2006年7月分の感想
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リリカル・ミステリー 白い花の舞い散る時間〜ガールズレビュー〜
(著:友桐夏 イラスト:水上カオリ)  集英社コバルト文庫
 とある塾が主催するネット上の掲示板で出会った5人は一人が作ったHPのチャットで親交を深め、ついに会うことにした。
 オフ会の時は匿名性を高めるため、ハンドルネームではなく新しい名前を振り分けることにした。会合場所の名前は「ムラサキカン」 そして、会合場所に集まったのは、4人だった。
 最後の一人は現れず、少女たちは4人で五日間を過ごすことにするが……。
 巡回しているサイトさん各所で好評だった05年度新人さん作品。古本屋で見つけたので購入しておいたのですが、浅木原さんところが 05年新人評価を実施していたのを機会に読んでみました。

 ええっとですね、いや、期待以上でしたよ! ちょっとコバルトに対する認識が改まったかも知れない……。
 ミステリーを名乗っていても、たいしたこと無いんじゃ……とか思っていましたが、謎解き要素がけっこうこゆかったですね。 メモとか取りながら読んでみたら良かったかも知れない。再読するんだったら、伏線とかに気をつけて読みたいなあ……。

 4人の少女たちの個性とひとりひとりの持ち合わせた事情がちょっとずつ小出しにされていて、飽きさせないです。来なかった一人と 謎の人影は良くある手法ですが、少女たちの事情が投影されて緊迫感とそれぞれの距離を増しているし。 もともとがハンドルネームでその上さらに新しい名前を振り分けるというのも誰が誰だろうと思わせてくれて良かったです。

 それだけに残念なのが後半ですね。前半だけだったら確実に評価点数を5にしようと思ったのですが、後半がちょっといやかなり意外だったのでね。
 一見ふつうのマラソン大会。実はランナー全員、体操選手みたいなっ! って感じですか(驚きのあまり、巫女子ちゃん化)

 その展開はちょっとなあ、ちょっとなあ、て感じでしたが、前半はすごく良かったので次回作に期待したいですね。(古本、出回ってないかなあ)
評価:4+  06/07/02読了

月の盾
(著:岩田洋季 イラスト:室井麻希)  電撃文庫
 妹の小夜子が亡くなった五年後、あきらの家に親戚の娘である国崎桜花が引き取られた。
 「日没は嫌い」といい、日没になると眠る彼女は、やがて絵を描き始め、その絵が発端で一家はある騒動に巻き込まれていく……。
 前作の「護くんに〜」はなんだかタイトルからして私には合いそうになかったので敬遠していたのですが、これは評判も良いようだし、 一冊完結らしいので手を出してみました。

 良作だなと思いましたね。
 「見た人全員を感動させる絵」なんかが実在するとは思えませんが、(→その絵の作者に自分の大切な人たちが 殺されたと思う遺族たちなら、さらにそうだと思いますね。 数年経ってほとぼりが冷めてからやっと冷静に絵を絵として見られるようにはなると思いますが←)
 この点を差し引いても、良作だったなあと。
 桜花の成長に重点を置いて丁寧に描かれているからでしょうか。主人公や友人たちが自らの状況と戦いながらも 桜花を見守っているのが好印象でした。欲を言えば、桜花と同世代との交流も描いて欲しかったかなとは思いますが。
 あとはちょっと詩的な部分があって、そこと桜花の華々しい成功があいまるとちょっと話自体が作り物っぽくみえるかなあとも思いましたね。 詩的な部分は桜花の描く絵を想像させてもくれるのだけど。

 続きが出ないからこそきれいに終わっている点も良いですね。
 それにしても帯の「……日没は嫌い………」とあらすじはどうなんでしょうか。本文中にたしかにそう書いてはありますが、 私はこの言葉とあらすじでこの作品をなんとなく伝奇ものかなと思いこんでいたのですが……。
 帯は目を引くという役割があるからともかく、あらすじはきちんと内容を表すものにして欲しいですね。
評価:4+  06/07/06読了

光降る精霊の森
(著:藤原瑞記 イラスト:深遊)  中央公論新社Cノベルスファンタジア
 冤罪を背負い、身を隠していたエリオット(エリ)。彼は自分を襲う影に悩まされていた。
 そんな彼が森番の仕事中に拾ってしまったのは少女だった。少女はファティといいある人を捜していた。エリは成り行き上 その旅につき合うことになるが……。
 第一回C☆NOVELS大賞受賞作ですね。

