2007年08月分の感想
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モップの魔女は呪文を知ってる
(著:近藤史恵 イラスト:飯田貴子)  実業之日本社
 ジムで働く亨はある日、水でやけどをしたという訴えを耳にするが……「水の中の悪意」
 大学生の奈津はバイトして念願のネコを手に入れた。しかしある日帰宅すると、よく似たネコにすり替わっていて……「愛しの王女様」
 小児病棟には魔女が出る。そのウワサの真相とは……「第二病棟の魔女」
 会社社長の美穂は清掃作業員とぶつかって……「コーヒーを一杯」
 相も変わらず日常の謎をさらりと解決するこのシリーズ。

 私は「愛しの王女様」と「第二病棟の魔女」が好きでした。
 「愛しの王女様」は奈津が私と同世代なので、感情移入がしやすかったですね。欲しい物のために頑張る彼女がとても好印象です。 山崎のローズネットクッキーとか私もよく昼休みのお世話になってます(笑)
 前半の方が感情移入しやすかったせいか、後半の事件部分よりも前半のネコを手に入れるまでが印象的だったりはしますが(苦笑)

 「第二病棟の魔女」はこれもこれで感情移入しやすかったです。
 小児病棟は患者は子どもだけど、実際に対応するのはお母さんだったりしますからねえ。保護者と被保護者との考えが意外と違ったりするけれど。
 キリコの「ふだんは大人が子供にいろんなことを教えて、無理なことからは守ってあげるんだよね。 そうして、子供のリュックの中にも、いろんな道具や本が少しず増えていくの。 だけど、ときどき、そんなふうに大人が守ってあげられないことがあるんだよね。たとえば、学校の中のこととか」というセリフが深いです。

 前回の「モップの精は深夜に現れる」と違って、今回はキリコの私的な問題は「第二病棟の魔女」に入ってます。そうか、そういう結末を迎えちゃったのか ……。


  ミュンヒハウゼン症候群って本当にあるんだ……。
評価:4-  07/08/01読了
モップの精は深夜に現れる』←

サンクトゥスは歌えない 翼に降る灰
(著:漲月かりの イラスト:都筑せつり)  角川ビーンズ文庫
 人工島ヘブンを含む一帯をとりしきる組織<紅狼>のトップだったバランタインが死んだ。
 新たにトップとなったのはリョウという青年。彼は天馬の知り合いだった。
 折良くリョウへの逮捕状がおり、<紅狼>へ興味を持っていたパピヨン。そして持たざるを得なくなった天馬は彼を追うことにするが……。
 ほほう。読んだのは前作から一年以上ぶりですか。

 今回はあまいということは感じなかったですね。ありふれてるな〜とは相変わらず思いましたが。
 前回はストーリーを追うことが中心だった気がしますが、今回はキャラの過去をほじくる(言い方悪い)ことが中心。  天馬の過去はわかりやすかったですが、パピヨンの過去、リョウの過去はちょっと混乱しました。(いや、ホントにちょっとよ?)

 ラストは後味悪い感じの幕切れ。
 あ、でも下手に続けようとするよりは好感を抱きましたね。


 イラストの方、今回やけにバランス悪いですねえ。
評価:3  07/08/02読了
サンクトゥスは歌えない 名前のない少女』←

マリア様がみてる 未来の白地図
(著:今野緒雪 イラスト:ひびき玲音)  集英社コバルト文庫
 試験休みのある日、行方不明になった瞳子が現れたのは祐巳の家だった。
 その日、何があったのか聞けないまま、祐巳はクリスマスを迎える。
 恒例の薔薇の館でのクリスマスパーティ。由乃は妹候補の菜々を招待したいがために、祐巳に瞳子と可南子を呼ぶように言うのだが……
 4月以来このシリーズを読んでいなかったら突然「マリア様がみてるが読みたい!」となりました。なので、積読から急いで探してきて読むことに〜☆ やはり読書は機会が大事です。

 なんというか、いまだに私は瞳子ちゃんが苦手です。彼女を見ているとイライラむかむかするんですよね……。素直じゃないからかなあ。 可南子ちゃんと一緒にいるときの素直な瞳子ちゃんはわずかながら「可愛いなあ」と思ったりもしたのですが、祐巳と一緒にいるときの彼女は ダメです。イライラします。
 とはいえ、私の個人的な心情とは裏腹に祐巳はついにロザリオを……。
 ま、ここまでひっぱてきているんでさらに引っ張られても別にかまいませんとも。じっくりやってくれい。

 反対に由乃ちゃんトコの菜々ちゃんは好きだったりします。由乃の思いに気づいてなさ具合と肝の据わった感じのギャップが非常によい。 まだまだ発展途上な感じですが、今後に期待。

