2007年02月分の感想
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結晶物語 1
(著:前田栄 イラスト:前田とも)  新書館ウイングス文庫
 人の感情を結晶にして預かる質屋をしている半人半妖の凍雨。その父親で現在は昼行灯だが最強の妖怪、白夜。そして、あることが原因で 彼ら(主に凍雨)にいやいやながらも服従の黄龍。彼らに忍び寄ってくる事件はいずれも妖怪がなんらかの形で関わってくるモノで……。
 あ〜、微妙。

 巡回各所ではわりと好評だったので購入(古本だけど)してみた本なのですが、ワタシにはちょっと合わなかったみたいです。
 ストーリー自体はおとぎ話やら童話やらがモチーフで主人公たちが主人公たちだからか浮世離れした雰囲気が出ていて、そういうのはけっこう好きですし、 妖しという人間とは違う種族たちのお話であるということもよく出ていて良かったのですが、いかんせん、キャラクターたちが好みではなかった!
 うん、ここにつきます。

 なんか、ビミョーにBL臭を感じてしまう(そんなのお前だけだ!)いや、たぶんワタシだけなんでしょうけど……。
 ゲストキャラとして出てくる女性陣も事情が事情だからかそういう対象ではないですしね……。いえ、別に必ずラブが必要とは思ってないんで、 もうちょっと明るさが欲しかったというか、にぎやかしとしての女性陣が欲しかったというか。

 ストーリー自体は嫌いではなかったんで、待機している2巻までは読みますが、買っていない3巻と4巻はどうするか未定です。
評価:3−  07/02/05読了

化物語(下)
(著:西尾維新 イラスト:VOFAN)  講談社BOX
 頼まれごとをしに山のうえの神社に登った阿良々木暦はそこで妹のかつての友人であった千石撫子という少女を見かけ……(なでこスネイク)
 封印されたはずの羽川翼の怪異が再び発症! しかも頼みの綱の元・吸血鬼、忍はいなくなっていて……(つばさキャット)
 言葉遊びに大爆笑!
 電車の中でも読んでたのでけっこう妖しい人物全開だったろうな〜。

 今回はスナック菓子は欲しませんでしたね〜。干し梅ばっかり食ってました(無印良品)あと、お茶。
 上巻のツンデレ、委員長、肉体派、小学生と来て今回は中学生が追加です。おまけとしては猫耳娘ですか。ここはいっそメイドさんも!(あ、 戯言にいたか)

 上巻感想でも言ってますが、ストーリーを楽しむと言うよりは、濃ゆい各キャラクター同士の掛け合いを愉しんで、言葉遊びに 大爆笑すべき小説だと思います。(男性なら、ブルマーとスクール水着も楽しいのかな? 当方女性なんで、 そこは楽しみポイントじゃなかったですが)

 阿良々木暦のヴァンパイア地獄の話は読んでみたいかも。
 ちなみに、「刀語」を読むかは保留方向です。
評価:3+  07/02/11読了
化物語(上)』←

猫泥棒と木曜日のキッチン
(著:橋本紡 イラスト:橋本紡)  メディアワークス
 ある日、母がいなくなった。残されたのは17才のみずきとその弟で5才のコウちゃん。そして手に入れたのは新たな家族。わたしと、コウちゃんと 元サッカー少年の健一君。端から見るとちょっと歪な、けれど大切な家族。
 そんな、ある日、ふたりはあるものを見つけ……。
 むかし「毛布おばけと金曜日の階段」を友人から借りて読んで以来、気になっていたのですが、図書館に入っているのをみつけて借りてきました。 S図書館とK図書館、いつもありがとう。

 この人の他の作品は読んだことがないですが、「毛布おばけ〜」と似たような雰囲気でございました。壊れてしまった日常のけれど変わらない日常。 そしてささやかに起きる小さな事件。ほほえましくて、優しくて、ちょっと哀しい。なんだか和菓子の淡雪に似てるかもしれない。
 ちょっと薄っぺらいかなとか思わなくもないですが、それは物語がやさしすぎるから思うのかな……。

 「重い重い」と教えられた命はとても軽かった。けれどその軽さが残したモノはとても重く、残されたもの達は成長していく。

 今、読んでも良い作品だとは思えたけれど、子どもと大人の境目の時期というか、高校生の時に読んだ方が もっと楽しめたんじゃないかなと思う。そういう点では何とも言えず、残念。
評価:3+  07/02/12読了

