2006年01月分の感想
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Missing2 呪いの物語
(著:甲田学人 イラスト:翠川しん)  電撃文庫
 文芸部2年の木戸野亜紀の家に送られてきたFax。奇怪な文様と気持ちの悪い文字で埋め尽くされたそれは 亜紀を悪夢へと陥れた。
 亜紀を救うため、‘魔王陛下’こと空目恭一が立ち上がるが……。
 ああ、いやあ、けっこう忘れてるものですね。大筋の展開は覚えていたのですが、細かいところとかを忘れていました。
 怖さは1巻目よりも確実に増して、じわじわと怖いですし。それでも、深夜にシーンとしたところで読みたいんですけどね。

 1巻目とは違い、壊疽とかウジ虫とかなんとなく想像できるもので表現してあるところに怖さと、グロさを感じます。
 発端もFaxという身近なものなので想像しやすい気がします。(うちにはないですが)

 じわじわと追いつめられていく、亜紀の様子と、喋りまくり、頭脳フル回転な魔王陛下が印象的です。突飛な恋愛理論に陛下らしさが光る気がします。 やはり陛下は塔の中の姫よりは指揮官タイプなんでしょうね。
 そして、相変わらず、オカルト理論に妙に納得してしまいます。
 聖書の一節(たしか創世記)に「人には世界の全てに名前を付ける権利がある(と神が認めた)」みたいなことが 書いてあったと思うのですが、それが詠子のいう‘意味づけ’なのかなと思いました。

 最後に思ったのですが、亜紀は一人暮らしなのに、なぜFaxが必要だったのでしょうか。ほとんどの人が寮に入っているということは、 友達からFaxが送られてくることもなさそうだし(そんな友達がいるかもわからないし)、電話自体も亜紀は1巻の時に携帯を持っているので、 固定電話は必要ないと思うのですが……。
評価:4  2006/01/01読了
Missing 神隠しの物語』← →『Missing3 首くくりの物語

Missing3 首くくりの物語
(著:甲田学人 イラスト:翠川しん)  電撃文庫
 日下部稜子が図書館で借りた本の中に、借りたはずのない本が紛れ込んでいた。その一冊の本には禁帯出の印があった。
 その本を稜子に代わって返すことになった稜子の姉はそのまま帰らぬ人となった。首つり自殺によって。
 そして、そのときから、なにかが動き始めた……。
 Missing3冊目です。怖さとグロさは2巻の方が上かな。

 今回のモチーフは民話……になるのかな。私は奈良梨取りなんて話はコレを読むまでまったく知らなかったです。
 私は兄弟の一番上なので、末子成功譚だと不成功に終わってしまう方ですね。(残念)そういえば、「狼と七匹の子山羊」は末子成功譚 なのか。シンデレラも彼女が一番小さかった気がするなあ。(これは気のせいかも)

 個人的には図書館の本に呪われた本が混じってるかもっていうほうが怖いですねえ。図書館は利用頻度が高いので。

 それにしても、そこまで極悪な悪筆だったらさすがの歩由実ちゃんでもなんかおかしいとか思いそうな気がするんですけど。 思っても言わないところが性格なのかも知れないし、2巻の亜紀みたいな暗示の効果が今回もあるのかも知れないな。

 黒服エージェントの芳賀さんは1巻の基城さんに比べると人間味がある気がします。

 そういえば、稜子はともかく、亜紀と武巳は夏休み中に一度も里帰りしないつもりなのかな。
評価:3+  2006/01/05読了
Missing2 呪いの物語』← →『Missing4 首くくりの物語・完結編

Missing4 首くくりの物語・完結編
(著:甲田学人  イラスト:翠川しん)  電撃文庫
 大迫栄一郎による『奈良梨取考』。その本に隠された意味により多くの人が首をくくり、死んだはずの老人が甦ろうとしていた。
 空目たちはその謎を解き明かそうとするが・・・。
 Missing4冊目にして、3冊目から続く話の完結編です。怖さはともかく、グロさは2巻が一番かなと思います。

 う〜ん、私は稜子にはいまいち感情移入ができないようで、 追いつめられてるのもわかるのだけど、なんだかわだかまりが残ってしまいました。稜子の気持ちもわからなくはないんですけど。 わかるのと感情移入できるのはまたちょっと別ですね。

 武巳と稜子の普通人コンビには仲良くやっていってもらいたい気がするんですけどねえ。
 それにしても武巳くんはあの土壇場で稜子から言われるまで 稜子の気持ちにまったく気づいてなかったのか? ニブチンめ。まあ、稜子も表沙汰にはしてなかったみたいだし。しょうがないのかな。

