、 緊迫感どころではなかったですね〜。いや、当人たちにとっては緊迫感たっぷりのシーンであることは分かってるんですが〜。

 しかし、トレイズはあそこまで追いつめられて、背水の陣を敵将からわざわざ敷かれても、ヘタレなのね……。駆けつけるまでは かっこよかったのに! リリアじゃなくてもがっかりだよ……。

 ヘタレ王子とは逆にマティルダ王女はしっかりしてますね〜。真実を知った後、しっかりと指揮官っぷりを発揮する彼女は 王座の大きさをしっかりと知っているのだろうなと思いました。のんびり屋のイクストーヴァ王室とは大違いだわ……。

 後半のシーンでなんかぐだぐだしてしまった感じ。伏線エピソードも回収はされてはいるけど、ちょっと微妙だし。
 外伝書いて欲しいなあ。(アリソンとリリアとヴィルのエピソード希望!←結局やっぱりヴィルが好き)
評価:3+  07/05/05読了
リリアとトレイズ[W] イクストーヴァの一番長い日<下>』←

反自殺クラブ 池袋ウエストゲートパークX
(著:石田衣良)  文藝春秋
 ネタを探すために街に張っていたマコトは凄腕スカウトマンを発見しアプローチするが……(スカウトマンズ・ブルース)
 ヒット曲一発のロックスターの頼みを受けたマコトは……(伝説の星)
 超人気人形ニッキーZ。そのヒットの裏では貧困層のつらい工場労働があって……(死に至る玩具)
 集団自殺が話題となる日本で、集団自殺を止めようとする若者たちがいた……(反自殺クラブ)
 池袋ウエストゲートパークも5巻目。今、7巻まで出てますね〜。
 相変わらずさらっと安心して読めるお話です。

 さて、感想。
■スカウトマンズ・ブルース
 口をはさまずに話を聞ける人ってのはなかなかいないですもんね。彼にとってはスカウトマンは天職なんだろうなあ……。
 彼のために〜とか言っちゃうウエイトレスはバカだなあと思いますが、そのことでも東奔西走する彼はとてもいい人。 多くの人を幸せにして欲しいです。

■伝説の星
 往年のロックスターの夢。かっこわるいけどカッコヨイオヤジってのが良い感じですね。さすがのマコトも一杯食わされてるし(笑)

■死に至る玩具
 テーマが重たいけれど、平和な解決でした。GボーイズではなくGガールズに協力を求めたのもちょっと珍しいかも。

■反自殺クラブ
 そういえば最近あんまり集団自殺の話って聞かないかも……。でも、自殺が少なくなったわけでもないんですけどね。自殺って国民の 死亡理由のベスト10には入るし……。
 展開は読めたけど、一番興味を持って読めたお話。
評価:3+  07/05/10読了
電子の星 池袋ウエストゲートパークW』←  →『灰色のピーターパン 池袋ウエストゲートパークY

氷菓
(著:米澤穂信)  角川スニーカー文庫
 海外にいる姉の勧めにより廃部寸前の古典部に入部した省エネがモットーの少年、折木奉太郎。
 古典部のメンバーは他に時に好奇心の虜となってしまうお嬢様、千反田える。 折木の中学生時代からの友人、福部里志。図書委員で里志を追いかけて入部した伊原摩耶花の4人。
 時にちょっとした事件にぶつかりながら、彼らは青春をたどっていく。
 「私、気になります!」

 これは、良かったですね。以前「春季限定いちごタルト事件」も読んでますが、コチラの方が 探偵役の折木くんがタイプでした。小鳩君も悪くはないんですが、どこかこざかしいというか鼻につく部分があったので……。
 省エネがモットーってのが笑えて良いですね。彼のエネルギーは頭の中で回っているのでしょう。

 他の登場人物も良かったです。
 「私、気になります」といって皆を振り回すお嬢様に、折木のあしらい方をよく知るデータベース少年。なんか、皆さん、 そこら辺に良そうな感じで(笑)

 ストーリーも小粒な事件から次第に大きな事件へと。
 表題にもなる‘氷菓’に込められた意味がとても味わい深かったです。
評価:4−  07/05/11読了

愚者のエンドロール
(著:米澤穂信)  角川文庫
 試写会と称されたビデオ上映会で古典部のメンバーが見せられたのはこれから肝心な部分が始まるという中途半端なビデオだった。
 例によってお嬢様が「私、気になります!」と言いだしたことで、古典部のメンバーはいろいろな話を聞いていき、結末を予想することになるのだが……。
 古典部シリーズ2冊目。
 特にシリーズものとは意識せずに借りてきてたので、1ページ目で同じ登場人物が出てきて「あ、シリーズものだったのね」と いう妙な反応をしました。

 シリーズものとはいえ短編連作モノだった前回とは違う長編モノ。とはいえ同じ事件について素人探偵たちが意見を述べていくから印象としては 短編連作とあんまり変わらないかも。
 舞台が高校ということで、探偵たちが素人でも何も問題はないわけで。
 ミステリーと一言で言ってもいろんな考え方があるんだなと思いました。

 今回の見所は省エネ折木君が女帝に乗せられて探偵化していくところかなと思いますね。自分の省エネな態度に迷いを持っている 折木君が青春らしくてステキでした。
評価:4−  07/05/14読了
→『クドリャフカの順番 「十文字」事件