 作品世界の雰囲気が好きな作品です。
 風景の描写が多くて、正直、読み飛ばしてしまった部分もあるのですが、 それでもこの風景描写のおかげで雰囲気が感じられたのではないかな、と思いますね。
 これからちょうど良い描写加減を見つけて欲しいなと思います。

 主人公エリと、ファティ、そしてファティの保護者代わりのゼッテのやりとりは好きだったのですが、 エリの話とファティの話がうまく絡まって無くて、ストーリー全体が散漫な印象になってしまったのが残念ですね。
 タイトルの割に精霊の森のシーンは少なく、妖精関係の話は面白そうだったのに ‘人間にあまり話したくない’という感じであまり明かされずに(そこが主題ではないですけど)進んでしまうのも残念ですね。

 好きなキャラは鷹の女王に苦労させられまくりの隼、ワートワーズでしたね。
 作者さんにはちょうど良く雰囲気の感じられる次回作を描いて欲しいです。
評価:4−  06/07/09読了

聖者の異端書
(著:内田響子 イラスト:岩崎美奈子)  中央公論新社Cノベルスファンタジア
 ――弱きもの。汝の名は女――女には名前を付けられず、親の名、夫の名で呼ばれる世界。
 名も無き王女の結婚相手は結婚式当日に忽然と消えてしまった。
 納得できない王女は幼なじみである見習い坊主を引き連れて、夫捜しの旅に出た。
 第一回C☆NOVELS大賞特別賞受賞作です。

 巡回各所で割と評判が良かったので、それなりに期待しつつ読んだのですが、私には合わなかったみたいで、 言われているほどにはあまりおもしろいと思えなかったです。
 終始テンションが低いせいでしょうか……。(ここがこの作品の最大の特徴だと思うのでけっこう致命的w)

 今、十日ほど経ってこれを書いていますが、思い返してみると味わい深い物語だったな……とは思いますね。地に足のついた ファンタジーという感じだったと思います。
 私には合わなかったというのは上記とは別にしょうがなかったという言うべきなんでしょうけど。
 もうちょっとストーリーに起伏があったら良かったかなあ。(語り手がローテンションなので仕方ないですが……)
評価:3  06/07/10読了

鍵の猫 Niki’s tales
(著:西門佳里 イラスト:モーリーあざみ野)  講談社X文庫ホワイトハート
 死んだ人間たちの魂を導き、現世と対になっている世界への扉を開ける「鍵猫」。
 川が流れるその街の「鍵」となったのはニキという名の仔猫だった。
 仔猫は本来、鍵猫にはしない。なぜなら、鍵猫になると成長が止まってしまうから。そして、仔猫が鍵猫になると 記憶をなくしてしまうから……。
 ともあれ、幼いニキは鍵猫の先輩である隼斗にいろいろと教わりながら成長していく……
 黒猫、好きなんですよねえ。というわけで買ってみた作品。(動機不順)

 「聖者の異端書」に引き続いて、雰囲気があまりライトノベルらしくない作品に当たったなあ……と思いましたね。
 岡崎二郎作「Neko×2(ネコネコ)」というマンガに似た感じを受けました。このマンガの視点を猫視点にするとこんな感じに なるのではないかと思いました。あくまで、雰囲気が!ですけども。

 話としては人間の魂を送る鍵猫たちと、魂を届けるカラスたちとの交流の話という感じでしょうか。
 鍵猫になったが故に記憶をなくしたニキがそれを取り戻そうとするのはなんとも切ない感じを受けましたが、その辺はうまく本編に組み込まれていて 楽しめました。

 う〜ん、でもストーリーよりは雰囲気を楽しむ話かなと思いますね。(最近、雰囲気重視だな……)
 ストーリーもそれなりなのですがね。
評価:3+  06/07/13読了

