2006年3月分の感想
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少年計数機 池袋ウエストゲートパークU
(著:石田衣良)  文藝春秋
 池袋西口公園。そこは少年たちのたまり場。ケンカを売り、ケンカを買い、女をナンパし、女はナンパされようとする。
 そんな町、池袋のちんけな果物屋に生まれ、池袋をホームタウンとして育ったマコトが、池袋の町に起こる事件解決に挑む。
 シリーズ2巻目。

 表題作と4話目が印象に残ったかな。
 前作が楽しく読めた方なら文句なくこの巻も楽しめそうです。
評価:3+  2006/03/01読了
池袋ウエストゲートパーク』← →『骨音 池袋ウエストゲートパークV

マリア様がみてる いとしき歳月(後編)
(著:今野緒雪 イラスト:ひびき玲音)  集英社コバルト文庫
 卒業まで本当に残りわずか、そんなある日、祐巳は紅薔薇さまに呼び止められ……。(Will)
 ついに卒業式当日。当人たちはどうとらえているのか……(いつしか年も)
 白薔薇ファミリーの出会い(片手だけつないで)
 シリーズ8巻目。

 たしかに温かいモノをストローで飲むと舌を火傷しますねえ。私もやったことがあります。ホットココアだったかな……。でも、これぐらいの怪我で 済むモノなら親は止めずに「やってみなさい」と言うんでは? そしてどうでもいいですがパックジュースはあんまりアツアツにならないみたいで 加温機販売してますよねえ。でも、牛乳は見たことないか……。
 白薔薇さま……(笑)。祐巳ちゃんもいくら怖くても進学先はチェックしとくべきでしょうけどねえ。まあ、気持ちは分からなくもないですが。 そして白薔薇さまの言い方だと誤解を招きやすいのも間違いない……。

 卒業式当日、たしかに当日ってちょっとした感慨はあっても実はあんまり普段と変わらないかも知れないなあ……。 それよりも注目は三薔薇さまの過去エピソード。それぞれに因縁があったんですねえ……。
 ぐっとくるのは祥子さまの送辞。泣きながら送辞を読む人は今まで見たことがないけれど、盛り上がるし 本当に卒業生は愛されていたのだなあ……と思えますね。それを祥子さまがやったところが注目ポイントでしょうか。そのカバーに令が飛び出してくる所などは 世代交代を感じさせてくれますね。

 白薔薇ファミリー。志摩子さんを祥子さまと白薔薇さまが奪い合ったように今まで捕らえていたのですが(祐巳視点だったし)……なんか違う。 この描き方だと祥子さまは振られるのが分かっていて、白薔薇さまと志摩子さんの関係を促すために志摩子さんに姉妹の申し込みをしたことになるんですよね。 きっとそうなんでしょう。
 白薔薇ファミリーの淡泊な関係の秘密(というか裏事情)をかいま見た気がします。
評価;4  2006/03/01読了
マリア様がみてる いとしき歳月(前編)』←  →『マリア様がみてる チェリーブロッサム

月の人魚姫
(著:榎木洋子 イラスト:RAMI)  角川ビーンズ文庫
 遠い昔(?)に地球から人間たちが入植した惑星セブン・シー。そこには人魚と呼ばれ海中でも息ができ、海中に宮殿を築いている海の民と 普通の人間と変わらない陸の民の二つの種族がいた。
 ある日、陸の民の船が嵐で遭難し、海の民はそれを助けた。
 海の民の王の末っ子イルが救助したのは陸の民の王子エアリオルだった。エアリオルはイルにお礼を言うついでになんと求婚するが……。
 黒ずくめでヴィンセントと言えば個人的にはあの方ですねえ、やっぱり。FFシリーズは7とタクティクスしかやってないですけど。

 榎木さんの作品はコバルトの作品をほぼ制覇してるので、ビーンズに触手を伸ばしてみました。……ほのかに漂うBL臭……。でもまあ、主人公イルは 少年ぽいですが少年ではないですし(海の民は生来、性別が未分化で成人したら性別が決まる設定。イルは男志望で夢は宇宙飛行士)男同士の友情ものと 思おうと思えば思えるのでまあ読めます。作者が榎木さんなので完全なBLには移行しないでしょうし。

