2006年9月分の感想
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砂漠の花U 青海流砂
(著:金蓮花 イラスト:珠黎皐夕)  集英社コバルト文庫
 カリュンが女王に即位してから半年が過ぎた。シリスは正気に戻る気配がなく、カリュンは神殿から夢見の巫女を呼び寄せる。
 一方でシリスの祖国であるシルヴァス公国とは謝罪交渉が行われており、カリュンはシルヴァスの公子との 会見へと臨むことになる。カリュンはその際にある計画を実行に移すことにし、そのために今まで重要視されていなかった 海軍四提督を王宮へと招く……。
 砂漠の花シリーズ二巻目です。
 神殿からの夢見の神官のくだりには思わず、榎木洋子さんの影の王国シリーズを思いだしてしまいました。
 でも、まあ、焦点の当て方が違いますしね。

 新キャラの海軍四提督はそれぞれキャラがたっていて面白いですし。
 レンソールとカリュンはそれぞれ一巻で行ってしまったことに思いをはせつつ、前を向いていこうと する感じがいいですね。

 全体としては焦点が絞られていた分、1巻目の砂漠の花のほうが良かったなと思いますね。
 この巻でも一応、山場はありますが、ちょっとカリュンというキャラらしからぬミスでヤマに入っていくのが ひっかかります。ラストの展開も突然すぎやしないかい!と思いますし。
 ですが、シリーズとしては二作目ですし、伏線はって、最終巻できっちり盛り上げてくれれば良いかなと思います。
評価:3+  06/09/04読了
砂漠の花』← →『砂漠の花V 夢幻泡影

砂漠の花V 夢幻泡影
(著:金蓮花 イラスト:珠黎皐夕)  集英社コバルト文庫
 敵国シルヴァスの王の訃報がカナルサリへと届く。それはカナルサリにとって開戦への時間的猶予となった。
 一方で、カリュンを恨む一人の男が、カナルサリへと向かいつつあった。
 砂漠の花シリーズ3巻目です。

 読んでたときはけっこう引き込まれて読んでた気がするんですが、読み終わると感想といえる感想が 浮かんでこないなあ……。唯一覚えているのはアルージャアリージアという名前ぐらいですね。小ネタなのに 爆笑してしまいました。(カナルサリの言葉で女性器男性器を意味する言葉という設定

 ああ、そういえば、全体的に展開を急いでいるのかなあという感じがしましたね。もうちょっときちんと 描写して欲しいなあと思った箇所が何カ所かありました。
 あとはカリュンは戦の女神の愛し子みたいに書いてあるのに肝心な戦のシーンが少ないせいか、あんまり そういう風には感じられないことも気になりましたねえ。

 せっかく逃げ延びたシリスとセイランダの行方も気になるので4巻を読むとしましょうか。
評価:3+  06/09/07読了
砂漠の花U 青海流砂』← →『砂漠の花W 流砂放浪

スペシャリストの誇り クラッシュ・ブレイズ
(著:茅田砂胡 イラスト:鈴木理華)  C☆NOVELS fantasia
 連邦大学があるために治安の保証された惑星、セントラル。しかしそこでは連続殺害事件が発生していた。犯罪分析に詳しい アネット・ヘッケルはレティシアを疑ってかかるが……。(ファロットの美意識)
 芸能界の重鎮、ジンジャーが突如主演映画を降りると言いだした。 どうやらその背景にはクーア財閥が大いに絡んでいるようで……。(ジンジャーの復讐)
 今となっては骨董品である戦闘機フェイクス。その骨董機体と新型機械を対決させようという企画が 持ち上がり……。(深紅の魔女)
 クラッシュ・ブレイズ2巻です。
 前巻で暴れまくったジャスミン、ケリー、ルゥの出演は抑えめで、前巻出演がなかったファロット3人組がおもな焦点ですね。

 一話目の連続殺害事件に関しては時事ネタでアレですが、山口県徳山高専の事件を思いだしつつ読んでしまいました。 まさに‘殺人’という‘禁忌’を侵した状態だったのだろうな……、と。
 ……このネタで引っ張っても良いのですが、一応そういう趣旨のサイトではないつもりなので閑話休題。
 う〜ん、でも結果的にレティシアがやったことは「目指せ一般人!」的にはよくない行動だよなあ……と。

