2007年04月分の感想
  トップ 目録 



マリア様がみてる 薔薇のミルフィーユ
(著:今野緒雪 イラスト:ひびき玲音)  集英社コバルト文庫
 由乃は有馬菜々へのお礼をかねて校外でデートをすることに。しかし同じ日に令ちゃんがお見合いをするという話を聞いて……。 (黄薔薇パニック)
 とても平和な白薔薇姉妹。しかし、ある日、志摩子が校門で割烹着にサングラスという男に拉致されて……。(白薔薇の物思い)
 期末試験後のお楽しみに遊園地に行くことにした紅薔薇姉妹。しかし、そこには柏木さんも着いてきていて……。(紅薔薇のため息)
 古本屋で探しまくってしまったマリ見て22巻目。

 黄薔薇以外はほとんど進展無しと思って間違いないですね……。あの偶然な出会いを必然にするために走り回る由乃と つき合う菜々。菜々の性格が知れたのが良かったかな。
 この二人が姉妹になるためには制約があるけれど……二人がかみあっちゃえば以外とすんなりとゴールテープを切ってしまう可能性もあるかなとも思う。

 志摩子さんに年の離れた似てないお兄さんがいるということがちょっと意外だったかな。志摩子と乃梨子はストーリー上、 特に揺らす要素がないものなあ。聖さまと乃梨子のからみがちょっと珍しかったかも。

 紅薔薇姉妹は祥子と祐巳の姉妹関係。祥子の支えとなることを望みつつも、うまくできない自分と、それをさらっとやってしまう柏木さんとの対比で 凹んでしまう祐巳の構図はうまく描けてて良かった。ただ、妹関係の進展は瞳子の登場がなかったために一切無し。でも、この展開で 瞳子ちゃんが出てたら祐巳の復活にさらに時間がかかりそうだものねえ……。祐麒くんで良かったと思う。(ワタシが祐麒くん好きというのも ありますが)
評価:3  07/04/05読了
マリア様がみてる 妹オーディション』←  →『マリア様がみてる 未来の白地図

春季限定いちごタルト事件
(著:米澤穂信 イラスト:片山若子)  東京創元社
 高校入学を期に過去の自分を捨て、小市民になることを望み、互恵関係を築いている小鳩君と小山内さん。しかし、そんな 二人の前には奇妙な謎が現れる。消えたポシェット、意味不明の2枚の絵、おいしいココアの謎、テスト中に割れたガラス瓶。そして、 強奪された自転車。
 ときたがりな自分をただそうとする小鳩君は果たして小市民になることが出来るのだろうか……。
 日常の謎系統と聞いていたのでけっこう楽しみにしてましたが、期待してたものとはちょっと違うような……。
 まあ、これはこれで楽しく読めましたが。

 小市民をひたすら目指そうとする二人だけれど、長年のクセはぬけず、なかなか小市民にはなれない……というのが大まかな流れかな。
 謎がけっこう小粒ながらも考えさせられて、面白かったですね。「おいしいココア」は特に考えてしまいました。

 ちまちま事件を解決しつつも張っておいた伏線がラストの「孤独の心」で活かされてますね。最後の方になると小鳩君の一人称のために あまり語られない小山内さんの過去も気になっていたのでちょうど良かったです。さらに、小山内さんが、謎になってしまいましたが。

 ただ、二人の関係は‘互恵関係’というよりも‘仲間’な気がしました。
評価:3+  07/04/05読了

蠱猫(こねこ) 人工憑霊蠱猫01
(著:化野燐 イラスト:toi8)  講談社ノベルス
 妖怪(つーか化物?)を具現化する力を持つ図鑑『本草霊恠図譜』。この本を発見したのは美袋学園司書・小夜子。 そして小夜子を、本を狙う‘有鬼派’を名乗るもの達が襲い始める……。
 普通の人には見えないモノが見えてしまう性質の白石。妖怪データベースを作るというプロジェクトを担い、 仲間たちと楽しく学生生活を送っていたはずの彼だったが、主流派に刃向かったことから学内に居場所はなくなっていく……。
 現代舞台の妖怪伝奇もの。著者略歴に妖怪文人と書かれてるくらいですしね。

 内容は簡単に言うと京極夏彦と甲田学人を足して、京極さん寄りに2で割った感じでしょうか。
 妖怪やら民俗学的性質やらの説明くさい、キャラもの目指してるアクション伝奇小説というか。