 ストーリーはわりとありがち系なので、どちらかというとキャラで読む小説でしょうかね。

 う〜ん、それにしても「影の王国」とか「アルダ」シリーズ世界などは下町なんかの風景描写では風景が思い浮かべられて 良いのですが、この月と人魚姫ではそういうのが感じられなくてすごく残念です。
 海の民が独特の身体構造(海の中で長時間息が出来たり、思念波で話が出来たり。性別が未分化だったり)をしているのに、あまり独特の 文化をもっておらず、基本的に地球とあまり変わらないのも気になりますね。映画なども地球のモノばかり出てきますし。あんたら入植して 何年経っているんですかというつっこみを入れてしまいたくなります。
 イルが主人公なのであまり陸の民のことが語られず、陸の民の生活があまり語られなかったのも残念です。

 老化しないことを研究するなら吸血鬼病のことを研究した方が早そうな気もします……。
評価:3+  2006/03/06読了
→『海賊と人魚姫

海賊と人魚姫
(著:榎木洋子 イラスト:RAMI)  角川ビーンズ文庫
 前巻の後、エアリオルの政策に共感したイルは3年間という期限付きで陸の民と同様の身体構造に変化し、惑星セブン・シーの人工衛星である月都市に移り住み、 陸の民の王子エアリオルとともに行動をともにしていた。
 そのころ月都市とセブン・シー間の交易船を襲う海賊の活動が活発になり、セブン・シー産の嗜好品などの入手が難しくなっていた。 そんなある日、イルは下町でエアリオルに恋する財閥令嬢を助けるが……
 シリーズ2巻目。

 う〜ん、今回の印象は中途半端。恋愛モノとしてもBLとしても(これが突っ走ると読めないですが)SFとしてもストーリーの敵役も すべてにおいて中途半端な気がしました。
 前巻よりも事件性がなんだか薄いので前巻に輪をかけてキャラが好きではないと楽しめないですね。

 黒ずくめの陰謀が微妙に気になりはしますが……まあ、この次が出ても飛びつきはしませんかね。
評価:3  2006/03/11読了
月の人魚姫』←

真名の系譜 魂郷篇
(著:こづみ那巳 イラスト:北畠あけ乃)  角川ビーンズ文庫
 冬休み直前のある日、突然に「東京の兄さんに会いに行け」と言われた中学生の荻乃。しかし行った先には尽興と名乗る怪しい坊主しかいなかった。
 彼とともに行動する荻乃は金持ちそうな爺さんの願いを聞いてやることになる。荻乃は人の魂郷を映す‘魂昇瀬’という能力をその両目に宿しているため、 爺さんの願いを叶えてやろうとするが……。
 駅前の古本屋で3冊セット600円。しかも完結してたので購入。能力系とか退魔物とか好きですし。
 あんまり聞いたことのない人だなあと思ってたのですが、当時の新人さんみたいですね。

 さて、内容。
 全体としては悪くないです。主人公のみ一人称で他は三人称を用いて物語は展開していくのですが、最初はその切り替えに違和感がありましたが 、読んでいくうちに慣れる程度でした。

 年寄りを助けようとする主人公は頑張れと思うし、口が良く回る嘘八百な坊主と主人公のコンビがなかなか面白いです。物語の胆になっている精神世界へ もぐるときの書き方も地に足がついた感じで読みやすかったです。

 ちょっと難を感じたのは用語説明のなさですね。‘魂郷’とか‘拭き技’とか‘言ノ領’、‘徒し名’など能力を説明するためにいろいろな用語が 出てくるんですが、それに対して説明無しでスルーな物が多いです。これから説明されるのかも知れないですが、どうせなら一巻の時点で説明してもらいたいな と思いました。あとは時々、方言らしきものがまざっておりそれの意味が分からないことがあってちょっと気になりました。