 魔王陛下の願望とやらも気にはなるなあ。「そんなに高次元なのぞみではない」か。そんなにってことは、ある程度は高次元なわけですし。

 魔女さんも本格的に不穏な動きに入り出しそうですし。魔術師たちの動きにも注目ですな。
評価:3+  2006/01/12読了
Missing3 首くくりの物語』← →『Missing5 目隠しの物語

舞踏会の華麗なる終演 暁の天使たち外伝1
(著:茅田砂胡 イラスト:鈴木理華)  C☆NOVELS Fantasia
 リィの攻撃でルゥの暴走は止まった。しかし脱出を急ぐ一行の前に再び‘悪しきもの’が立ちはだかる……。
 作者さんも後書きとかで書いてますが、完璧に続編です。
 しかし、曲がりなりにも外伝と銘打っているのだから、出だしの状況から続きっぷりをアピールしなくてもなあとは思いました。
 というか、正直に言うと、内容はほとんど完全に忘れている状態でこの本を開いたので、出だしから荒海に投げ出された気分でした。

 読んでいるうちに内容は思い出せたので、あとは楽しかったです。シェラが月とされる理由がようやくわかったし、 リィのつくったクッキーを巡る言動はそれぞれ、個性が出ていましたし。

 ん〜、私はもともと図書館で借りて読んでいるし、この物語はこの路線で行くんだろうなと吹っ切れてしまったので良いのですが、 買って読んでいたら、そろそろ購入は打ち止めてますね。読んでいて楽しいけど後には残らない、茅田さんのセルフパロな小説というのが、 この暁の天使たちシリーズな気がします。
評価:3  2006/01/13読了
← →『天使たちの華劇 暁の天使たち外伝2

天使たちの華劇 暁の天使たち外伝2
(著:茅田砂胡 イラスト:鈴木理華)  C☆NOVELS Fantasia
 「目指せ、一般人!」というわけで、超人たちが学生してる話。4編。
 これぞ、外伝て感じですね。前巻はやはり本編としか思えませんでしたので。
 イラストも楽しくて、堪能。表紙のメイドさんたちは怖すぎ(笑)こんなのが、学校の文化祭で給仕してたら 本当にどうしたもんでしょうか……。挿絵のケリーに抱き上げられたリィのイラストが個人的には好きです。 でも、イラストでジャスミンが登場してないのは残念ですね。アクションロッドでのジャスミンvsリィの イラストがちょっと見てみたかったです。vsレティシアもいいんですけどね〜。

 内容は〜、最終話は確実にデルフィニア戦記を読んでないと楽しめませんよね。話題のドレスがどんなものか想像ができないだろうし。
 1話目と3話目を読んでいると、この世界の大人は変態しかいないのか?とか言いたくなりますが、そんなことはないんですよね、きっと。 超人さんたちが超人過ぎて、変態をあおってしまうだけですよね。
 超人さんたちのやりとりは充分楽しいし、試験に剣道アクションロッド大会に文化祭にファッションコンテストと 学生気分満載ですが、これが本編だったら……やっぱりきつかっただろうなあ。彼らは普通人ではなく超人だから、学校という 普通の空間が似合わないんだろうな……と思います。こういう外伝でちょっとの間だけお楽しみを、みたいな感じだったら 楽しいんですけどね。
評価:4−  2006/01/15読了
舞踏会の華麗なる終演 暁の天使たち外伝1』← →

汝、翼持つ者たちよ
(著:片山奈保子 イラスト:小田切ほたる)  集英社コバルト文庫
 カドリア国では黄金の鳥パリシエは幸福の使い、銀の鳥プラナカーナは魔の使いとされる。
 アズバドル村の<聖老>の家で暮らすシャナは16歳。彼女は幼い頃に両親と死別し、銀色の狼リュグドに育てられ、 村に受け入れられた今でも<狼憑きの娘>という陰口が残っている。
 そんなアズバドル村に新しい祭司が赴任してきた。その彼―イーグは銀の髪と蒼い瞳を持っていた。村人たちは 「プラナカーナの化身が来た」と騒ぎ、本人も「銀髪は罪の証」と呟く。
 そんなイーグも村に受け入れられていくが、イーグに姿形は瓜二つな青年、ドゥールがやってきて、村の平和は乱されていく……。
 汝シリーズ第一巻。以前も、読もうとして、読めなかった覚えがあるので、今回は再チャレンジです。