GOTH
(著:乙一)  角川書店
 森野夜が拾った手帳。そこには巷を騒がす連続殺人犯の行動が記されていて……(暗黒系)
 手を切り取って持ち去る事件が続いている中、僕はとあることから犯人に気づき……(リストカット事件)
 私はユカの命令に従う。言葉はなくとも通じ合えるから……(犬)
 小学生時代の森野の過去。それは今の森野に至る重要な事件で……(記憶)
 発作のように人間を埋めてしまう青年。しかし、ある過ちを犯し……(土)
 死んだ姉の最後の声が録音されたカセットテープ。それを聞くたびに私は死に惹かれていく……(声)
 普通の高校生とは違い、連続殺人や猟奇事件にばかり興味を示してしまう、僕と森野夜。
 それを隠すがために僕はふつうの振りをして、森野夜は周囲に壁を造っている。

 表面的にふつうの振りをしたり周りに合わせたりする方が遙かに生きやすいと思うのだけど、森野のような生き方にも憧れてしまうから、 私の友達との立ち位置は微妙なものになってしまうのだろうな……とかまあ、それは置いておいて。

 黒いけどさっぱりしていて読みやすいのでわりとさくさく読了。
 さて、一言感想。
■暗黒系
 これ一本でも充分だと思いますし、導入としては充分。
■リストカット事件
 暗黒系であんまり出ていなかった森野と僕の学校での立ち位置が出てきている話。二人の別な面が見えて良かったです。
■犬
 ちょ……。トリックが反則な気がします(気づいた人いるんでしょうか?)。犬にオーバーリアクションを見せる森野が妙に可愛く見えました。
■記憶
 森野の犬嫌いの理由判明。トリックとしてはどこかで見たことあるような気もしますが、やっぱり騙されました(笑) この作品と声がこの本の中では好きな話です。
■土
 先が読めず、どうなるんだ、どうなるんだと思いながら読了。ちょっと消化不良気味かも。この話から急速に主人公:「僕」の 名前が気になりました。
■声
 「僕と俺を使い分けて疲れないの?」に笑ってしまいました。いや、もうこれは騙されたモノ勝ちな話な気がします。 森野と僕の差は似ているようだからこそ決定的でした。

 キレイに終わってるし、続編はなさそうですね。
評価:4+  07/05/18読了

赤(ルージュ)・黒(ノワール) 池袋ウエストゲートパーク外伝
(著:石田衣良)  文藝春秋
 バカラにはまり、狂言強盗を働いてしまった映像ディレクター、小峰渉。しかしツメのところで、金を横取りされた彼は、日高組に捕らえられる。
 日高組組長を口で納得させた彼は、サルをつけられ、事件解決に乗り出す。失敗すれば、業務上横領犯で日高組の下働き。そんな 状況で彼は……
 IWGP外伝。外伝なので、マコトの出番はまったくなし。マコトが出てこないので語り部もいない、3人称。IWGPじゃなくて これ自体でも充分に楽しめそうですね。

 そしてマコトとは違って警察に知り合いもいない、キングにつながる内線も持っていない彼が、自分の頭(映像記憶力すげー)と、女の執念(これは 唯一マコトに張り合えるかも)、そしてサルと何人かの協力を武器に敵に張り合っていく様はとてもスリリングで楽しく読めました。

 それにしても、本編でおなじみのサルがこんなにも頼もしいキャラだったとは思っていなかったですね……。今回の主人公だった 小峰さんもけっこう魅力的なキャラでしたし。やはり面白い小説に魅力的なキャラは必要不可欠ですね。


 小峰さんが映像化したがってた話って、マコトの本だよねえ……(これを匂わせる程度ってのがまた良いのですがw)

 石田さんの長編は避け気味でしたが、余裕出来たら読んでみようかな。
評価:4−  07/05/20読了

ティッシュペーパー・ボーイ
(著:有吉玉青)  新潮社
 街角でポケットティッシュを配るティッシュペーパー・ボーイ。
 白いつなぎに赤いキャップの不思議なティッシュペーパー・ボーイにティッシュをもらった事で人生が変わっていく人々を描く、連作短編集。
 う〜ん、ごめんなさい。ちょっとぴんと来ませんでした。

 内容はあらすじに示したとおりで、ポップでちょっとだけ地面から浮いてそうなストーリーはとても読みやすかったです。 その点ではまったくもって問題はなかったです。

 たぶん、ぴんと来なかった要因はキャラ(一般小説だから登場人物といった方が良いか)だと思います。
 登場人物のほとんどが30代の、もう人生の限界がわかりかけてきたような年代の人物ばかりで、思い入れを持っては読めなかったのですよね。

 あと、思っていたよりはティッシュペーパー・ボーイが都市伝説みたいな存在だったってことかなあ。もうちょっと人間的に登場するのか と思っていました。

 もう少し、年齢を重ねてからの方が楽しめたのかな〜と思います。
評価:3  07/05/25読了

今月の感想数 10冊

今月のお気に入り
1位『氷菓
2位『GOTH
3位『赤(ルージュ)・黒(ノワール) 池袋ウエストゲートパーク外伝


 氷菓は私が読んだヤツはこの表紙じゃなかった……(角川スニーカーのシリーズだった)いや、別にいいけど。



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