 まだ、主人公紹介という感じですが、手堅い感じで良かったので次も読むつもりでいます。
評価:3+  2006/03/11読了
→『真名の系譜 言ノ領篇

Missing5 目隠しの物語
(著:甲田学人 イラスト:翠川しん)  電撃文庫
 武巳と稜子が参加したのはこっくりさんに似た手順でやるそうじさま。
 そのそうじさまの主催であった幸村月子という少女が翌日、自殺した。
 武巳と稜子が関与していると言うことを盾に取られた文芸部の面々は事件を調べ始めるが……
 シリーズ5冊目。今回は武巳くんにスポットがあたってますね。

 4巻の感想で武巳に対して稜子の気持ちに気づいてなかったのか?とか書いてますが、本当に気づいてなかったんですね……。 そりゃ、ぎくしゃくもするかもしれないなあ。
 今回のゲストキャラでは久美子が一番、言動にうなずけるところが多かったですね。彼女の思った‘秘密組織のエージェントみたい’ってのも 実際に私が久美子の立場だったら思いそうな気がしますし。
 多絵の方は……最後の行動が怖いですね。亜紀、目隠しぐらい返してやれよ……とか思いますが。

 それにしても‘塗り込められた血のような赤’とか‘たちこめるクレヨンの香り’とか想像しやすくて相変わらず怖いです。背筋がこう……ぞぞっと。多絵が あの行動を取るときの効果音もリアルっぽくて怖いです。本当にあんな音がするのか試す気にもなりませんが。

 思うんですが、どうして文芸部の面々はこう稜子と武巳をセットで放置するんでしょうか……。役立たずで邪魔というのはなんとなく分かるんですが、実は この二人が物語中では一番、異界遭遇率が高い気がするんですが……。魔女さんとか黒服さんとかが嵌めようとしたときに嵌めやすそうですし。
評価:4−  2006/03/12読了
Missing4 首くくりの物語・完結編』← →『Missing6 合わせ鏡の物語

真名の系譜 言ノ領篇
(著:こづみ那巳 イラスト:北畠あけ乃)  角川ビーンズ文庫
 尽興の寺に身を寄せていた荻乃。しかし、彼は異能の力を欲する讃良家の罠に引っかかり、自ら讃良家へと赴く。
 時を同じくして、荻乃の兄である藤生と従兄弟に当たる瑞悸も同じ異能の子である龍悟に縛束されていた。さらに讃良家家長である 達人の命を狙う男も現れる……。
 シリーズ二巻目。

 今回は特殊用語の説明がきちんとされてます。なるほど、そういうことなのか……。
 前巻では何度か引っかかりを感じた主人公の一人称語りと周辺人物の場合の三人称語りですが解消されてますねえ。継ぎ目が目立たなくなって 自然な感じです。

 本当にいろいろ明らかになりまして、登場人物も曲者揃いで楽しいです。(男ばっかりですが……)それぞれのキャラが それぞれの目的に従って、バラバラの行動を取る……。どうなっていくんでしょうか……。  特に、藤生さんと龍悟さんが注目株ですかね。
評価:3+  2006/03/14読了
真名の系譜 魂郷篇』← →『真名の系譜 睡郷篇

真名の系譜 睡郷篇
(著:こづみ那巳 イラスト:北畠あけ乃)  角川ビーンズ文庫
 荻乃たち兄弟は14年の時を経てついに再び巡り会った。そして、祖父であり異能の集結に執念を燃やす達人の野望をくじくため、 血族を集めようとする。
 一方で、異能の抹殺を企てる龍悟は最愛の妹が二度と目覚めないと聞き、激昂するが……。
 シリーズ3巻目にして完結巻。

 いやあ、藤生兄さんが異能をかなり科学的に説明してくれちゃって驚きました。そんなに科学的に考えられるものなんだ? いくら医者だからって 異能自体少ないだろうし(出てきたのが全員だとしたら10に満たないし)立場上、表だって動けないだろうに、よくそこまで考えたな、藤生さん……。
 でも、そういうことなら、進化の発展上、女性の異能の方が多そうなんですがねえ……。 まあ、いいか。劣性伴性遺伝だったんだろう……と思うことにしよう。