 そして、読み切れたのですが、う〜ん、なんか微妙。
 シャナもイーグも過去をひきずっている設定で描かれ、どちらも心理的にぐちゃぐちゃとしてるせいでしょうか。
 二人の出会いが運命すぎというか、ご都合的すぎるのもいただけないな〜と思います。

 反対にドゥールは出てきたときは何こいつとか思っていましたが、後半、イーグが暴走し始めてからは 意外にいいヤツかもと思い始めたんですが……。
 あとは、マハラ婆ちゃんも気になりました。シャナのこともイーグのこともあって、 このアズバドル村は柔軟性はあるようだけども排他的ではあるように思ったので、 マハラのこともあんなに急には受け入れないだろうと思ったのですが。

 作者さんの初文庫ということですし、 設定には惹かれるものがあるのでもう2,3巻、続きを読んでみてから、さらに続きを読むか決めようと思います。
評価:3  2006/01/16読了

タラスタロスの庭
(著:前田珠子 イラスト:木々)  集英社コバルト文庫
 アニエスタの王子、カァスタイーン。彼は七歳の時、隣国タラスタロスを訪れた。タラスタロスの王家の人々は 神の力に守られているらしく、民衆の前に無防備に姿をさらす。
 そして夜、何者かに呼ばれているように感じたカァスタイーンが窓を開けると、そこには空中を浮遊し移動する 幻のような庭園がみえた。
 再び、前田珠子さんに挑戦してみました。

 作者さんが後書きで述べているように、‘異形に会って人生を狂わせられる’というあらすじだけならば、 『月下廃園』と同じような感じですが、私はこの『タラスタロス』の方が好きです。 主人公がわりと素直な子のせいか感情移入がしやすかったですね。(別に『月下廃園』の主人公が素直でなかったわけではないんですが……)
 話自体も妖魔に魅入られた男が云々とわかりやすい感じで、それを血なまぐさくもなく、淡々と 描写されているので、あっさりと読み終えられました。
 印象的には「綺麗」という言葉がしっくりくる気がします。

 作品中で3人もの人物を夢中にさせる妖魔が一番好きでした。
評価:4−  2006/01/19読了

イズァーカ商会へようこそ
(著:前田珠子 イラスト:鈴木理華)  集英社コバルト文庫
 各国から第一級認可を受け、依頼に応じて、人材を提供する組織、イズァーカ商会。
 そんな組織に属し優秀な任務達成率を誇る3人組。それが、カリン、キース、ラジークの3人である。
 ある日、彼らを名指しした依頼が入った。その依頼はカリンの過去に関係していた……。
 前回の『タラスタロスの庭』で、個人的に評価が持ち直したので、さらに前田珠子さんに挑戦してみました。

 あ〜、おもしろかった。
 私が今まで読んだ前田さんの作品の中ではこれが一番、読みやすかったです。いや、勝ち気な女の子が ガーッといっちゃう話がけっこう好きというのは多分にあると思うんですが。
 ストーリーよりはキャラクター同士の掛け合いを楽しむのが正しい読み方な気がします。
 私が好きなのはやはり主人公のカリンちゃんですね。彼女とチームの他のメンバーとの 会話は非常に楽しかったです。
 アージー・モーズさんは食えない性格ですなあ。あまりお近づきにはなりたくないです。

 う〜ん、前田さんは続きがかけたら書くつもりだったんでしょうか。この本自体で話は終わっているけれども、作品世界は 続きが書こうと思えばかけるよねというような設定がばらまかれてたように思います。
 カリンちゃんの叔母さんこと緋の魔女のことも気になるので、続きが出たら読みたいけれど、まあ、無理でしょうねえ。
評価:4−  2006/01/20読了

虹北恭助のハイスクール☆アドベンチャー
(著:はやみねかおる イラスト:やまさきもへじ)  講談社ノベルス
 人格破綻者のミステリ研究会部長に響子が告白された。断るための条件に「推理力のある人」などと言ったものだから 虹北堂の隠居店主・虹北恭助(10代)が引っ張り出されてしまい……。
 新キャラ続々で送られる虹北恭助、高校編です。

 読み始めてすぐに思ったいつもとなんか違うな〜という感想が終始つきまといながらも 読了してしまいました。
 主人公である恭助が他の登場キャラたちに喰われるのはいつものことですが、その度合いが ひどいというか、恭助がいつもにもまして引っ込み気味というか……。
 恭助や響子ちゃんが1巻の小学生から高校生に成長してきたことで、恭助の内面の変化を描こうとして、 引っ込み気味になったのかなという見方ができることはできるのですが、なんだかなあという感じです。

