2007年01月分の感想
  トップ 目録 



空の境界 the Garden of sinners 上
(著:奈須きのこ イラスト:武内崇)  講談社ノベルス
 二年間の昏睡から目覚めた少女、両儀式。彼女は自信の記憶に実感がもてないという症状と引き替えにあらゆるモノの死が視えるようになっていた。
 家族を拒み、高校時代の同級生だという黒陶幹也とその上司であり魔術師の蒼崎橙子と関わる式と相対するのは非日常たちだった……。
 3回目の読了です。
 初読の時はすっごい衝撃を受けてしまい、一時期、私の中ではこの本はバイブルでした。
 有名なところではけっこう有名なこの本。アニメ化するらしいですね〜。(どうなるんだろ〜楽しみ〜:乾いた声で)

 アニメ化のお話&友人が読んでると言っていたので久しぶりに読んでみました。
 思っていたほどには楽しめなかった、というのが本音ですね。
 本が悪いというのではなくて、読んでいると初読の時の自分がこういうところに共感したのかなあとか思ってしまって、 そういう考察をする自分がうざくって楽しめなかったのですが……。(なんて痛いんだ)
 それでも、痛覚残留の真ん中くらいからはだいぶ話の筋に入り込んで読めるようにはなりましたが。でも、時々浮かび上がってしまう 自分がうざかった……。

 こういう登場人物がそれぞれ自分の哲学を語る本ってのもたまには楽しいです。

 それにしても、多視点で時間軸もけっこう移動するので、小説を読みつけていない方には本当に勧めにくい本ですね……。ブギーポップの 初期なんかはこんなんが多いですが。
 たしか、2度目の読了の時は栞に付いている年表を参考に時間軸通りに読んでみたっけな……。
評価:4−  07/01/08読了

図書館内乱
(著:有川浩 イラスト:徒花スクモ)  メディアワークス
 笠原郁は恐怖していた。なんと両親が郁の仕事ぶりをみにくるらしい。大騒ぎをし、部隊員と同室の柴崎の協力を得て、なんとか Xデーを迎えた郁だったが……。
 部隊員、小牧。彼が聴覚障害を抱える幼なじみに紹介した本「レインツリーの国」。そのことがある波紋を呼んで……。
 う〜、あらすじかきづら……。読書中は短編のようにエピソードエピソードが独立しているように思えてたけど、 最後にそれはやっぱりつながっていて、引きにつながるという手腕はみごとでした。

 一巻に比べるとまわりにも視点が散らばっていった印象だったかな〜。手塚の兄ちゃんとか出てきた辺り、「うぉ〜!?」と思いましたし。
 相変わらず、会話のテンポが良いですね。査問会のシーンなどは脳内で映画状態でした。

 ラストでまたも波乱含み。図書館内部の事情やら画策やらも非常に気になりますが、王子さまの正体を知ってしまったヒロインが どういう行動を取るのかも気になったりします。
評価:4−  07/01/18読了
図書館戦争』← →『図書館危機
レインツリーの国

ささらさや
(著:加納朋子 イラスト:菊池健)  幻冬舎
 夫が突然に交通事故死してしまったさや。乳飲み子を抱えた彼女に、夫の両親たちは子どもを引き取りたいと言い出す。追求を逃れるため、 さやは引っ越しを決意する。
 引っ越し先は佐々良という街の、さやの唯一の親戚とも言えた今は亡き叔母の家。
 亡き夫の霊に見守られながら、さやは近隣のおばあさんたちと仲良くなっていく。
 以前、読んだことがあったので、再読です。
 加納さんはやっぱり良いなあ。ありそうでなさそうな日常感がたまりません。

 内気でお人好しで実際に知り合いだったらきっと私でさえイライラしてきそうな、さやさんが、周囲のおばあさん(途中から 同世代のママ友達も出来るけど)、に見守られて、ゆっくりと成長していく様は非常に心温まります。
 温かくてちょっと切ない、そんな物語を、ミステリ風味で。

 個人的にはエリカさんとダイヤくんのコンビが好きです。
評価:4  07/01/29読了
→『てるてるあした

マリア様がみてる 妹オーディション
(著:今野緒雪 イラスト:ひびき玲音)  集英社コバルト文庫
 「こうなったらオーディションをするしかないわ」せっぱつまった由乃の提案は白薔薇姉妹や祐巳のアドバイスで練り直されて、 1年生と2年生を薔薇の館へ招いてのお茶会となった。  そこで、祐巳はひとりの一年生に目を留める……。
 あ〜、‘オーディション’という言葉を聞いて、ついあとがきに書かれていたようなことを想像してしまいました(笑)そりゃあ、 無理がありすぎですよね〜。