 2巻目から本格的に動き出した物語がこの巻で綺麗にまとまってます。しかし、話がここまでお家騒動で終わるとはなかなか予想外でした。
 みんなから憎まれている達人。最後の最後で荻乃が彼を「祖父ちゃん」と呼ぶのがなんか印象的でした。

 ネタバレですがそれにしてもちょっと謎なのは→荻乃は巫女の方の血が濃いみたいなことを言われてますが、 あの魂昇瀬は魂郷の能力じゃないんでしょうか……
 深く考えると消化不良になってしまう部分もありますが、ストーリーの本筋は綺麗にまとまっているので良かったです。
 はまりはしないけど続きがあったら買うであろう手堅い作品という印象でした。
評価:3+  2006/03/16読了
真名の系譜 言ノ領篇』←

Missing6 合わせ鏡の物語
(著:甲田学人 イラスト:翠川しん)  電撃文庫
 聖創学院高校に訪れた文化祭の季節。文芸部の面々も作業に追われていた。
 そんな中、美術部の特別展である、『連作・鏡の七不思議』に文芸部の面々が今までに遭遇した事件と明らかにリンクするモチーフが描かれていること が分かった。文芸部の面々はこの絵の作者である八純啓という3年生の元へと向かうが……。
 シリーズ6冊目。

 今回のモチーフは鏡。鏡は本当にいろいろエピソードがあるよな〜。午前2時に水(鏡)に映った顔は未来の結婚相手とか午前4時44分に合わせ鏡をしたら 未来の自分が映るとか(「地獄先生ぬ〜べ〜」でそんなネタがあったな……)。本編で空目が言っている‘鏡を利用して呪いをかける’というのは似たような ものとして‘オプシディアンに自分の姿を映して自己暗示をかける’というのを本で見かけたことがありますわ。対象が相手か自分かというだけで似た路線。

 さてさて、本編。この巻は真夜中に静かな場所で一人で読むこと推奨(笑)。物語の中と同じ環境にいると怖さ5割り増しです、きっと。
 甲田さんはページの切れ目を計算して本文を書いているのかな〜と思う場所がありました。ページをめくる瞬間、この間はたった一瞬ぐらいですが それがうまく使われてるなと思うことが二回ほどあったので。
 武巳は相変わらずですね。早く言ってしまえば犠牲にならなくて済んだ人はきっといるんだろうなあ。
 そして、稜子もこのままメンバーと一緒にいると絶対にどこかで無理が出てくるだろうなと思ったり。
評価:3+  2006/03/18読了
Missing5 目隠しの物語』← →『Missing7 合わせ鏡の物語・完結編

Missing7 合わせ鏡の物語・完結編
(著:甲田学人 イラスト:翠川しん)  電撃文庫
 八純の死。そして戻ってきた赤名裕子と大木奈々美。
 しかし、怪異は終わらない。人々は欺瞞と無理を積み重ねて怪異を見ぬふりをして日常を続行させる……。
 シリーズ7冊目。

 前巻感想の午前二時の話は本文でも紹介されてましたね〜。私がこの話を知ったのは小学校に通っていて怖い話がはやった時期ですが、まんまあの話でした。 (カミソリをくわえてどーの……という……)そういえば、おぼんにハシを転がして私の将来の結婚相手を占ってくれたヤツがいたなあ……。

 まあ、いいや。
 水内範子嬢のあのシーンは……うっわ、痛い!としか言いようがないです。爪ほどの大きさってけっこうあるよ? 痛そうですよ?
 彼女がやってしまった行いも十分に痛ましかったです。魔女は彼女が選んだ物語とか言ってますが、どこかで彼女をあおったのでは……とか思ったり。 鏡はあの忌まわしい鏡でなくても大丈夫なのね……。