 なんか、ここまで言うとけなしてるくさく聞こえますが、別にけなしているつもりはありません。こういうテーマ(妖怪とか民俗学とか) のモノは好きなので楽しく読ませていただきました。欲を言うならば、こういうテーマが今よりも大好きだった高校時代に出会いたかったかなとは思いますが。

 さて、この作品、前半と後半(厳密には前半3分の1)で視点が変わります。
 前半(小夜子視点)がちょっと予想してた展開と違うかもと思わされつつも、ピンチを切り抜けたかなどうなるの?というところで終わってしまったのが ちょっと残念に思いつつ、後半(白石視点)に強制移動。
 小夜子さんはどうなったの(シツコイw)ということも頭をかすりつつ、しばらく白石視点の青春+学内派閥なクロイお話。データベース作り初期の 仲間とわいわいやってる話は楽しく読みましたが、次第に暗雲が……。そして、小夜子さんにつながってはいきますが……。

 全体の感想としては、物語はまだはじまったばかり! というところでしょうか。この一巻は各キャラと世界観の紹介巻という位置づけでしょうが、 もうちょっと起伏が欲しかったかな〜というカンジはしました。
 評価を下すにはもうちょっと先の巻まで読んだ方がよさそうな気がするので、適宜、ゲットしてきます。
評価:3  07/04/19読了
→『白澤 人工憑霊蠱猫02

孤狼と月 フェンネル大陸 偽王伝
(著:高里椎奈 イラスト:ミギー)  講談社ノベルス
 大陸の東端に位置するストライフ王国。ストライフ王の末子で13歳の少女にして指揮官のフェンベルクが指揮するのは人々から嫌われている 悪鬼(グール)を主とした獣兵師団だった。
 順調に成果を上げる彼女だったが、ちょっとした出来事がきっかけで、彼女の運命は転落してしまう。
 とっても劣化した「デルフィニア戦記」ぽいなあ、というのが読んでいて全体通して感じたことですかね。
 転落のし上がり系な感じから感じ取ったのかなあと思います。そういう意味では王道といえるのかな〜。

 前半はストライフ王国と他の周辺各国の地理とか政治的事情が地の文で語られていくのでイマイチ理解できず、う〜ん、と思いながらも 読み進めていったのですが、フェンがストライフ王国に帰国した辺りからはそこそこ読めるようになってきました。
 特に、後半はフェン自身もよく知らない世界での話になっていくので、状況説明もわかりやすくなってきましたし。 通貨の説明は特にわかりやすかったですね。

 まだ、ストーリー自体は‘プロローグ’という感じでしょうか。タイトルの「偽王伝」の‘偽王’ってなんじゃ? と思っているのですが、 まあ、そのうちに出てくるのでしょう。王国の闇の部分や他国との関係もやがて出てくるのかな。

 とにかく、主人公のフェンが、けなげで素直でかわいいです。後半になって出てくるその他のキャラクターもそれぞれに 色づけしてあって、過去やらが気になるキャラが幾人かいますし。(テオとかサチとかユイジーンとか、クレインとか) 前半の王国のメンバーたちもそのうちにフォローがされるのでしょうねえ。

 ただ、キャラ立ちはまあそれなりの水準だと思うのですが、世界観がちょっと弱いように思うのですよね……。ファンタジー!!なのは 分かっていますが、‘ローブ’‘マント’が中心の世界で‘キャミソール’だの‘ショートパンツ’だの使われると「ん?」と引っかかってしまいました。
 あとは国独自の特色の部分でしょうか……。ストライフ王国での常識がフェンの降り立ったところでは通じない部分があるのだろうと予測するのですが、 その辺をもうちょっと描いて欲しいな〜と思いました。(この辺は前半での描写不足もあるのかも知れないけれど)

 あとは本当にどうでもいいけれど、ワタシは‘フェンベルク’→女の子 とは思えなかったんですよ……。地の文では‘彼女’なので女の子なんだろうな と思っていましたが意識改革に本全体の3分の2くらいは費やしました……。
評価:3  07/04/20読了