 二話目のジンジャーに関してはさすが、としか言いようがないですね。あ、でも実際にはジンジャーが降りても 代役で映画は制作されてしまいそうですが……。

 三話目はけっこうこういうことを言っている方って今でも多いのではないかなあと思いましたね。彼らは ジャスミンという腕っこきがその性能格差を歴然と見せてくれたけれど、実際にはそういうことってまず出来ないですし…… どんどんと失われていく技術。

 う〜ん、前巻よりは個人的に考えさせられるポイントが多かったので、評価もちょっとだけプラス。
 あとがきの話ですが、私も職人という言葉には良いイメージを抱いているなあ……。ねじりハチマキで頑固一徹!ってカンジ。 でも、世界設定的にスペシャリストって言葉の方がしっくり来る気がする……。
評価:3+  06/09/08読了
嘆きのサイレン クラッシュ・ブレイズ』←  →『ヴェロニカの嵐 クラッシュ・ブレイズ

ザレゴトディクショナル 戯言シリーズ用語辞典
(著:西尾維新 イラスト:)  講談社ノベルス
 戯言シリーズの著者による辞典。
 著者の手による戯言シリーズ辞典。実際には裏話など。
 ここの感想に入れていいものかどうかちょっと迷ったけれどまあ一応本のカタチをしているので大丈夫であろう……。

 本屋でぱらっと立ち読みをしようかなと思ったら袋綴じ仕様だったので買うか買わないか判断がつかぬまま保留にしておいたのですが 図書館に入荷したので借りて参りました。

 ええっと、西尾さん自身がネタバレについてさんざん考察かましているので、便乗して私のネタバレについての意見をば。
 シリーズものが前巻の設定を引き継ぐのは当然のことであると私は思います。なので、作者側がすることは前巻及び既刊のネタバレ をしないようにストーリーを書くのではなくて、後書きもしくはあらすじが書いてある場所で続き物であることをアピール しておくことなのではないかなと思うのです。
 「ここまでアピールしておいて違う巻から読んだなら、それは読者側のミスだ!」みたいな。
 タイトルに数字が振ってあれば一番、回避しやすいんですけどね。いまのラノベ風潮ではあまり見ないタイトルの付け方なので。 (数字が長くなると売れ行きが悪くなるらしいです……となんかの後書きで読んだ)

 辞典としてはいちおう主だった人名は網羅してあるのかな……。著者自身が書いたのに「詳細不明」という 言葉を使うのはどうなのかなあ、と思ってしまった次第。あとは現時点での西尾維新著作についても コマーシャルしてありますね。私は単行本派なので、本のカタチにならないと読まないと思いますが。

 う〜ん、感想にならないなあ……。

 そういえば、この本を読んでいる間にテレビのニート特集を見ていてあるタレントが「ニートは言い訳がうまい」みたいなことを言っていましたが、 戯言シリーズが受けた理由のひとつとしていーちゃんの戯言が大いに関係あるんだろうな……と思いました。
 まったく感想になりませんが、この辺で。
評価:3+  06/09/10読了

砂漠の花W 流砂放浪
(著:金蓮花 イラスト:珠黎皐夕)  集英社コバルト文庫
 宰相クノーヴァレアがシルヴァス公国にシリス公子が生きていることを知らせたため、カリュンは一度は解放したシリス公子を 王宮に連れ戻さねばならなくなった。  一方で、解放されたルシウムは生き別れた娘を捜すため砂漠へと赴き――。
 砂漠の花シリーズ4巻目。
 あいかわらず感想と言える感想が思い浮かばないです。
 雰囲気とかは好きなのですがなぜでしょうか。