 稜子&武巳は本格的にやばいですねえ。村神もこれからは危険そうですが……。
 そして、メンバーvs怪異(魔女)だったのが30ウン人の神隠しとあの騒動を機会に学校vs怪異(魔女)になってきましたねえ。
 次の巻から本格的にメンバー(空目)vs魔女の戦いになっていくわけで……次の巻までは読了しているのでさっさと読んで続き読みたいです。

 そういえば、初読の時は魔女の出現に驚いた覚えがあります。あんだけ怪しいのに、 『目隠し』で失踪してそのまま出てこないだろうと思いこんでたようです。
評価:4−  2006/03/20読了
Missing6 合わせ鏡の物語』← →『Missing8 生贄の物語

Missing8 生贄の物語
(著:甲田学人 イラスト:翠川しん)  電撃文庫
 雨降る中、壁に塗り込められた少女の怪談。そして、その怪談を知った少女がひとり姿を消した。
 一方で本格的に魔女と戦うことを決意した魔王は皆に自分の母親を紹介し、怪異へ関わることへの決意を求める……。
 シリーズ8冊目。

 この巻までが以前読んだことのある巻ですね。この巻は割とストーリーを覚えていたので改めて思うことは少なかったなあ。
 以前読んだときには、マツカタまだいたんだ。とか理事長さんにビックリとかいろいろ思った記憶があるんですけどねえ。組織も登場しないし。 そういや、何でも知っているように見えた魔女が七不思議の欠番である七番目は知らなかったこともビックリだった記憶が……。
 一番、驚いたのはあやめの過去でしたね。えっ、続きは……てところで切れてしまって、8巻は終わった気がしなかった記憶があります。

 今回読んでの感想は、俊也もろいな〜ですかね。もろくなった、という方が正解なのかしら……。あやめはもともとが怪異だからともかく、 魔王陛下も無感情な人だしな……。亜紀は理性という一本柱を持っているけれど、意外に熱いところがあるから、自己決定して何かを始めたら止まらないんじゃ ないかなあ。武巳&稜子ももう一波乱ありそうですが、武巳頑張れ〜と。
評価:3++ 2006/03/21読了
Missing7 合わせ鏡の物語・完結編』← →『Missing9 座敷童の物語

Missing9 座敷童の物語
(著:甲田学人 イラスト:翠川しん)  電撃文庫
 ‘魔女’が学校へと戻ってきた。取り巻きをつれて。
 空目たちの元には自分に欠けたものを補ってくれる儀式を行ったという少女が助けを求めてきていた……。
 シリーズ9冊目。

 ついに未読だった巻に突入です。
 以前に友達からあやめのことはさらっとスルーって聞いてましたがホントですね……。まあ、たしかにメンバーの中にあやめの過去を知りたい と思いそうな人は少ないですが……。
 基城さんも久々に登場ですねえ。本当に双子だったんだ……。
 圭子ちゃん、そういうことは素直に言おうよ……。あ、でも私もそういうときに言い出せるかは微妙かも……。
 そういや、あやめがしゃべっているのに驚きました。いや、しゃべれるのは知っていたんですが、あまりしゃべる印象がなかったので、驚きました。
 そして、あやめに触発される亜紀もなあ。この人は自分のやっていることの正当性とかがわかってそうだからたちが悪い……。

 今回の魔王陛下の講義はなんとなく散漫な印象があるような……。座敷童というキーワードから何かと引き替えにもらってきた子供、とかなんか怪異の説明に なってないような気がするんですが……。

 さて、それぞれが不安定になってちょっと揺らせばドバッと崩れそうな魔王軍ですが、これからどうなるんでしょうか……。
評価:3+  2006/03/21読了
Missing8 生贄の物語』← →『Missing10 続・座敷童の物語

