2006年6月分の感想
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断章のグリムT 灰かぶり
(著:甲田学人 イラスト:三日月かける)  電撃文庫
 普通であることを愛する少年、白野蒼衣。
 彼の愛する‘普通の’日常はとあるモノを目撃したことで脆くも崩れ去っていった……。
 ミッシングの甲田さんの最新作です。

 とりあえず一言。
 グロい。
 嫌いじゃないですけどね。こういうのも。というか、甲田学人ここにあり!という感じも……。

 ストーリーはサンドリヨン……じゃなくてグリム版灰かぶりをおもにモチーフとして利用ですね。サンドリヨンは読んだことあったのになあ。 しかも童話全集みたいなのに載っていたグロいほう。
 人の手には負えないものを理詰めで解いていこうとする姿勢はミッシングと共通で好きなんですが、今回は用語が多くてなかなか小難しい感じがします。

 そして一番思ったことはキャラ周り設定が全部どっかで見たことが……というものですね。ツンデレゴスロリ美少女はもちろん、 戦い方も見たことあるような気がするし。 やたらめったらな用語設定をするという技法も見たことがあるような気がするし……。あ、用語説明がちゃんとあったのは良かったですけどね。

 最初、主人公が‘普通が一番’というようなことを言っているのが妙に気になってました。「異常であること」を知ってるからこそ 「普通が大事」になるわけで、平凡な少年という設定の主人公だと「普通」以外の状態を知らないので「普通が大事」とは気づかないんじゃないかと 思っていたので。まあ、彼の過去が語られてから「普通が大事」説に納得しましたけど。
 他に妙に気になったソレは無理だろう。に一応突っ込んでおきます。
 ・5歳のリストカッター少女。
 ・小学校低学年ではそこまで感情を理性的に語ることはしないだろう……。

 う〜ん、全体的に見ると楽しめはしたんですが、続きは新刊では買わなくてもいいかなあ、と。古本化待ちか、友人に借りるという選択肢で いきたいです。
評価:3+  06/06/03読了

くもはち
(著:大塚英志 イラスト:西島大介)  角川書店
 右目が義眼で来歴不明の怪談専門作家くもはち。そして、元写真屋でのっぺらぼうのくもはち専属絵師むじな。
 来歴不明なコンビが妖怪にまつわる事件に挑んでいく。
 マンガを先に読んで、気に入ったので本の方を読んでみました。
 大塚さん作の小説は他作品(サイコ、僕は天使の羽を踏まない)を読んで合わないかなと思ってましたが、これはマンガの先入観も合ってか 大丈夫でした。
 漫画版とストーリーは大筋で同じですが、細かい伏線とかがちょっと違いますね。コチラの方が好きかもしれないです。
 というか、漫画感想の方にも書いたことですが、大正とか明治とか昭和初期とかの文明入りかけで、でも独特の暗さがあってそこに なにかいるかも……。と思わせてくれる雰囲気が好きですね。

 続き……は出さないだろうけれどこういう雰囲気のモノはまた読みたいですね。
評価:4  06/06/03読了
漫画版くもはち

月色光珠 黒士は白花を捧ぐ
(著:岡篠名桜 イラスト:風都ノリ)  集英社コバルト文庫
 没落した周家再興を夢見る少女琳琅(りんろう)は双子の弟である子朝(しちょう)とともに上京した。
 ある日、琳琅は負傷した黒衣の男を助ける。彼は魏有と名乗り、琳琅は彼の手伝いを申し出る。
 そして、琳琅はある少女の警護を頼まれる。その少女とは周家を没落させる原因を作った金貸しの娘、春蓉だった……。
 たまたま古本屋で売っていたので購入。

 思いの外良かったですね。もうちょっと腰砕けな作品かなと思っていたので。

 魏有のミステリアス具合がなかなかに好きでした。
 主人公が自由奔放元気はつらつに見えて、実はけっこう思い悩む性格だったり、かと思えば病弱で頭のみかと思われた 弟が意外に目的のためなら手段を選ばなかったり。この主人公姉弟が感情移入しやすかった要因かも。