 そういえば、21頁目のイラストのカリュンはちょっと少女らしい感じですね。
 ここまでのカリュンの描かれかたはわりと女王然としたイラストが多かったので、ちょっと可愛い印象。
 本文でもカリュンは女王と少女を揺れ動いていますが、それを示すためかときどき口調が変わるのが気になりました。 公人私人の使い分けで必ず口調が変わるのならばともかくとして、私人の時でもほんのときたま口調が変わる、というのは ふつうのひとではあまりあり得ないことなのではないのかなと思うんですよね。
 いつも使っている言葉でしかしゃべれないだろうと思うのですが。

 まあ、ともあれ、女王と少女を揺れ動くカリュンはそれなりには魅力的ですね。
 ラストの展開からはまあ、予想はつきますが、次巻を読むということで。
評価:3+  06/09/11読了
砂漠の花V 夢幻泡影』← →『砂漠の花X 砂塵乱舞

砂漠の花X 砂塵乱舞
(著:金蓮花 イラスト:珠黎皐夕)  集英社コバルト文庫
 自分の代わりに流砂の罠へと飲み込まれたレンソール。カリュンは自失し、深い眠りへとその身を預けていた。 その眠りは深く、目覚めには夢見の神官が必要だと思われた。
 今はカリュンと行動をともにするシリスは夢見の神官であったセイランダの居場所を知っていたが、その身を思い口をつぐむ。
 一方で当のセイランダの元へとカリュンの夢が飛び、セイランダはそれに引き寄せられるカタチで、カリュンの元を訪れる……。
 砂漠の花シリーズ完結編です。

 ええっと、まずは感想。
 思っていたよりカタルシスを感じないラストでございました。ここまで読んできたのにな……って感じ。
 (ええ、まあ、以下続刊だよね? と思いこんでしまったラストだった月の系譜よりはましかも知れないけれど。)

 全編(2〜5)通して、雰囲気はあるけれども重厚さがないカンジでしたね。心に残るものがないというか。
 戦記物ならば他にもっと良い作品があるだろうから、これはラブラブ作品と見ればよいのだろうけれどもさほどでもなく (というか、ラブラブはそこそこ描かれているけれど、策略もそこそこ描かれているからバランスが悪いのかも知れない)
 もっと焦点を絞った方が良かったのかも知れないなあ……。

 そういえば3巻を読んだときに妙に受けたアルージャアリージアですが、名の由来を知ってなるほどと思いましたね。 だけれど普通はそんな名前つけないわな……。彼の両親はどういう考えで付けたんだろう。

 結局いろいろ詰め込んだように見えて、引き延ばしただけだったようにも思える2〜5巻でした。
 1巻が一番よかったなあ……。
評価:3+  06/09/11読了
砂漠の花W 流砂放浪』←

冷たい校舎の時は止まる 上・中・下
(著:辻村深月)  講談社ノベルス
 とある雪の日。登校してきた深月、鷹野、菅原、昭彦、景子、梨香、清水、充の8人は異変に気づく。
 彼らの他には誰も登校してこない校舎、そして、全ての出入り口は彼らが校舎の外に出ることを拒む。
 この不可解な現象の謎を追う中で彼らはやがて2ヶ月前に起きた学園祭での自殺事件を思いだす。しかし事件そのものは思いだせても 自殺したクラスメートの名前が思いだせない。
 死んだのは誰なのか! 時が止まった校舎で彼らの行きつく先は……。
 更新がしばらく止まってた理由はこれです。

 密室化した学園が舞台の青春でホラーでミステリーな作品。
 登場人物が8人ということで、そんなにいて覚えられるかなあと思いましたが、読み始めだけ取ったメモの効用と それぞれにストーリーがあるためにまあ、ある程度は大丈夫でしたね。(それでも、影が薄いなあと思ったキャラはいましたけども)
 個別のストーリーはそれぞれが胸にきますね。全員事情を抱えつつも良いヤツ! 特に「CRAZY FOR YOU」と「HERO」ですかね。

 閉鎖環境な雰囲気がよく出てましたねえ。気心知れた仲間たちと過ごすのは心地よいという雰囲気も。
 一方で中盤から後半にかけての不安感の描写とかも良くできているなあと思いましたね。消えていく描写だけは 甲田さんとかの方がうまくかくかなあと思いましたが。それでも良くかけていたとは思いますし。
 真相もああ、なるほどなあと思ってきちんと納得しましたしね。