サンクトゥスは歌えない 名前のない少女
(著:漲月かりの イラスト:都筑せつり)  角川ビーンズ文庫
 近未来、東京沖合に浮かぶ人工島ヘブン。多国籍となっているそこでは警察代行エージェントが活躍していた。
 25歳にして転職歴25回という華々しい記録を持つ、天馬は高収入に惹かれて警察代行エージェントHYPEの一員となる。そこで 、出会ったのは背中に蝶の入れ墨を持つ女エージェント、パピヨン。やがて、それぞれが追う事件はひとつにつながっていき……。
 あ〜、なんというか、ちょっと、全体的にあまい。
 審査員絶賛! 超実力派新人などとあおりが書いてありますが、正直言って、この方より実力がある人は世の中に大勢いるでしょうよ……、と 思ってしまいました。

 話としてはヤマも伏線もきちんとあるし、いいと思うんですが、尖ったところがないというところが難点でしょうか。
 別に尖ったところが絶対に必要というものでもないですが、近未来SFアクション風味。という路線は割と見たことがあるので、どこかココ!という ところがないと印象に残りにくいかなと思いました。 (多国籍。ということだったからその辺の雰囲気が出てればもうすこし違ったのかな。東洋系多国籍ぽかったですが)
 あとは、空行を使いすぎかな〜と思いましたね。

 これ、一冊でも読めますが、後編があるみたいですね〜。まあ、見つかったら読むかもという方向で。

 しかし、華やかなイラストですねえ……。(イラストにけっこう惹かれてしまったことを否定できない……)
評価:3−  06/07/16読了
→『サンクトゥスは歌えない 翼に降る灰

ドリームバスター3
(著:宮部みゆき イラスト:山田章博)  徳間書店
 シェンが拾った行き倒れの少女、カーリン。彼女はやがて、シェンとマエストロの家に落ち着いていく。
 一方で、ドリームバスター仲間が行方不明になったことを知った、シェンとマエストロはドリームバスターたちの伝説となっている とある、場所に跳ぶことになるが……。
 このシリーズっていっつも以下次巻!ってところで終わっているのがつらいです。刊行ペースは年単位だし。
 まあ、年単位で内容忘れてるかなあ、と思っても、ちゃんとくどくない程度にほのめかしてくれるのはありがたいですが。

 惑星テーラで不死を目指し進められたのが、人間の体から意識だけを取り出す研究。通称、ナイトメアプロジェクト。
 人体実験の被検体として投入されたのは死刑囚たちだった。
 しかし、プロジェクトナイトメアは失敗し、死刑囚たちは意識だけの存在となって、地球へ逃亡してしまう。
 そんな死刑囚たちを捕まえるのがドリームバスターたちの役目なのだが……。

 今回はなぜ死刑囚たちは地球に逃げられるのかというところに焦点が当たり始めてましたね。
 そして、残り少なくなってきた賞金首(死刑囚)からドリームバスターをやめるか否かという彼らの悩み。
 あとはカーリン登場で、シェンとマエストロたちの普段の生活がかいま見えて楽しかったです。(日常描写好き。)

 さて、次巻をまったりと待ちましょうかね。
評価:4  06/07/20読了

新本格魔法少女りすか
(著:西尾維新 イラスト:西村キヌ)  講談社ノベルス
 周囲のほとんどを見下し、使えるものと使えないものという判断基準を持つ小学5年生、供犠創貴(くぎきずたか)。
 ‘魔法の国’からやってきた転入生、水倉りすか。
 二人はおのおのが目的のため、巻き起こる事件に乗り込んでいく……。
 けっこう前(ニンギョウガニンギョウ読んだあたり)から買ってはいたのですが、パラパラっとめくったり、 パラパラっとめくったりでなかなか本格的には手を出してませんでした。
 西尾だなぁ、と思いながら読んだのですが、

 あれ? なんか肩すかし?
 西尾だなあと感じるくらいにしか面白くないんですけども……。
 みょーに要素要素で戯言シリーズが頭にちらつくんですよねえ。いや、もちろん違うところもあるんですけど。(具体的に上げる気がしないのでパス) 結局、戯言シリーズが頭にちらついてしまってストーリーに入れ込めませんでした。
 これ単体で読んでたらまた評価が変わるのかも知れないですが、戯言シリーズも読んでるからかなあ。ああ、西尾維新だなあ、としか思えないです。

 ジョジョぽいところもあるみたいですが、ジョジョは未読だからそういう発見をする楽しさも別にないし〜。
 呪文やらはクトゥルー神話なのか……。余力があれば調べてみるかなあ……。