天国の対価 おもひでや
(著:宝珠なつめ イラスト:相沢美良)  中央公論新社Cノベルスファンタジア
 とあるマンション、白いドアの一室、銀色の表札に刻まれた文字は「おもひでや」。
 その店で買えるものは物質的なモノではない。そこで買えるのは「思い出」。切望を抱くものたちにのみ開かれる扉は 何をもたらすのか……。おもひでやにまつわる連作短編集。
 以前、買っておいた作品。買ったときにほぼ一気読みに近いことをしたんですが、最後の一遍だけをなぜか残して放置してました。

 どっかで書いた気がしますが、ワタシはお店モノが好きらしいので、けっこう愉しんで読みましたね。謎めいた店、謎めいた店主、 謎めいた店員たち。彼らが抱える過去に関しては匂わされるだけですが、すごい過去だろうなあと思います。特にサナギちゃんとクレオ君は。
 ストーリーもハートフルからちょっとダーク目までそろってて良かったです。

 2巻目の「記憶の繭」も待機してるので近いうちに読もうと思います。
評価:4−  07/02/15読了

スリピッシュ! ―東方牢城の主―
(著:今野緒雪 イラスト:操・美緒)  集英社コバルト文庫
 ワースホーン国の王都エーディックで人々から怖れられるのは西、東、北にそれぞれある牢城。そのひとつ東方牢城(リーフィシー城)に 忍び込もうとしてとらえられた少女ロアデル。彼女は恋人であるラフト・リーフィシー―東方牢城の城主が彼女に会ってくれ、助けてくれると信じていた。
 しかし、助けはこないまま、ロアデルは少年の囚人と出会う。彼の名前はアカシュ。彼は牢名主であり、城主とも顔見知りだというが……。
 「マリア様がみてる」今野さんの別シリーズ。

 まりみて同様てかそれ以上に展開はバレバレですが、それでも文章が読みやすくて、主人公であるロアデルを始めとしたキャラクターが生きていて 面白かったですね〜。これはシリーズの続きも急いで借りてこなきゃだわ。

 それにしても、今野さんの男性キャラがちゃんと出てくる話を読んだのは「マリア様がみてる 涼風さつさつ」以来だなあ……。
評価:3+  07/02/16読了

時間のない国で 上
(著:ケイト・トンプソン 訳:渡辺庸子)  東京創元社
 どういうわけか時間が足りない日々を送っていた。音楽一家のリディ家の長男JJも家族も、そしてむらじゅうが。そんな中でJJは 母ヘレンの誕生日プレゼントとしてどうにかして時間を買おうとする。
 そのための手段として、‘永遠の若さの国’へ行ったJJだが……。
 図書館で本を物色してるときに気になってしまったので借りてきた本です。
 だいたいこういう時の本は読まないで返しちゃったりすることも多いのですが、児童書でわりと字も大きいからかちゃんと読んでから 返すことが出来ました。(ついでに下巻もかりてきました)

 さて、アイルランド、音楽、妖精、とキーワードを並べるだけでもO・R・メリングの妖精シリーズが思いだされますね〜(小さい頃に読んだきりです。 読み直したいわあ)
 序盤はちょっと物語に入りずらかったですが、リディ家の過去が明かされていく辺りからどんどんと引き込まれ、主人公が 時間を手に入れるために常若(笑)の国に行ったところで、上巻終了。
 かなり続きが気になります。

 続きをはやく読もうっと。

 そういえば、この本って原題は「THE NEW POLICEMAN」なんですよね。「時間のない国で」ってタイトルは原題からはかけ離れてますが、 内容的には掛詞になっててよいタイトルだな〜と思いました。
評価:3+  07/02/17読了
→『時間のない国で 下

エンジェル・ウィスパー
(著:山科千晶)  メディアワークス
 二年前の4月、新宿駅のホームで、よろけたOLを支えようとして線路に転落した兄が死んだ。
 そして5月。兄の死で、ふさぎ込んでいた弟は一枚の風景画と“エンジェル・ウィスパー”という謎の単語を残し、失踪した。
 鷹次は地元の神社に残された奇妙な絵馬、天女伝説、地元の過去の風習、自殺サイトで囁かれるクスリをキーワードに弟の純也を探し始める。 そして、結果は……。
 かなり一般文芸よりのライトノベルだなと思いました。
 サスペンス調のストーリーに時々浮つくことはあるもの、基本的には落ち着き払った筆致。淡々と進むストーリーはいきおいで突き進むライトノベルとは 違うけれど、これはこれで充分にアリだと思います。(ライトノベルレーベルで出せるかは別問題として)