 ただみりおんぐらむさんのおっしゃっているとおり、 19章とエピローグは蛇足かなあと思いましたねえ。
 それを差し引いて評価は4+ですね。

 完全なるおまけですが、私の予想を反転でさらしておきます。ネタバレなのでOKのかたのみどうぞ。
 上巻読了時
 なんとなく感覚的にこの中には自殺した人はいないんじゃないかと思う。
 だとしたら誰だろう……と思いながら中巻へ。

 中巻読了時
 上巻の考え方から、死んだのは榊ではないかと予想を立てる。みんな榊とは仲が良かったようなので 彼がホストだとしたらこの世界は楽しいだろうと予想。
 それとは別個の考え方(死んだのは8人のうちの誰か)として、深月は自殺者ではないだろうとも考える。 (だとしたらちやほやされすぎじゃないかという考え方)

 下巻
 ふと、自分で取った登場人物メモを見返し、菅原に下の名前がないことに気づく。このことから 榊死亡で菅原が榊の代替人物なのではないかと予想。
 しかし、菅原の過去話がでてくることや皆が消えるときにホスト及び自殺者のことを‘彼女’という代名詞で呼ぶことから この予想には自信がなくなってくる……。
 いったんは違うだろうと思った深月も謎の傷が出現したことで再考せざるを得なくなってきた。
 だとしたら、ホスト(=自殺者)はだれだろうと思いつつも解決編へ。

 読了後
 清水さんのミスリードに乗せられてホスト=自殺者と思ってしまったことが間違いでしたねえ。読み返すと清水さんは きちんと例外についてもお話しされてましたが……。
 菅原=榊に微妙に違う形であれ気づけたのはちょっと嬉しいところ。でもまさかヒロ=鷹野とは思わなかったですが。
上 評価:4−  06/09/13読了
中 評価:4−  06/09/14読了
下 評価:4+  06/09/15読了

妖怪アパートの幽雅な日常1
(著:香月日輪)  講談社YA! ENTERTAINMENT
 晴れて高校進学。居候で居づらい親戚の家からおさらばだ! そう思っていた矢先、寮が火事で全焼した。
 稲葉夕士はそれでも居づらい家から出たい一心でアパートを探し、風呂トイレ共同賄い付きで破格の2万5千円! (もちろん曰く付き)の家を紹介してもらう。
 その曰くとはもちろん人外生物がでるということなのだが……。
 レーベル名のYAはヤングアダルトの略のようですが、どっちかというと児童書なのかな……。すくなくとも地域の図書館では 児童書に設定されているようです。
 香月さんは「地獄堂霊界通信」、「バビロンリンク」からのファンなので、借りてきました。(著者名突撃……)

 ええっと、感想としてはちょっと大人向けな「地獄堂」というカンジがしますね。それもvol2になってからの方。
 ところどころで社会風刺が効いているというか……。まあ、いいスパイスですけどね。 もやもやと綿菓子のように甘い児童書の中にあってはぴりっとスパイスが効いたこんな本も良いよなあって思う。
 それにライトノベルではここまで著者の主題が読者の方にまっすぐ届いてくる本って少ないように思いますし。たまにはいいさね。

 ストーリーそのものはしっかりしすぎかな〜ってぐらいにしっかりしているし、文章も非常に読みやすいです。キャラもそれぞれに魅力的ですしね。 後半のちょっと説教臭くなってしまっているところだけクリアできれば非常に楽しめる一冊だと思います。

 蛇足なつぶやき。
 ええっと展開的にはどっかで地獄堂とリンクしてそうな気がするんだよねえ……。読み直すべきか〜? (借りてくるのは重いしちょっと恥ずかしいけどな……)
評価:4+  06/09/17読了
→『妖怪アパートの幽雅な日常2

妖怪アパートの幽雅な日常2
(著:香月日輪)  講談社YA! ENTERTAINMENT
 妖怪アパートに戻ってきた夕士。仲間たちはもちろん歓迎してくれ、夕士は仲間たちと喋ったり、親友である長谷と遊んだりして 優雅に春休みを過ごすつもりだった。
 しかし、古本屋が妖怪アパートに帰ってきた夜、夕士は変な夢を見て……。
 んで、2巻を読む、と。

 いやあ、面白かったです。
 1巻はわりと仏教系な知識でしたが、今回は西洋系……かな……。もちろん知らなくても大丈夫です。あ、でもタロット の知識は軽くでも身につけてから読むと大爆笑間違い無しかと思いますね。 (→タロットに対応した妖精(ヘボヘボレベル)を召喚できるという設定ですが、 魔術師がジンならまだわからなくもないけれど、吊された男がケット・シーなんですもん!