 まあ、きれいに終わってはいますが、思わせぶりに書かれていて結局あまり活躍しなかった茶店の用心棒とか、あっさりさっぱり具合が 逆に気になる茶店の女将さんとかいるので、続きがあってもいいかなあと思いますね。
評価:4−  06/06/03読了
→『月色光珠 暁の野に君を想う

大鷲の誓い デルフィニア戦記外伝
(著:茅田砂胡 イラスト:沖麻実也)  中央公論新社Cノベルスファンタジア
 バルロはティレドン騎士団の一員であり、国王の親戚でもある国内筆頭大貴族の息子であった。
 一方のナシアスは地方貴族の息子ながらも剣の腕は一流で、ラモナ騎士団に在籍していた。
 身分のまったく違う二人は騎士団対抗親善試合で出会い、やがて友情をはぐくんでいく……。
 やっぱり手書きイラストはよいですのう(そこ?)

 デルフィニア外伝ですね。
 本編では既に成長しきっていて各騎士団を仕切っている二人が出会うシーンから描かれていましたね。そして、前国王崩御から暗黒の5年間〜。
 本編以後もちらりと……。バルロと奥様のやりとりが某海賊夫妻に見えてしまいましたが、そこ以外は楽しめました。増えたちびたちを見たら リィならなんて言うんだろうか……なんて私も想像してしまいました。デルフィニアのある惑星は天使たちシリーズに比べると やっぱり遠かったり別宇宙にあったりするのかなあ……。あぁ、でも遊びに来るならリィ&シェラせめてルゥだけにして欲しい。

 バルロとナシアスのそれぞれの成長具合が好もしかったですね。バルロの常識がナシアスにとっては非常識だったりして……。
 あとはデルフィニア1巻時点ではすでに天に召されてしまっている王族諸氏がちらちら登場するのも、こういう方々がいたんだなあ という感じで楽しかったですね。
 ラストで公開されたという王妃の肖像画のイラストがあったら良かったのになあとか思ったりして。
評価:4  06/06/04読了

天使のレシピ
(著:御伽枕 イラスト:松竜)  電撃文庫
 高校二年の春、オレは呪いをかけられた……。呪いをかけた張本人と目が合うともうダメだ……。(超告白)
 私は時々キスをしたくなる。その衝動は禁断症状にも似た症状で彼氏ではない別の男とキスをすると収まるのだが、 それは私にとってはとても不名誉なことで……。(トランキライザーキス)
 「恋愛をしてみたい。協力者を求む」その言葉から付き合いは始まった。(恋愛実験)
 私と彼はつながっている。その具合ははどこか人間を越えていて……。(ソラヲトベ)
 新人さん作品ですね。

 天使はちょくちょく出てきますが、いらないっちゃいらないですね。あと、性行為の描写もライトノベルにしてはきつくて、正直、いらないな〜と。 耽美派レーベルならともかく、電撃ですし。(耽美派ならもっときついだろう……)
 そういう細かいところはともかく、一遍一遍は良かったです。個人的には恋愛実験が一番面白かったですね。次点はトランキライザーキスかな。
 独立した話に見えて、各話の主人公がみんな同じクラスだったりというのが微妙に好きです。 会話もなく、同じシーン(朝のHRシーン)が出てくるだけですけど。

 文章がだらだら続いてるように感じるところなどあったし、全体的にももう一皮むけて欲しい感じです。2巻が出るみたいなのでそちらに期待。
評価:3+  06/06/08読了

マリア様がみてる チェリーブロッサム
(著:今野緒雪 イラスト:ひびき玲音)  集英社コバルト文庫
 リリアンに高校から入学した乃梨子は学校になかなかなじめなくて……。(銀杏の中の桜)
 白百合会はマリア祭の準備で忙しいが、白薔薇こと志摩子の様子がおかしいことに気づき……。(BGN)
 新入生登場で新展開の9巻。

 新生 白薔薇ファミリー!て感じの内容ですね。短編で分かれてますが同じ話の表と裏ですね。白薔薇サイドから見た場合と白百合会からみた場合 というか。

 それにしても、志摩子さんの秘密はそんなことか!と思いましたねえ。実家がどうであろうと、心がクリスチャンなら充分なんじゃないかと思いますけどねえ。 クリスチャンじゃないけど通ってるっていう子もいるだろうし。どちらの秘密もおおっぴらにするモノではないとは思いますけども。あそこまで身体張って バリア作って守るほどのモノでもないような気がします。
 まあ、作者さんの言うとおり後で思うと「なんだ、そんなこと」を意識して描いていたんでしょうけどね。
評価:3+  06/06/10読了
マリア様がみてる いとしき歳月(後編)』←  →『マリア様がみてる レイニーブルー