 読んでて思いだしたのは宮部みゆき「レベル7」、柴田よしき「風精(ゼフィルス)の棲む場所」でした。見事に一般文芸だな……。
 まあ、いいや。この作品が好きだったら、風精の方は本当に楽しめるんじゃないかなと思います。

 サスペンス調の導入部から、家族愛、田舎ならではっぽい風習、オカルト風味ととても好きなテイストの作品で、ずんずんどんどんと入れ込んで 読めました。
 けっこう分厚くて読み応えがあるので、お休みの日に読んだ方が良いかなとは思います。(持ち運ぶのが大変だった……)
評価:4+  07/02/22読了

ヴェロニカの嵐 クラッシュ・ブレイズ
(著:茅田砂胡 イラスト:鈴木理華)  Cノベルスファンタジア
 学校の授業の一環、‘体験授業’で、惑星ヴェロニカでの野外自炊体験実習を選んだ、リィとシェラ。そして連邦大学惑星中学部の 希望者ご一行。
 しかし、彼らが着いた先はどうやら目的地である惑星ヴェロニカではなかったらしく、一行は遭難してしまう……。
 クラッシュ・ブレイズ3巻目。

 やっぱり、リィとシェラは文明社会である連邦大学惑星での生活より、こういうところでの生活の方が生き生きしてるな〜と思ってしまいました。
 ストーリーとしては、リィとシェラがいる時点で生き残れそうなことは分かってるし、ルゥやら女王&キングがいる時点で助けが来ることは明白なので そういうところでの緊張感はほとんど感じませんでした。
 でも、キャラ同士のやりとりは良かったですね。一般的なリーダー、ジェームスやら、女の子〜ってカンジのキャラやら、特にヴェロニカ出身で 宗教的戒律に縛られて暮らすチャックとのやりとりは、状況ながらにも思いやりが感じられて良かったです。
 最後の裁判場面も良かったですし。

 なんというか、茅田さんが小説でやりたいことというか伝えたいことみたいな核はわかったので、思わず点数に加味しました。
評価:4−  07/02/25読了
スペシャリストの誇り クラッシュ・ブレイズ』← →『パンドラの檻 クラッシュ・ブレイズ

STEP OUT
(著:榎木洋子 イラスト:うちみけ清香)  集英社コバルト文庫
 宇宙飛行士養成機関「アカデミア」に入学した熱血少年鷹島あきら。 クラスメイトとなったのは調停の達人でおぼっちゃまな籐桐かみき、宇宙考古学が好きという専門ばかアレックス・L・藤川。 そして、伝説の宇宙飛行士の親類である秋篠ともは。進級率65%という前途多難なアカデミア生活のはじまりはじまり〜。
 ずいぶん古い本(1996年出版……十年前!?)ですが、図書館にあったので借りてきました。やっぱり、イラストがちょっと古い感じですね。 時代を感じます(笑)

 この頃の榎木さんの作品は良いですね!(りゅうまの頃ですね) というか、榎木さんは「男」を主人公に した方が良い作品を書くんじゃないかと思い始めました。(例外は「影の王国」シリーズ。アレは良かった!)

 さて、ストーリーですが、青春ど真ん中!ってカンジですね。みんな前向きで、夢に向かって邁進!てカンジです。 一話ごとに語り手が変わるのも各自の事情が知れてよいカンジでした。
 ただ、キャラがみんな良い子過ぎかなとは思いましたけど。まあ、許容範囲ですかね。
 あと、一話ごとに語り手が変わるのは良かったんですけど、一〜三話ぐらいまで各キャラがいまいち立って無くて、 語り手に「え、誰?」と思ってしまったこともありました。(各章タイトルに語り手の名前が書いてはあるんですけどね……)
 でも、青春まっただ中の若さ全開パワーは読んでて楽しかったです。
評価:4−  07/02/28読了

今月の感想数 9冊

今月のお気に入り
1位『エンジェル・ウィスパー
2位『猫泥棒と木曜日のキッチン
3位『STEP OUT


電撃ハードカバー健闘(笑)



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