 さて、1巻から出ていた長谷君も出張ってますねえ。夕士の親友であり、裏番長な彼ですが。こうやって本で読む分には良いけど 近くにはいてほしくない人だなあ……。でも、妖怪アパートに来たときに夕士の部屋でもらした本音ギャップがあってすてきでした。 こいつも人間なんだなあ……と。

 ああ、でもなあ、1巻よりは確実にパワーダウンしていますね……。1巻は「これだけでも読めるもの」というつもりで書いたんでしょうし、 これからは続くからそういうつもりで書いてるんでしょうけどねえ。
 個人的には主人公は力という力を持たない方向で進んで欲しかったなあと思うんですけどねえ。
 正直、読書前のパラパラめくりしてたときに‘魔動士’というフレーズを見つけたときはちょっとがっかりしちゃったんですよ。 ああ、そういう方向なのか……って。ストーリー読んでいたらそれなりに納得はしたんですけどね。やっぱりちょっと残念。

 蛇足なつぶやき
 それにしても薬屋さんはネコマタオババネタを出すためだけのキャラだったんだろうか……。 なんの伏線でもなく……。
評価:4−  06/09/19読了
妖怪アパートの幽雅な日常』← →『妖怪アパートの幽雅な日常3

アリスのお気に入り
(著:ココロ直 イラスト:アキヲ)  集英社コバルト文庫
 小学生のアリスは綺麗なものと白ウサギさんが大好き。
 白ウサギさんとはアンティークショップ「クローケーグラウンド」のクールな名鑑定士、稲葉白羽のことである。
 白羽はその能力‘日記読み’を用いて宝物を鑑定していく。アリスは白羽について回り、白羽はアリスを邪険にしつつも まんざらでもない様子である。そんな二人の宝物と人々をめぐる物語……。
 ココロ直さんは以前読んだ「不夜城のリリム」がまあまあだった覚えがあるので借りてきました。(続刊がそれなりにそろってた所も大きいけど)

 さて、感想。
 まあまあ面白いですよ。
 文章はさらっと読みやすいですし、白羽とアリスの主人公コンビだけではなく「クローケー・グラウンド」のオーナーとかどいつも こいつもひとくせもふたくせもありそうなキャラですし。
 なによりも白羽とアリスのやりとりが良いですねえ。心地の良い甘さです。

 話そのものは6話目の「人魚の涙」が好きでしたね。ラストが世知辛くて……。(そこ?)
 設定そのものはややファンタジックですが、ストーリーはけっこうファンタジックに現実的(なにそれ)に進むのも 評価ポイントだったりします。

 イラストのこと。
 イラストではどう見てもアリスが小学生に見えないんだけど、どうにかならんもんかなあ……。
評価:3+  06/09/21読了
→『アリスのお気に入り〜いろいろセンチメンタル〜』

瑠璃の音 月の系譜
(著:金蓮花 イラスト:鷺沢しほ)  集英社コバルト文庫
 山吹泉は普通の女の子であった。占い師の別名を持つちせとは親友で、静かに嘘をつきながらおだやかに日常を過ごしていた。
 その日、榊と名乗る音楽教師が現れるまでは……。
 『鬼ごっこ』と似てるかなと自分で言った手前、改めて読んでみました。
 ――で、感想。
 似てる、と思う。
 こちらのほうが生々しくて、『鬼ごっこ』のほうが童話的というかおとぎ話的というかそんなカンジがするけれど。
 好みから言わせてもらえば『鬼ごっこ』の方が好きかな。