涼宮ハルヒの消失
(著:谷川流 イラスト:いとうのいぢ)  角川スニーカー文庫
 ある日、登校したキョンは異常すぎる異常事態に気づく。  「涼宮ハルヒ? それ誰?」その世界の人々はそう言う。ハルヒの座るはずの席には、消滅したはずの学級委員、朝倉涼子が座り、 SOS団の団員たちはそれぞれあくまで普通の人々のように過ごす。  新世界にもがくキョンに残された元の世界の長門から残されたかろうじてのヒントとは……。
 ハルヒも4冊目。
 今回はハルヒがいなくなった世界にぶち込まれたキョンが頑張るというSFな設定です。

 いやあ、面白かった!!
 これまでハルヒの巻き起こす事件に巻き込まれて、「ハルヒがいなかったら……」などとぼやいていたキョンが、実際にハルヒがいなくなった 世界にぶち込まれそれを当然とする世界の人々に取り囲まれることで、初めてSOS団のむちゃくちゃなメンバーを懐かしいと思う。その過程が 良かったです。

 たしかに、ちょっと事情やきっかけが違っただけで、出会うはずだった人々とは出会わずに別の人々と出会うようになる。消滅するヒトも 消滅しなかったりするかも知れない。あり得たかも知れない日常。
 けっこう皆さんあげてますが、たしかにバック・トゥ・ザ・フューチャーに似てますね。

 後半、ハルヒと古泉が高校に押しかけてくるあたりはご都合主義的で(しょうがないけど)楽しめませんでしたが、過去からの脱出の辺りで 持ち直したのでオッケー。
 入院したキョンにちょっとだけ優しくなるハルヒはさすがのツンデレキャラだなw

 表紙のキャラは誰かと思いましたが、これは朝倉さんですね。ここを除いたらもう出てこれないだろうもんなあ。
評価:4−  07/04/24読了
涼宮ハルヒの退屈』← →『涼宮ハルヒの暴走

涼宮ハルヒの暴走
(著:谷川流 イラスト:いとうのいぢ)  角川スニーカー文庫
 「エンドレスエイト」……SOS団はハルヒの提唱で思いつく限りの夏休みイベントを夏休みの残り2週間でこなすことに。しかし……
 「射手座の日々」……SOS団にたたきつけられたのはパソコン部からのゲームでの挑戦だった。
 「雪山症候群」……冬。夏休みに引き続き、別荘へ行ったSOS団は……。
 ハルヒ5巻目。
 雑誌掲載短編、および書き下ろしですね。

「エンドレスエイト」
 なんだか久々のハルヒの力が大暴走なお話。
 題材そのものはそんなに珍しいモノでもないですが、回数にハルヒの莫大な力を感じ取ります(笑)
 まあ、いつも通りにまわりが大あわてなだけであって、ハルヒ本人は蚊帳の外なわけですが。
 前半の遊び倒す話がちょっとテンポ早すぎ?と思わなくもなかったですが、けっこう楽しかったです。

「射手座の日々」
 わりに日常パートかな。長門さん大活躍の巻。っと、コレは時系列的には消失の前か。伏線になってたわけね。
 無言でキョンを見つめる長門はカワイイのですが、そろそろ長門さんの万能具合がウザく感じるようになってきたのですが〜。長門さん ストーリーバランス崩しすぎじゃない? みたいな。

「雪山症候群」
 ここでも長門さん大活躍だったら本を投げてたかも。実際には、キョンと古泉という組み合わせですが。
 ちょっと解決編がしっくりこないですね……。誰が何の目的でそんなことをしたのかが一切不明。推測のみは古泉がしてくれますが。 図形の問題はちょっと突発的かな〜と思ったり。
 ハルヒを言いくるめるキョンがさすがだな〜と思いました。
評価:3+  07/04/27読了
涼宮ハルヒの消失』← →『涼宮ハルヒの動揺

涼宮ハルヒの動揺
(著:谷川流 イラスト:いとうのいぢ)  角川スニーカー文庫
 「ライブアライブ」……文化祭当日のハルヒの行動とは……。
 「朝比奈ミクルの冒険 Episode00」……文化祭当日に上映された映画の内容は……。
 「ヒトメボレLOVER」……突然、電話をかけてきたキョンの友人。かれはとんでもないことを口にした。
 「猫はどこに行った?」……冬山別荘で行われた推理ゲームの行方は。
 「朝比奈みくるの憂鬱」……なんとキョンがみくるとデート? しかし、みくるは物憂げで……。
 ハルヒ6巻目。
 今回も雑誌掲載短編と書き下ろし。