 令と祥子のエピソードは数ヶ月後の卒業感を漂わせてくれますね。令は令なりに卒業後のことを考えていて、由乃には言えない気持ちを 祥子に言いに来る辺り、二人の友情を見せてくれます。お茶会の様子だと由乃離れ出来るかは怪しい感じですが(笑)
評価:3+  07/08/06読了
マリア様がみてる 薔薇のミルフィーユ』←  →『マリア様がみてる くもりガラスの向こう側

刀語 第三話 千刀・(ツルギ)
(著:西尾維新 イラスト:)  講談社BOX
 七花ととがめが訪れたのは出雲の三途神社。その長、敦賀迷彩が所有する千刀こそが今回の標的だった。
 はいはい、びっくり刀集めの珍道中シリーズ刀語りの三巻目です。

 三巻目にしてはじめて敵キャラが気に入ったかも。
 巫女さんですからねえ。(にやにや)
 とはいえ、あの結末ですが。

 自称「俺は一本の刀だ」の七花はふだんは暢気ですが、時々、妙に刀らしいですねえ。これからの成長如何ではそれなりに恐ろしい キャラになりそうですが、相方が、あれだからなあ。お姫様だっこって……。

 このシリーズ、読むのはするっと読めるんですが、頭にあんまし残らないので、感想が書きづらいです。なんでかなあ。

 水準外漢字は困りものね〜……。
評価:3  07/08/07読了
刀語 第二話 斬刀・鈍』← →『刀語 第四話 薄刀・針

マリア様がみてる くもりガラスの向こう側
(著:今野緒雪 イラスト:ひびき玲音)  集英社コバルト文庫
 クリスマスパーティから数日後。祐巳の家に祥子から新年会の招待状が届く。今年は女性限定のお泊まりでの新年会だそうで、 年明けに小笠原邸に集合した三薔薇姉妹は百人一首や人間双六に興じる。
 しかし、祐巳の心はどこか晴れず……。
 内容の大部分はタイトルとは裏腹な、妹問題関係無しの楽しそうな状況が展開されたりしてます。
 祐麒くんがあいかわらずカッコヨイです。ホント、あんな弟が欲しいけどなあ。

 そういえばどの色も、薔薇、つぼみ、つぼみの妹の三世代はそろってないんだよねえ。どこも、薔薇とつぼみだけ。
 それにしても、人間双六が非常に楽しそうだったのですが。ぞうきんだとか、ホットケーキだとか、はてには着物を着せたりしてて、いいなあ、こういうの と非常に思いました。
 男性陣の乱入もあれはあれで良かったです。
 祐巳のとった行動は、基本的には間違っていないし。(笑)

 瞳子ちゃんの気持ちを優さんに聞かなかった祐巳は正しいと、思いますよ。あそこまで行った状況でよく踏みとどまったなあと思う。 聞いたら何らかの対処が出来るのかも知れないけど、祐巳は顔に出るから瞳子に察せられてしまって、逆効果である確率が高いし。それなら 知らないままで頑張った方が良いのだと思う。頑張れ、祐巳ちゃん!
評価:3+  07/08/15読了
マリア様がみてる 未来の白地図』← →『マリア様がみてる 仮面のアクトレス

マリア様がみてる 仮面のアクトレス
(著:今野緒雪 イラスト:ひびき玲音)  集英社コバルト文庫
 新年に祥子の家に自転車で行きたい! ということで、由乃は自転車に乗る練習を始めるのだが……(黄薔薇、真剣勝負)
 新年終わって、3学期。次期生徒会選挙が行われる。その説明会に二年生3人は参加する。しかし、瞳子が説明会に現れる。その目的は……(仮面のアクトレス)
 表紙のイラストが雰囲気あって好きです。仮面舞踏会〜♪ な感じで。

 そっか、由乃さんは自転車も乗れなかったんだねえ。前巻のくもりガラスの向こう側で、自転車エピソードを押すなあとは思っていたのよ。それにしても、 自転車訓練で「離さないから!」で離すのは常識だと思ってたんだが……さすが、令ちゃんだ(笑)
 でも、手を離すべき所はちゃんと見えてるんですよねえ。こうやって、手が離れていくのか。

 瞳子ちゃんは相変わらず、引っかき回しますねえ(苦笑) 彼女を見ていると素直になれない子を見ている痛々しさはやはりあります。
 令ちゃんと祥子のコンビも、由乃、志摩子、祐巳、蔦子の友情もなんかいいなあってかんじ。 瞳子にも乃梨子の思いが通じればいいんだけどねえ。

 まったく関係ないけど、選挙で落ちて、違う人が薔薇になったなんてことがリリアン史上であるんだろうか。
評価:3+  07/08/16読了
マリア様がみてる くもりガラスの向こう側』←  →『マリア様がみてる イラストコレクション