 しかし、それにしても妹問題は決まらないですね……。いや、由乃さんのほうは彼女で決定なのかな。もうちょい右往左往はしそうだけど。 祐巳の方も決定打がないだけで、彼女の方に決定はしてるんでしょうけどね〜、いつまで引っ張るんだろう。
 笙子さんのエピソードは良かったですね。
評価:3  07/01/29読了
マリア様がみてる イン ライブラリー』←  →『マリア様がみてる 薔薇のミルフィーユ

てるてるあした
(著:加納朋子 イラスト:菊池健)  幻冬舎
 念願の高校に受かったと思ったら、両親の多重債務で夜逃げすることになった照子。彼女は両親から離れ、単身、母親の遠い親戚であるという 佐々良の久代さんのところへいくことになる。
 不平たらたらの照子だったが、久代や他のおばあさん、さややエリカ、佐々良の人々とつきあっていくことで、成長していく。
 「ささらさや」の続編ということですが、同じ舞台の別作品としてみた方が良いような気がします。

 カラや盾を持たないためにひたすらに弱かったさやとは違い、思春期の特有の思いこみと感情の激しさと、 自ら作り上げたカラで自分を守ろうとする照子ちゃんが主人公。年齢が近いせいか、 思い当たる節も非常に多くて、コチラの物語の方が感情移入しやすかったです。
 ひたすらにとげとげしていた照子が、周囲の人との関わり合いの中で次第に成長して、カラを脱ぎ捨てていく様は読んでいてもさわやかでした。
 そして、最後は大号泣(人によるとは思いますが)。
 優しくて、哀しくて、さわやかな物語でした。

 ダイヤ君が最高……。
評価:4−  07/01/29読了
ささらさや』←

マリア様がみてる バラエティギフト
(著:今野緒雪 イラスト:ひびき玲音)  集英社コバルト文庫
 「奇蹟って信じる?」リリアン女学園の生徒にまつわるちょっとした奇蹟の話……(降誕祭の奇蹟)
 バレンタインデーの宝探しの裏で、リリアン女学園中学の内藤笙子はフライングで高等部を見学していた。写真が苦手な彼女が 出会った人物とは……。(ショコラとポートレート)
 とある雨の日、薔薇の館には祐巳と乃梨子ちゃんの二人だけ。高等部から入学してきた乃梨子は祐巳に思い出話をはじめ……(羊が一匹さく越えて)
 とある日、薔薇の館に無造作に置かれていたのはお菓子のバラエティギフト。しかし、付箋のメッセージの字は元・黄薔薇さまこと鳥居江利子のものに 間違いがなくて……。(バラエティギフト)
 バラエティギフトを手放した江利子は、佐藤聖と再会する。その会話とは……。(毒入りリンゴ)
 図書館になかったために飛ばして読んでいたバラエティギフトですが古本屋で入手。

 雑誌掲載の短編をまとめた本で、まとめ方は短編の間にもうひとつのストーリーという形で「イン・ライブラリー」と同じですね。 (出版はこっちの方が早いから……)
 「降誕祭の奇蹟」はふたつの奇蹟のエピソードですが、もうちょっと関連性があっても良かったかなあと。
 「ショコラとポートレート」普段は脇役に徹している蔦子さんが、たまたま出会った内藤笙子と触れ合うところや、ラストでの笙子の姉とのふれあいが 良い雰囲気ですね。お姉さんの方のストーリーも読んでみたかったなあ……。
 「羊が一匹・・・」乃梨子ちゃんはリリアンの生徒を集団としてみたときにはやはりちょっと逸脱がある子なんだろうな〜、と思いました。 逸脱があるくらいじゃないと薔薇さまはつとまらないんでしょうけどね。
 「バラエティギフト」たかがお菓子でも性格が出る、薔薇の館の面々……。最後の意趣返しは、江利子さんさすがです。
 「毒入りリンゴ」江利子さんもいろいろ思って、由乃ちゃんをかまっていたんだなあ、と。そしてそれをきちんと見抜いている、聖さま。 仲間って良いですよね〜。

 ところで、白ポンチョ、うちの母校でもぜひ導入して欲しいわ。
評価:3+  07/01/31読了
マリア様がみてる レディ、GO!』←  →『マリア様がみてる チャオ ソレッラ!

今月の感想数 6冊

今月のお気に入り
1位『てるてるあした
2位『図書館内乱
3位『マリア様がみてる バラエティギフト


「てるてるあした」ってドラマあったんだ……。



一番上へ   トップ 目録