 読んでいる途中、プラカードでのつっこみが多く、気にはなっていたのですが、どうやら この作品自体が、漫画の原作として書かれたということで納得はしました。納得はしたのですが、 漫画での表現と小説での表現の違いということをはやみねさんには考えて欲しかったなと思いました。

 主人公である恭助が学校に行っていないのでしょうがないとは思うのですが、高校編なのでもうちょっと学校に 絡めて欲しかったかなとも思います。まあ、高校は義務教育ではないしなあ。
 そうでなければ、今まで同様、商店街であるという利をいかして欲しかったなと思いました。

 この巻は終始、ドタバタ劇に終わってしまったのが非常に残念に思います。
 結局、明かされなかった恭助の捜し物も気になりますし、 用意してあるというフランス編がちゃんとした話なら読もうかなと思っています。

 関係ないですが、イラストの方はだいぶ変化したなあと思います。
評価:2+  2006/01/22読了
虹北恭助の新新冒険』← →

天岩屋戸の研究 私立伝奇学園高等学校民俗学研究会その3
(著:田中啓文 イラスト:瀬田清)  講談社ノベルス
 もうすぐ運動会、そんな中、伝奇学園の周辺では連続殺人事件が起きる。その死に方はなんだか奇妙で……『オノゴロ洞の研究』
 合宿に選ばれた場所は山奥で雷獣伝説の残る土地だった。……『雷獣洞の研究』
 もうすぐ3年生も卒業。民俗学研究会顧問の藪田は‘常世の森’の中にあるという十字型の洞窟を最後のフィールドワーク場所として 提案するが……『天岩屋戸の研究』
 駄洒落ミステリ3巻目。

 このシリーズはライトノベルとはちょっと毛色が違うので、読み出すのにちょっと助走が必要でしたが、 読み出すとやっぱり面白いです。
 今回印象に残ったのは『雷獣洞の研究』ですね。雷獣はあまり関係がなかったですが、 かなりミステリっぽいストーリーが気に入りました。犯人もちょっと意外でしたし。 ゲストキャラクターも好きでした。この巻の中では一番、駄洒落が決まってるかな……。

 この巻が最終巻ということで、総まとめになる『天岩屋戸の研究』ですが、 ちょっといまいちですね。いつものバカバカしい駄洒落度が減ってしまったせいでしょうか。
 まあ、藪田先生のたくらみも知れたので良かったとしましょうか。
 民俗学研究会も将来有望な新人が入ったことですし。
評価:3+  2006/01/26読了
邪馬台洞の研究 私立伝奇学園高等学校民俗学研究会その2』← →

深き水の眠り
(著:毛利志生子 イラスト:藤田麻貴)  集英社コバルト文庫
 ふつうの高校1年生、名和沙月。彼女はある日、赤い髪をした青年に出会う。彼は吼と名乗り、沙月に名前を呼んでくれるように迫る。
 翌日、沙月の同級生が校内で殺された。
 そんな事件が起こる中、吼の影におびえる沙月に2年生の成瀬玻瑠佳が言った。
液体から呼ばれる水の精霊、水蛇。沙月はその水蛇を支配できる能力を持った “蛇巫”だというのである……。
 うう……、まともに変換できる名前を使って欲しい……。

 まあ、そんなことはともかく、深き水の眠り、1巻目です。
 水蛇というと『カナリア・ファイル』のとある登場人物を思いだしてしまうのですが、まあ、ともかく。

 表紙折り返しのあらすじ読んで、すぐに名前を呼んでしまうのかと思ってたんですが、そうじゃないんですねえ。軽く裏切られました。(笑)
 面白かったです。最初はおびえていた沙月が、事情を知り、次第に受け入れていく様子とか。 逆に主なってもらいたいのに受け入れてもらえない吼の様子とか。

 でも、よく考えると痛い話なんですけどねえ。そのへん、さらっと流してありますが。→沙月は新しい出会いを得た代わりに、 今までの、友情を失うんですよ? めちゃ、痛いと思うんですが。玻瑠佳さんの過去もけっこう寂しくて悲しいところがかいま見えますし。

 キャラでは若竹丸くんが可愛いっす。吼もしっかりした人格(蛇格?)かと思ったら、意外にお子様で笑えましたが。
 水蛇にもそれぞれ背景があるのがいいですねえ。あまり語られなかった静河さんの背景も知りたいです。
評価:3+  2006/01/26読了
← →『深き水の眠り まどろみの闇