 そういえば、戯言に比べるとページが黒いですよね。(空白行が少ないということです)
評価:3+  06/07/22読了

聖獣王(クロスティア)の花嫁
(著:高遠砂夜 イラスト:起家一子)  集英社コバルト文庫
 弱小王国の世継ぎの姫として育てられたリージュは男勝りな姫君。
 そんな彼女の妹姫は大国ゼネスティアに嫁ぐことが決まっていたのだが、なんとリージュの婚約者と駆け落ちしてしまう。
 妹姫に代わりリージュが大国ゼネスティアへと降嫁するが、 ゼネスティアで王位継承者に最も近いと言われるゼルフォン=レストは「贄」としての力が足りないと激怒し……
 駅の古本屋で入手。

 設定甘くないか? コレ!というのが一番の感想ですね。
 なんでゼネスティアの王族だけが召喚できるのか、とかだからこその大国なんだろうけど、他の国々も黙っていないでどうにかしろよとか思いますね。
 冷酷だからこそ、召喚が出来るというのには何となく納得しましたが、 冷酷無比なヤツばかりが王になるような王国では王国として成り立たないのではないかとも思いますし。

 あとは途中からはあまり気にならなくなったのですが、最初の方のリージュと父王とのやりとりを読んでいると、まるで学園もののようだというか ちょっとファンタジーぽくないなあと感じましたね。
 ストーリーが王道なだけに設定周りとか雰囲気とかが重要だと思うのですよ。

 どうでもいいですが、名前の間に「=」を使う人を久々に見た気がしました。
評価:3  06/07/23読了

塩の街 wish on my presious
(著:有川浩 イラスト:昭次)  電撃文庫
 塩が世界を埋め尽くしていく塩害に蝕まれていく地球。
 その崩壊した東京で男とその男に窮地を救われた少女が暮らしていた。慎ましやかに。静かに。淡々と。
 そして、その暮らしはある男の登場によって突如、終わりを告げる……。
 古本屋で買ったはいいものの読む気がしなくて、未読のまま弟の所へ旅をしていた本です。
 今回、ようやく読む気になったので返してもらいました。

 いやあ、良かったですね。
 前半は淡々とした状況が短編形式で語られて、このままいくのかなと思っていたら、後半では一気にいろいろなことが進んでいくという感じですね。 あ、でも、作者さんの趣味が高じてか前半と後半のバランスはちょっと悪いかも。後半の自衛隊関連の用語は分からないこともけっこう多くてとまどい まくったし。このへんの削り方はこの後の作品ではうまくなってるのかしら?(逆にコアなファンがついてる可能性もあるか……)

 ストーリーはラヴですね。ラヴ。英語より日本語の愛の方がある意味では近い気もするかな……。
 最後に愛は勝つ!を情熱的ではなく、けなげに懸命に実践するとこんな感じになってしまうのかな。好きですよ? こういう愛のカタチ。

 これが今のところ有川さんの唯一の文庫本作品ですが、たしかにライトノベルよりは一般小説ぽいかなとは思いましたね。そのためか否か、読んでて 「イラストうぜえ!!」と思ったこと数回……。表紙の色遣いは好きなんですけどねえ……。挿絵がデッサン崩れてる気がして見ていてつらいですよ。
 でも、この方の作風自体がイラストに頼る作風ではないかなあ、とも思う。(だから、ハードカバーに行ったのか? と邪推してみる)

 ともあれ、図書館戦争を図書館から(笑)借りてきたので今度はそちらを読もうかな。
評価:4−  06/07/24読了

聞け、我が呼ばいし声 幻獣降臨譚
(著:本宮ことは イラスト:池上紗京)  講談社X文庫ホワイトハート
 幻獣や精霊が息づき、女たちは生まれながらにして精霊に守られ、月が満ちると幻獣を遣えるようになる世界。
 14歳のアリアは月が満ち、幻獣との契約の儀を迎えることになった。しかし、その契約の儀で、アリアは思わぬ出来事に出くわしてしまう……。
 各所(空想堂さん、屋根裏物置さんなど) で取り扱われていたので読んでみた新人さん作品。十二国記で有名なホワイトハートですが、 BL混在レーベルなので見極めが難しくて、各所のお墨付きがないと個人的には手を出しにくいレーベルだったりしますね……。(好みの退魔物っぽいかなと 思ってよく見るとBLだったり……)