「ライブアライブ」
 そういや、文化祭当日のお話って一切触れられてなかったものねえ。
 こういう特に大事件が起こらないお話というのもたまにはいいかも。
 ありがたがられる行為をしてしまったハルヒの居心地悪そうな感じが良かったです。消失以降、ハルヒ丸くなってますよね〜。

「朝比奈ミクルの冒険 Episode00」
 『溜息』で撮影した映画の内容のお話なわけですが、うう〜、退屈。
 いやまあ退屈なのが正しいあり方なのではありますが……。でも読むなら面白い方がよいです。

「ヒトメボレLOVER」
 ちょっと珍しい導入で「おおお」と思いました。そして、オチの付け方でもう一度「おおお」と(笑)。
 ちょっと中だるみがあったかなと思いましたが、長門さんの「……少しだけ」のセリフで全て帳消しです!

「猫はどこに行った?」
 前巻『暴走』の「雪山症候群」に続くお話ですね。たしかに、あれだけ猫々言ってて、推理ゲームのお話がなかったのは不自然だなあと思っていました。
 サスペンスは頭を使うな〜。ちょっと結末は卑怯な感じでしたが。

「朝比奈みくるの憂鬱」
 初期に「禁則」「禁則」言っていたみくる(小)の気持ちをキョンが理解しちゃうところが‘あ、キョンが今、レベルアップした!’という感じでした。
 『消失』からこっち、長門さん攻めだった気がしますが、ここいらからみくるさんストーリーが展開されるのかな。
評価:3  07/04/28読了
涼宮ハルヒの暴走』← →『涼宮ハルヒの陰謀

涼宮ハルヒの陰謀
(著:谷川流 イラスト:いとうのいぢ)  角川スニーカー文庫
 懸案事項だった12月18日へのタイムトラベルを終えたキョンはアンニュイな雰囲気のハルヒにおびえつつも2月の冬の日を過ごしていた。
 そしてある日、キョンは文芸部室の掃除用具入れの中に何故か入っている朝比奈さんを発見する。彼女は8日後という超近未来からきたという朝比奈さんで、 それを指示したのはなんと8日後のキョン自身だという。ともあれ、キョンは未来からの手紙を元に行動を始めるが……。
 ハルヒ7冊目。
 久々の長編……てか厚いな〜。

 前巻の「朝比奈みくるの憂鬱」から引き続いてのみくるさん押しです。長編でみくるさんがここまで出てくるのは溜息以来な気がします。

 各キャラともに『憂鬱』でハルヒによってかき集められて以来、約一年間が物語内で経過して、それぞれがそれぞれなりに成長しているんだ な〜ということを痛切に感じ取りました。
 特に長門さんが同期機能を捨てて‘「未来における自分の責任は現在の自分が負うべきと判断した」’などと言う辺り、ほんっとーに成長したな〜 と思いました。

 ただ、ストーリー進行自体はいつものハルヒで、キョン君頑張れーてなもんですが、これからのストーリーへの布石らしい各陣営の対立組織 という項目は私の期待をはずしておりました。鶴屋さんもそこまで出張ってくる人なんだ……と思ってしまったし。
 と、いうのは鶴屋さんには裏事情など無く今までのようにSOS団の名誉顧問でいて欲しいな〜という感じで思っていたというのもありますし、 まあ、それを抜きにしても、初期の爆発的なハルヒならいざ知らず、今の丸くなって仲間と遊んでいるようなハルヒを各陣営が欲しがるのだろうか という純粋な疑問があるのです。
 この変化がターニングポイントとなって、これからに影響していくんでしょうけど、ちょっと期待している方向とは別方向に いきそうなカンジがもんもんとしますね……。
評価:3+  07/04/29読了
涼宮ハルヒの動揺』← →『涼宮ハルヒの憤慨

今月の感想数 8冊

今月のお気に入り
1位『涼宮ハルヒの消失
2位『蠱猫(こねこ) 人工憑霊蠱猫01
3位『涼宮ハルヒの暴走


 ハルヒ以外ろくなの読んでないなあ……。
 蠱猫は期待値評価です。続きに期待。



一番上へ   トップ 目録