哀しみキメラ
(著:来楽零 イラスト:柳原澪)  電撃文庫
 エレベーターが止まり、閉じこめられてしまった4人。そして彼らは謎の物体に襲われる。その事件以降、彼らの体は変化してしまう。 いくら食べても満たされない体。回復し、幽霊まで見えるようになった視力。
 そんな彼らの前に現れたのはモノ祓い師だという七倉が現れる。彼は言う。彼らを襲ったのは人間を喰らうモノ。そして、今、彼らはそのモノと同化 してしまっているのだと。
 電撃小説大賞の金賞受賞作だそうです。発売されて割とすぐなのにたまたま古本屋で見つけたので購入してきました。

 う〜ん、嫌いじゃないし、けっこう楽しめたんですが、面白かったか? と尋ねられると微妙ですね。
 ストーリーはもキャラクターもライトノベルライトノベルしていない感じだなあ、と思ったんですが、そこが裏目に出ている感じがありますね。 ストーリーはともかく、キャラクターに個性が薄いのでどうしてそういう行動をとったの? と思ってしまう。もうちょっとキャラクターを深めて欲しい 感じですね。

 この話はキメラに変化してしまった4人に焦点を当てているから仕方ないのかなとも思うけれど、七倉さんと本家の関係とかもちょっと気になりますね。 七倉さんvs本家になっているけれど、七倉さんだけで本家に対抗していたのかなと考えてしまいました。
 ラストは哀しい感じですが、個人的には嫌いじゃないですね。この終わり方。
 この話はこれで終わってるので新作を書いて欲しいなあ。(購入するかはあらすじによるけどさ)
評価:3+  2006/03/22読了

Missing10 続・座敷童の物語
(著:甲田学人 イラスト:翠川しん)  電撃文庫
 魔女たちの計画の進行。計画の第一段階を任されたという使徒のひとりである広瀬は受け身体制の空目を挑発する。
 そして木村圭子が失踪し……。
 シリーズ10巻目。座敷童の中編ですね。

 うわあ、前回少なめだなあと思っていた魔王陛下の講義がここにきて大量に……。
 金蚕蟲……言われてみると確かに。福の神も確かにそうだよなあ……。憑き物筋は亜紀の過剰反応が目につきましたが……。
 現代の魔女の説明もおもしろかったですが。甲田さんはどこでこんな知識を……とか思ってしまう。
 殺人者の説明もわからなくはないですが……故意ではない殺人者についてだとその説明ではちょっと手厳しくないかなあ?

 使徒36名が合わせ鏡の時の帰還者だとしたら……調べはつきそうだよなあ。高等祭司の3人については名乗ってるから名前も分かってるわけだし。
 空目、マツカタのことは予想済みだったんだ……。武巳が黙ってたことは空目に対しては意味なかったんだね。亜紀とか俊也に対しては 意味があったみたいだけど。
 マツカタが武巳に対して送った護符メール。ADNIはアドナイかなあ、と思うけど、後のIHVH、IIAI、AHIHが分からないや。なんだろう……。 それにしてもいくら稜子の姿とはいえマツカタがメールを送っている姿を想像するとなんだかちょっと笑えます。 メールを送りそうなイメージではないもんなあ……。

 ラストシーン。ここ数巻で俊也の考えは甘いんだろうなあと思っていましたが、結局守るべき物をひとつに定めた武巳に凌駕されてしまったなあ。 ん〜、でも武巳は凡人さを痛感したみたいだし、亜紀の言うとおり、凡人二人は帰ってこないような気もするなあ。

 そういえば、結局説明されていないような気がするけれど、寮の窓が異界の池に見立てられるのは窓に使われているガラスが反固体な物質だからだよねえ? (誰に聞いてるんですか?)
評価:4−  2006/03/24読了
Missing9 座敷童の物語』← →『Missing11 座敷童の物語・完結編

Missing11 座敷童の物語・完結編
(著:甲田学人 イラスト:翠川しん)  電撃文庫
 分裂した文芸部。しかしその修復を待つでもなく事件は進行する。
 復活した魔術師と詠子率いる使徒たちが暗躍し……。
 シリーズ11巻目。座敷童ついに閉幕です。

 閉幕です、なんて書きましたが、終わってません。思いっきり次の巻に続いてます……。今、感想を書いている時点で 既に12巻を読み始めているので気をつけますが頭の中で混ざるかも……。あしからず。