マリア様がみてる レイニーブルー
(著:今野緒雪 イラスト:ひびき玲音)  集英社コバルト文庫
 志摩子と仲の良い乃梨子。その微妙な関係についに祥子が一石を投じ……(ロザリオの滴)
 ほんのちょっとしたはずみでまたも仲違いしそうになった黄薔薇姉妹は……(黄薔薇注意報)
 最近、祥子さまの様子が変。それには新入生であり祥子の親戚でもあるらしい瞳子ちゃんが関係しているようで……(レイニーブルー)
 まりみてもついに10巻目です。

 乃梨子の様子を見た志摩子の気持ちは分からなくもなかったり。似たもの姉妹だけれど、乃梨子の方が状況に応じた決断力がやや高そうかな……。

 黄薔薇姉妹は本当に従姉妹で姉妹にみたいに育っているからこそ、こういう形のケンカをするんでしょうねえ……。他の姉妹との対比が 面白いケンカの形だと思いますけどね。

 個人的には瞳子ちゃんの株がかなり下がりました。もともとしゃべり方がむかついていたんですけどね……。でも、話を聞かない祐巳もどうかと 思いますけどねえ。機会があったぽいのにしゃべらない祥子さまもどうかと思う。
 まあ、そんな感じで続きが気になる10巻目。
評価:3+  06/06/13読了
マリア様がみてる チェリーブロッサム』←  →『マリア様がみてる パラソルをさして

マリア様がみてる パラソルをさして
(著:今野緒雪 イラスト:ひびき玲音)  集英社コバルト文庫
 祥子さまに心の中で別れを告げた祐巳。雨の中で立ちつくす祐巳を保護したのは元白薔薇さまの佐藤聖だった。祐巳は聖に連れられ、 聖の友人らしき人の家をたずねるが……。
 マリア様がみてる11巻目。レイニーブルーの解決編ですね。

 祥子さまの理由は予想の範疇でしたね〜。でも、祥子さまはいくら口止めされていても、祐巳に理由は言うべきだったと思いますけどねえ。 おばあさまが……までは言わなくても、身内が……とかちょっとごまかして……。そしたら祐巳もあそこまで沈まなかったと思うんですけども。
 それを思うと瞳子ちゃんの登場はタイミングが悪かったと言わざるを得ない部分も多いのかなあ。
 祥子と祐巳だけの関係であれば、祐巳があそこまで嫉妬に身を焦がすことはなかったわけですし。

 それにしても聖さまは本当に美味しい役回りが多いなあ。好きですけどね、彼女。聖さまのご学友の人もけっこう好きですね。 良い人だ。
 しかし、名前も知らずに家まで押しかける聖さまはどうかと思うなあ。らしいと言えばらしいですが。
 祥子さまのお姉様もかっこいい登場でしたがね。すぐるさんとの会話が好きでした。

 さて、祐巳の妹が決まるまではこの調子でしょうかね。
 せっかくなので元黄薔薇さまも出て欲しいところですが〜。黄薔薇姉妹は二人で完結してるところがあるからなあ……。
評価:3+  06/06/14読了
マリア様がみてる レイニーブルー』← →『マリア様がみてる 子羊たちの休暇

緑のアルダ 熱砂の宮殿
(著:榎木洋子 イラスト:唯月一)  集英社コバルト文庫
 おともたちを最少の人数に絞り、身軽になったアナンシア王女一行は守護龍を持つ国ミズベを目指す。
 しかし、その道中、コーサでとらわれているはずの元王子と白髪の魔法使いの組み合わせを見つけた一行は彼らを追う。 廃墟となった遺跡に二人組を追いつめたが、そのとき不思議な力が働き、 王女一行は楽園のような幻の都市パス・エデスに飛ばされてしまう。
 守護龍ワールドシリーズ第3弾にして、集大成っぽいアルダシリーズの8巻目です。
 コバルトが図書館に入らなくなってきましたが、続きは気になるので古本屋で100円なのを買って参りました。