 さてさて、これは良かったですねえ。なかなかに良質に成長していってくれそうなファンタジーです。ストーリーは続き物の1巻目ということで 無難な感じがしますが、雰囲気なんかが良いので、成長具合に期待。
 主人公アリアは人に蔑まれる存在になっても、できるだけ昂然としていようとするのが好印象ですね。
 周りの男どもはディクスとクルサードが好きです。今のところ。

 逆ハーレム自体はどうでもいいのですが、(ラブ要素はわりとどうでもいい畑の人間……)女性の出生率が低いという割には アリアが友人たちとしゃべり合ったことをけっこう思いだしていて、言うほどには女性は少なくないんじゃ……と思ってしまいました。
 ともあれ、次巻も楽しみですね。

 イラストの方はちょっと童顔に過ぎるんでは……と思いますね。目がキラキラだし。6頭身だし。特に全身像の時がバランス悪いです。
評価:4  06/07/25読了

ラキア
(著:周防ツカサ イラスト:久麻)  電撃文庫
 7月1日。その日のみを何度か繰り返す羽目になった少年、少女たちの物語。
 上木麻衣と永戸貴壱。その異常に気づいた二人は、ある少女のささやきで邂逅する(日々反復)
 二人しかその異常には気づいていないはずだった……。異常事態中の異常事態。ストーカーが起こるまでは(世界の異常、二つのルール)
 橋の欄干に足をかける少女。僕は繰り返す日々で少女の説得を試みるが……。(夢の中、橋の上)
 大学を辞めた怠惰な日々。繰り返す世界で彼女はあることに気づき……。(外れた世界へ)
 7月1日のループに巻き込まれた方々の話の短編連作です。
 そして、彼らの話に必ず一枚噛むのが黒衣の少女、ラキア。
 『天使のレシピ』に似ているなあと思いましたね。『天使のレシピ』での天使の役回りが そのままラキアですからねえ。ラキアの方が天使よりも複雑で謎が多い気もしますが。

 もともと、時間系統の話は割と好きなので楽しめましたが、すごく面白い!おすすめという作品ではないですね。興味があって お金にも余裕があればどうぞ、というぐらいでしょうか。『天使のレシピ』が楽しめた方ならそれなりに楽しめるとは思います。

 個人的に好きだった話は4編目の「外れた世界へ」ですね。表現方法が独特で、惹かれるものがありました。次点は3編目の「夢の中、橋の上」 ですかね。1,2話目はちょっと印象が薄いかも知れないです。

 これも2巻確定みたいですね。今度はラキアの話が中心になるのかな。
評価:3+  06/07/29読了

鬼ごっこ
(著:青目京子 イラスト:あづみ冬留)  講談社X文庫ホワイトハート
 沢村莉子は最近不可解な喉の渇きに悩まされていた。
 そして、教師は謎の言葉を残し失踪。七夕祭りの夜、親友も行方不明となった。
 77年ぶりに目覚める鬼を狩るために陰陽師が動き出し……。
 新人さんの新シリーズ。『暗夜変』の方は読んでないですが、たまたま古本屋で見つけてしまったのと、面白そうな題材だったので 買ってきました。

 結論から言うと好きです。
 雰囲気としては金蓮花さんの月の系譜シリーズの一作目『瑠璃の音』が近いでしょうか。(うろ覚えなのでちょっといや、かなり違うかも)
 鬼の設定はどこかで見たことがあるような……と思ったら毛利志生子さんのカナリアファイルシリーズがこんな感じの鬼の設定を使ってますね。  この二作品のどちらかが好きな方は楽しめるんではないでしょうか。

 キーワードは「77年目の鬼」そして「鬼は誰だ?」「鬼を狩れ!」
 別にミステリーではないので鬼は誰かはすぐに分かってしまいますけどね。視点の置き方がいいですね。追われるものと追うものの 二視点。そして主体は追われる方。
 何も知らなかった彼女が、次第に真実を知り、追いつめられていく展開は非常に楽しめました。

 こういうオカルト系統が大好きだった高校生の頃に読んでたらもっとはまってたかもしれないなあ……。などとちょっと 惜しく思いつつ、でも今でも好きなんですよね。オカルト。なかなかいいのに出会いませんけども。
評価:4  06/07/31読了

 今月の感想数 13冊



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