 沖本くんが今までの巻で平気な顔をしていたけれど、裏ではこんなことをしていたのか……と思ったり。武巳の反応もすごかったなあ……。 ここのシーンと俊也の踏みつけシーンが今回一番グロかったかな……。後で、武巳がマツカタさんにどうすれば良かったか聞いているけれど、 本当にアレで良かったか、もっと違う方法がなかったのか気になるところです。マツカタは簡潔に答えすぎるので、魔王陛下の理論的説明が欲しくなる……。
 沖本くんの変貌で、学校に巣くっている怪異の影響が浮き彫りになりますねえ……。稜子の同室のあの子(名前忘れたけど)は無事なのかな……。

 さて、次は俊也。彼の変貌がこの巻の見所なのかも知れない……。今まで悩みに悩んでいたことがついに全て吹っ切れた感じ。きっかけがねえ、なんだか アレだけど……。この後、広瀬は復活するのかねえ、う〜ん、魔女が形を与えてるみたいなこと言ってたからまた出てきそうな気はするなあ……。

 基城さん、自分が物語になってしまった彼はでも神野さんの久々の登場でラストシーンまで絡みそうな気配満々ですなあ……。
 そういえば、亜紀はどうじさまの儀式をやった後どうなったかがまだ書かれていないなあ……。これも神降ろしに引っ張るの?
 神隠しから続く今までの事件についてのつながりを空目が示唆したことはなるほどと思ったり。魔女の目的もコレではないのかということは 明らかになったし。何で彼女がコレをしたいのか……。は分からないけれど。
 それにしても、魔女に対抗する空目の目的も実は不明だよなあ……。
評価:4  2006/03/26読了
Missing10 続・座敷童の物語』← →『Missing12 神降ろしの物語

Missing12 神降ろしの物語
(著:甲田学人 イラスト:翠川しん)  電撃文庫
 一時期はものすごい数だった怪談は数を減らしていく。しかし同時に特定の噂を聞く頻度はむしろ上がっていった。 それは魔女たちの情報操作を意味していた。
 武巳の意に反し、稜子は空目たちに怪談を提供していた。そして、ある怪談を聞いていたとき、稜子の友人に怪異が襲いかかる。
 シリーズ12巻目。ついに残すところあと一冊ですね。ラスト前〜。

 稜子が本当にしっかりしてきましたね……。武巳に守られるのは嬉しいけど、それだけじゃない……てところがいい感じです。本当は武巳の言うとおり 関わらないことが一番なんでしょうけどね。たしかに空目がどの巻でか言っていたとおり、怪談を集めるひとが一番危ないようですが……。
 今回は携帯か〜。う〜ん、まさに都市伝説って感じ。でも、実際には携帯電話の都市伝説って聞いたことないな……。 せめて、呪いのチェーンメールぐらいですか。……でもこれだと不幸の手紙の類話になるんだろうなあ。

 武巳は稜子の思っているとおり、向かないことをして無理をしてる感はただよってますねえ。マツカタの後ろ盾もどうなるやら…… という感じではあるし……。
 稜子がしっかりしてきた一方で亜紀がねえ……。亜紀にとって俊也は空目に対するスタンス面で仲間……というか同類というかそんな感じだったんだろうな。 その俊也は前巻で異界を知って、空目に近づいてしまったから亜紀は落ち着かない……と。どうじさまの件もまだ片付いていないからなあ……。どうなるやら。 亜紀は空目に対する思いを結局伝えそうにないなと思ったり。

 さて、黒服も久々に登場でどうなりますかね。
 どうでもいいですが、すごく気になったのが保健室はあっているのに保健委員は保険委員になっていたことですね。しかも3,4回 保健委員という言葉が出てきましたが全部、保険委員になってました。
評価:3+  2006/03/30読了
Missing11 座敷童の物語・完結編』← → 『Missing13 神降ろしの物語・完結編

 今月の感想数 16冊



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