マリア様がみてる 大きな扉 小さな鍵
(著:今野緒雪 イラスト:ひびき玲音)  集英社コバルト文庫
 生徒会選挙も無事に終わり、新聞部は今年もバレンタイン企画を提示する。
 一方で、選挙に敗れた瞳子は……。
 バレンタイン企画については、白薔薇さんトコはラブラブね……という一言に集約しておきます。

 瞳子ちゃんの秘密かあ。しかしコレって瞳子ちゃん自身がジタバタしたってどうにもならないことじゃないのかなあ。どうにもならないから 逆にイライラしてじたばたするのはあるかもですが、逆効果なような……。
 それにしても、乃梨子以外にも瞳子を見ていてくれてる人はいるんですねえ。祐巳は「瞳子ちゃんは私が妹にと望んだ人なのよ。勝手に価値を 下げないでもらいたいわ」なんて、祥子さまばりにお姉様なセリフを言っているし、瞳子はもうちょっと周りを見渡すべきだよ。
評価:3+  07/08/19読了
マリア様がみてる イラストコレクション』← →『マリア様がみてる クリスクロス

マリア様がみてる クリスクロス
(著:今野緒雪 イラスト:ひびき玲音)  集英社コバルト文庫
 バレンタイン企画当日。当初は参加しないつもりだった瞳子も、乃梨子の挑発に乗せられて、参加することに……さてゲームの行方は……。
 一気に大進展! なマリみて28巻目。

 瞳子がついにまとっていた物を脱ぎ捨てて、一気に間合いをつめる感じですねえ。
 乃梨子の友情がキラッと光ります。
 もう、瞳子と祐巳は身辺整理をしてくっつくだけかなあ。

 由乃さんトコは関わりがなかったので進展無しですね。

 それにしても、3者3様、隠し場所に凝りすぎなカンジがします。来年どうするんだろう。
評価:3++  07/08/19読了
マリア様がみてる 大きな扉 小さな鍵』← →『マリア様がみてる あなたを探しに

マリア様がみてる あなたを探しに
(著:今野緒雪 イラスト:ひびき玲音)  集英社コバルト文庫
 バレンタイン企画の後始末。
 白薔薇の志摩子が隠したカードは不在者チャンスで1年生の井川亜実という子にあたる。 しかし、彼女は目立ちなくないとこそこそと打ち合わせをするのだ……。
 紅薔薇の祐巳のカードは祥子の物なのか瞳子の物になるのか……。
 去年と同じデートコースを巡る志摩子と亜実。
 由乃とちさとも敢えて同じデートコースを選ぶ。

 そして、祐巳は相手任せ。……祐巳がこのデートで知ることとは……。

 3者3様のデートが良かったですね。
 由乃とちさとも意外と良いコンビで楽しそうだし。
 祐巳はようやく素顔の瞳子ちゃんにたどり着いた感じ。彼女も素直なときはカワイイと思うんですけどねえ。

 個人的には新聞部の二人のデートコースがちょっと気になります(笑)
評価:3+  07/08/21読了
マリア様がみてる クリスクロス』← →『マリア様がみてる フレームオブマインド

マリア様がみてる イラストコレクション
((著:今野緒雪 イラスト:ひびき玲音)  集英社コバルト文庫
 くもりガラスの向こう側までのイラストが収録された作品。ひびきさんのコメント付き。
 こうして通してみるとやはり、絵が変わってますねえ。CGになってからはとくに綺麗な感じが。
 インライブラリーの表紙絵が個人的には好きです。

 書き下ろし短編はまだ由乃が入学したばかりですねえ。病弱でも芯にあるのはやっぱり由乃さんだなあって思いました。
評価:3+  07/08/23読了
マリア様がみてる 仮面のアクトレス』← →『マリア様がみてる

一瞬の風になれ 第一部 ―イチニツイテ―
(著:佐藤多佳子 イラスト:クサナギシンペイ)  講談社
 中学まではサッカー一筋だった新二。けれど、才能の限界を知ってしまい、サッカー部のたいして強くない春野台高校に進学する。 一方で幼なじみの連はホープと期待されながらも部員とそりが合わずに陸上をやめてしまっていた。
 しかし、ふたりは春野台高校で陸上をすることにする。
 もう、記憶が遠いですが、本屋大賞の受賞作ですね。

 感想を一言で言うなら「ああ、青春だなあ!!」って感じでした。
 主人公が素直で文体もかなり読みやすいので、読み始めると一気読み間違いなしです。

 主人公の新二のお兄さんは将来有望なサッカーの天才。幼なじみの連は練習せずに記録を出してしまう陸上の天才。そんな、天才に囲まれても 卑屈にならず(時々はなってるけど)、彼らを目標にしてしまう新二は素直で眩しいくらいです。
 一方で、そんな新二と連を取り囲む、陸上部の同期である根岸、女子二人。そして陸上部の先輩、顧問もそれぞれ特徴的な性格をしていて、 これからどういう成長をしていくのかなあという楽しみがあります。