 う〜ん、まあいつもの榎木さんですねえ。(ちなみに、私、この方格別うまいとは思っておりません。設定やらストーリーやらが甘いなあ と思うところが多々ありますし。世界観のポイントポイントで好きなところがあるのでなんだかんだで読んでますが。しかもなんだかんだで 信者っぽい……)

 もう前巻を読んだのがいつかも忘れておりますし、したがって内容もだいぶん忘れかけております。
 しかし、寄り道多いですよねえ。今回のは意に沿わぬ寄り道とはいえ……。まあ、アナンシアにとっては良い体験になったのではないだろうか……と。 ヨールにとってはいずれは告白するだろう千年前の事件の覚悟のひとつになるのかなあ……。悟ったような態度を見せながら結局、千年眠ってたわけだし、 その分の覚悟はこの旅でしているんだろう……。

 それにしても、このラストはすべての人に幸福ではなかったよなあ……。まあ、世の中そんなもんだろうけど。

 次はミズベ入国ですね。
評価:3  06/06/15読了
『緑のアルダ 蒼い雪原』← →『緑のアルダ 水あふるる都

緑のアルダ 水あふるる都
(著:榎木洋子 イラスト:唯月一)  集英社コバルト文庫
 ついに水の守護龍を持つ国、ミズベ国に入国したアナンシア王女一行。一方で別口で旅をしているラダとルダート王子もミズベ国に入国していた。
 アナンシア王女一行は国内を見聞しつつ静かに通り過ぎるつもりだったが、ミズベ側がそうはさせず、アナンシアたちは王宮に立ち寄る。
 ラダとルダート王子はラダの旧知の魔術師バスに会いに行くが……。
 アルダシリーズ9巻目。
 ついにヨールの過去話に足がかかってきましたねえ……。
 本編を楽しむと言うよりはリダーロイスやら龍と魔法使いとの比較をして楽しんでるかも、私。ちょっと邪道ですかね。

 本編で好きだったシーンは守龍神殿のシーンですね。(榎木さん神殿好きだよなあ……)お祭りのシーンも好きかなあ。

 あ、あと付属の短編も龍と魔法使いから読んでいる身としては楽しかったですね。アルダシリーズからのみの読者に対して 補完とかされるのか謎ですが。なにせアルダの時代からだと1000年以上も前だしなあ……。

 ついに次巻でヨール過去話ですね……。
評価:3  06/06/17読了
緑のアルダ 熱砂の宮殿』← →『緑のアルダ 龍の島

緑のアルダ 龍の島
(著:榎木洋子 イラスト:唯月一)  集英社コバルト文庫
 ミズベ国でついに千年前の真相を話すヨール。
 ミズベ国の守護龍はアナンシアたちに龍の島で長老たちと話をつけることが必要だと説明する。
 アナンシアたちは龍の島を訪れ、そして試練を課せられる……。
 アルダもついに10巻目ですね。
 10巻目という節目で、話の内容も節目ですね。
 ついに東の果て半島という特殊な土地の真相が明らかになります。

 しかし、よく考えると変な話ではあるよなあ……。千年前の話はまあタギが悪い面はあるにせよ風のご婦人が悪い面の方が多いはず。なのに なぜ人間であるアルダやら、アナンシアたちが試練を受けなければならないんだろうか……。
 風のご婦人の罰が終わっているのは分かるんですが、タギの分がアルダたちに回ったとみるのが正解なのかなあ……。

 う〜ん、まあともかく、龍の島での試練はちょっと回りくどかった印象も……。あのがんばりをみての龍たちの評価が必要だったんでしょうけど。
 さて、ここからがスタートライン。アナンシアたちには守護龍ゲットに向かって頑張って欲しいところです。
評価:3+  06/06/17読了
緑のアルダ 水あふるる都』←  →『緑のアルダ 第二部〜守龍編〜 導きの泉