深き水の眠り まどろみの闇
(著:毛利志生子 イラスト:藤田麻貴)  集英社コバルト文庫
 夏休みに旅行に出かけた沙月が宿泊予定の宿に到着するとそこは火事の跡の廃墟だった。そこに現れたのは沙月に宿の場所を教えてくれた男。 どうやら沙月は騙されたらしい。その男に襲われる沙月を助けてくれたのは美鶴と名乗る女性だった。美鶴はどうみても普通の人だったが、 沙月はなぜか彼女から水蛇の気配を感じて……。
 シリーズ2巻目です。
 うわっ、らぶらぶだ・・。どなたとどなたのこととはもうしません。う〜、下手にラブもの読むと感情が変なモードに入っちゃうので 普段は避けてるんですが……。(なら、なんでコバルト読んでるんだ……)あっちゃあ、という感じですね。こういうふたりだったんだ……。

 と、ストーリーからややはずれたところを進んでしまいましたが、ストーリーも面白かったですよ。
 親友の加生里の焼死という過去を抱える美鶴と前作の結末からの 沙月の言動が気になり、するっと読み終えられました。

 そして、沙月がなかなか特殊な力をもっているということが発覚しましたが、 このことに伴う静河のセリフが意味深長ですねえ。気になります。
評価:3+  2006/01/27読了
深き水の眠り』← →『月光の淵

砂漠の花
(著:金蓮花 イラスト:珠黎皐夕)  集英社コバルト文庫
 亡くなった父王の跡を継ぎ、若くしてカナルサリ王国の女王となったカリュンフェイ。 王だけに与えられる人生二度目の神託の結果は和と武力という異なる二つに割れた。
 ある日、謁見をすっぽかしたカリュンは王宮の庭で、シルヴァス公国の第3公子シリスと出会う。ほんのイタズラで、 カリュンは彼に女王の侍女をしているカリカだと名乗る……。
 砂漠の花シリーズ1巻目。
 金蓮花さんの作品は系譜シリーズ全巻と銀葉亭茶話の1巻目だけを読んだことがあるのですが、 その中では個人的に一番ヒットした感じです。

 キャラに入り込むというよりは一歩引いた視点から物語を眺めている感じでしたが、その分、愛に飢えたカリュンや 彼女を思うレンソール、クノーヴァレアとシアラ夫妻、乳母のアーマの感情がわかりましたし、カリュンがシリスに惚れていく 過程がみえました。

 途中まではカリュンが選ぶ道と下された神託を比べてどちらを選んだらどちらの神託の道になるんだろうとか思っていましたし、 後半の怒濤の展開の中で道は決まったか?と思っていたんですが、最後の最後でひっくり返されてしまいました。
 そして、よく考えると神託が別の意味にも取れ……。カリュンの恋がどうなるかと合わせて気になります。
評価:4−  2006/01/29読了
→『砂漠の花U 青海流砂

札屋一蓮!〜てらまち・札屋殺人事件〜
(著:さくまゆうこ イラスト:佐倉尚義)  集英社コバルト文庫
 「魔」に浸食された灯を助けるため、一蓮は奈良を訪ねた。ドケチ店主である一蓮は自分がいない間も商売をするため、 自分そっくりの「識」をつくる。その本人と見分けがつかないほど精巧な「識」と狐の精霊レイ子に店番をまかせ、一蓮は奈良へと旅立つ。
 一方で、灯の処遇も決まり、神仙界からひとりの神仙が使わされてくる。
 札屋9巻目。グローバルさん再びですね。というか、彼はほぼ出ずっぱり。

 ええっ、いつのまにそんなに大事に発展していたの?というのが感想なんですが……。
 グローバルさんに助力を請いに行くのはまあ、わかります。そしてそのために、一蓮が店番用分身をつくるのもまあわからなくはないです。 灯ちゃんのこともありますし。
 で、それがなんであんなことになっちゃうんでしょうか。不思議です。ミステリーです。(だから、事件?)

 ところで、次巻で完結ということなので、この話がクライマックスに向かっていっているのは間違いないと思っています。 展開もクライマックスにふさわしいような気がします。しかし、地の文(と、一部のキャラクター)がときどきそれをぶち壊しているのが気にかかります。 坂道を登っているつもりなのに、地の文がそれをなだらかにしてしまうというか……。う〜ん。

 あ、あと結局、結末が運命論になりそうな気がしてそれも幻滅ポイントといえばそうですね。
 まあ、後残すは一巻、結末を楽しみにしておきます。
評価:3  2006/01/31読了
札屋一蓮!〜紫、「札屋物語」を著す〜』← →

 今月の感想数 14冊



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