 ……イラストも『鬼ごっこ』の方がキレイだし……(ヲイ)
評価:3+  06/09/26読了

DeepLove 第一部 アユの物語
(著:Yoshi)  スターツ出版
 体を5万で売り、「愛が必要か」と冷めた目で言っていたアユ。彼女はあるおばあさんと出会い、そして 彼女の‘子ども’に出会うことで変わっていく。
 しかし、運命の神様は意地悪で……
 いつものレンタルマンガ屋ではレンタル一週間300円なので、ちょっとなあと思っていたのですが、ちょうど図書館で見かけたので 借りて参りました。
 ……よかった、レンタルしなくて。これに300円も出していたら、後悔しまくりデスよ……。
 ストーリーは以前、マンガの方を立ち読みしたので、あらすじは大体知ってましたし、細かいところもあんまり変わってなかったですね。 (amazonの漫画版感想に本に比べてかなり省かれてるという感想を書いていた方がいたような気がしたのですが……)

 さて、感想。
 ぶっちゃけ何回か本投げそうになりましたよ。
 まず、横書き読みづれえ!! やはり縦書き小説読み慣れているものにとっては切実な問題であります。 ですが、まあ、この辺は元が携帯小説ということもありますし、我慢いたしましょう。
 次、文章が……orz
 展開が非常に早く、マンガのあらすじでも読んでいるかのような流れのみの文章である。
 表現方法が基本的には客観的文章で主人公アユの気持ちでさえ「と思ったのだろう」という書き方をされていて非常に感情移入しにくい。 と思ったら、妙にアユ視点になるときもあったし。そしてクライマックスでの詩的表現。物語における詩的表現はキャラに感情移入できていて、 的確な箇所で使われていてこそ効いてくると思うのですが、感情移入はできていないし、乱発で的確な箇所でもないから うわクッサで終わってしまう。
 あと、会話を「」と『』で分けるのもありえない。二人しか喋ってないんだからそれぐらい書き分けろってカンジ。
 感情移入できてもいないのにセックス描写だけがむだにしつこい気がする。(免疫がないだけ?)

 270万人が感動したとかありますが、この文章では感動しようにも出来ねえよ!と突っ込みたい。まだマンガの方が良かったかもしれない。
 文章が簡単だから、流し読みでどうにか最後までは読んだけれど。
 これを読むんだったら、『世界の中心で愛を叫ぶ』の方が断然良いと思う。
 というわけで、超久しぶりの超低評価です。
評価:1−  06/09/29読了

ブラック・ベルベット 神が見棄てた土地と黒き聖女
(著:須賀しのぶ イラスト:梶原にき)  集英社コバルト文庫
 10年戦争で荒れ果てた無法地帯バレン。ロキシーが働くバーに突如現れた全身黒ずくめの美女キリ。彼女はハルという神父を捜して ひとりで旅をしていた。無謀とも言える行動だが彼女の腕は尋常ではなく、近辺の高額賞金首のキメラを次々と狩っていく。
 その強さにキリが三大賞金首なのではないかという噂が流れ……。
 ああ、須賀さんは良いなあ。
 ちょっと気分的に落ち込んでいるのもあったし、前回はずれくじを引いてしまったので、確実そうな 須賀さん作品をチョイスしたのが大正解でした。

 作者さんもあとがきでおしゃってますが、女の子3人がかしましくやる話ですね。
 今回とくに目立っているのが黒ずくめのキリちゃん。はちゃめちゃに強くってミステリアスで、でも意外と可愛いそんな女の子。 い〜ですねえ。
 他にもふりふりレースにピンク!って元売春婦のファナちゃんも良い味出してるし。
 もちろんロキシーもいいですねえ。(実は彼女が良識派かな……)

 世界設定もおもしろそうですし。うさんくさい敵キャラもいるし。伏線もはってあるし。ストック済みの2巻に突入ですな。
評価:4−  06/09/30読了

今月の感想数 15冊

今月のお気に入り
1位『冷たい校舎の時は止まる
2位『ブラック・ベルベット 神が見棄てた土地と黒き聖女
3位『妖怪アパートの幽雅な日常1



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