 主人公目線で感情の機微が丁寧なくらいに描かれているので、かなり感情移入して読んでいました。
 読んでいると‘早く走れるかも!’‘走りたい!’という錯覚を起こさせてくれます。(現実にはビリかブービーだったのでとてもとてもですけどね)
評価:4  07/08/24読了

マリア様がみてる フレームオブマインド
(著:今野緒雪 イラスト:ひびき玲音)  集英社コバルト文庫
 事故のために1年留年しての高校生活を送る鈴本いちご。彼女は事故以来、デジャビュに襲われることが多かった……。(四月のデジャブ)
 立浪繭は、黄薔薇革命を機にお姉様である本山栄江にロザリオを返し、理想のお姉様を探すことにした。きっと自分を輝かせてくれる理想の お姉様がいると信じて……(三つ葉のクローバー)
 ある日、克美は妹の部屋で妹と一緒に写った穏やかに笑う自分の写真を見つける。克美は自分は「あの人」とこんな風に写真に写りたかったのだと気づく。 高等部を卒業した今、その思いは遅いはずだったが、克美は「あの人」と神社で再会する――(枯れ木に芽吹き)
 『2年間自分を退屈にさせないこと』鳥居江利子が妹に求めた条件はコレだった。そして、江利子はマリア様の前で祈っていた男の子のような一年生に 目を留める。彼女の指に黄色い糸があったような気がしたのだ。江利子は彼女のことを調べ始める……(黄色い糸)
 寛美は幼なじみでいじめられっ子だったミケ―三池さゆり―をリリアン女学園でも守っていこうとリリアン女学園へ入学する。いろいろと世話を焼く 寛美だが、ミケは寛美にうち解けて話してくれているようではなく……(不器用姫)
 リリアンに入学した可南子は祐巳に光を感じ、彼女に近づいていこうとする。(光のつぼみ)
 ‘古い温室には妖精がいる’リリアンに流れるうわさ話だ。けれど皐月はどうにも気になって仕方なく、つい温室に寄ってしまう。そんなある日、 皐月は「お水をちょうだい」と言う声を聞く。(温室の妖精)
 マン研の合宿に参加した水湊。やることもない夜、肝試しをすることになる。証拠として撮るインスタントカメラだが、どうも使用枚数が多い。 とうとう水湊の番になり、そこで出会ったのはナントそっくりな少女!?(ドッペルかいだん)
 3年生を送る会に作品を出品するように言われた笙子。蔦子に協力を得ずに写真を撮ることを証明するために笙子が選んだ被写体とは……(A Roll of Film)
 すいません、あらすじ、頑張ってしまいました。 なんだこの長さ……。どうにもこのデザインって短編集に向かないよねえ(苦笑)

 まあ、そんなこんなで一言感想。
 1話目:10ヶ月昏睡って……すげえな。(「空の境界」の式は2年か←比較対象が間違ってる) まっとうな感想を述べるなら、鈴本さんと鈴木さん、 因縁が深かったんだろうなあ、と。
 2話目:繭はちょっと考えを間違ってしまったんだろうなあ。「完敗だわ」という負け方をしたのできっと、いいお姉様になれますよ。
 3話目:克美さまには「人生まだまだこれから!」と言う言葉を。この二人、いい友達になれるんじゃないかなあ。
 4話目:江利子様の行動力に驚嘆。妹決めって案外、直感勝負なのかしら……。
 5話目:一番印象に残った話です。さゆりが爆発せずに、早い段階で寛美に思いを伝えられてたら、もうちょっと穏便な結末があったかも 知れないですけどねえ。
 6話目:可南子ちゃん、頑張ってたもんねえ。……実は一番印象が薄かった話。
 7話目:ちょっと不思議な読後感の話。ま、乙女の園の話ですし、こういうのがあっても良いですよね。
 8話目:あはは。アリコなんて名乗ってるけどドッペルゲンガーの正体って……。やるなあ。
 9話目:笙子ちゃん、頑張れ! そして落とし物はするなよ〜。

 個人的にはこういう、他の生徒にも焦点が当たる、短編集は好きだったりします。もちろん、本編も気にはなってるんですけどね。
 あ、でも1話目、2話目辺りは話の内容が古くて、ちょっと、頭が混乱してしまいました。
評価:3+  07/08/27読了
マリア様がみてる あなたを探しに』← →『マリア様がみてる 薔薇の花かんむり

今月の感想数 12冊

今月のお気に入り
1位『一瞬の風になれ 第一部 ―イチニツイテ―
2位『モップの魔女は呪文を知ってる
3位『マリア様がみてる フレームオブマインド


マリみてを大量読破の月でした。



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