翠の稜線、金の夢
(著:金蓮花 イラスト:樋口ゆうり)  集英社コバルト文庫
 恩人であるサビーナ夫人のため、遙か東方を目指し、故郷ヴェネツアを旅だったアンドレアは砂漠で力尽きかけた。そんな彼を リュゥウーとなのる少年が救った。
 アンドレアはリュゥウーととともに一度は諦めかけた、崑崙を再び目指すことにした……。
 金蓮花さんの作品は私には合うのと合わないのがあるような気がします。これは合った方でしょうねえ。楽しめました。

 今、楽しめたという言葉を使ったんですが、厳密には楽しめたとは違うと思うんですよね。面白かった……とも違うし。
 この方の作品は目の前に風景を広げて見せてくれる気がします。その風景の壮大さと華麗さと繊細さに息をのまれたという感じでしょうか。

 もうひとつの注目点は著者が後書きで「異文化交流が描きたかった」と語ったように、崑崙を目指すのが西洋の騎士であるアンドレアであると いう点でしょうか。ストーリーの途中、何度か自分の信じるモノと東洋の文化に違いにとまどっている彼ですが、それを結局は受け入れてしまう……。
 この柔軟な姿勢はときに彼に無理をさせてしまうわけですが……。ストーリーそのものにつながる彼の性格はやっぱり注目でしょうねえ。

 あとはラストでしょうか……。あのラストを選ぶというのにもアンドレアの性格が反映していますが、それを選ばせてしまうのは崑崙でのアンドレアの 体験だと思います。これまでの経緯とこれからのヴェネツアに残された人々、アンドレア双方を鑑みると、 ハッピーでもベストでもなくグッドエンドというところでしょうか。

 どうでもいい愚痴。イラストレーターが気にくわない。個人的にはもうちょっと東洋風味系がうまい人を起用して欲しかった。 (具体的人名はでてこないけども〜)
評価:3+  06/06/18読了

緑のアルダ 第二部〜守龍編〜 導きの泉
(著:榎木洋子 イラスト:唯月一)  集英社コバルト文庫
 龍の島での試練を乗り越えたアナンシアたちは守龍をもとめる旅を続ける。目指すは自由な龍が多く棲んでいるという 龍の背骨山脈である。
 一方でルダート王子とラダも星竜セインから情報を得て、龍の背骨山脈に一足早く到着していた。
 アナンシアたちの旅程は主にアルダ・ココの占いに頼って進められていた。アルダ・ココはルダート王子たちの旅程をも占い、 その旅程の差に心密かに焦っていた。そんなアルダ・ココを待ち受ける罠とは……。
 アルダシリーズ11巻目。
 ようやく本当に守龍探しに入れましたねえ……。

 それにしてもアルダのお人好し具合はウルファじゃなくても心配になってくるなあ……。もうちょっと危機感を持った方が……とかいうと アナンシアもかなあと思うんですけどねえ……。自然の脅威がすごいらしいコーサ出身とは思えない……。
 アルダが心配と焦りを心に秘めちゃったその心境とかは分からなくもないですけどね……。ウルファももうちょっとだけ言葉に表してやれば アルダを追いつめることもなかったのにねえ。まあ、ウルファはその後の行動に免じて許そう……。

 この巻で起こったことというのは主人公の存在意義に関わるだけに最後には戻るだろうと確信はしていましたがね。まあ、パーティにとっては よい経験になったのではないかと思いますけどね。便利なモノに頼りすぎてはダメだ……。

 ゲストパーティのパリアさんは読んでいるうちにだいたい正体がつかめましたねえ……。
 龍の島でのあの言葉がなかったら登場しなかったかな?

 とくに好きだったシーンは落ち込んでいるアルダ・ココにヨールが「空をみろ」と教えるシーンですかね。それだけ言って去るところが なんかかっこよいなあと思ったのと、空をみろというのが、‘空→天気’で結果的に役立つだけではなくて、‘空をみる→顔を上げる’で その行動だけでなんとなく‘私は前向きよ’っていう自分をだませる部分があるからいいなあと思ったわけです。
 私も空をみなきゃな。

 どうでもいいですが、この「導きの泉」というタイトルを何度も「導きの湖」と打ってしまいました……。なんで?
評価:3+  06/06/20読了
緑のアルダ 龍の島』←  →『緑のアルダ 第二部〜守龍編〜 緋のウルファ 白のラダ

骨髄ドナーに選ばれちゃいました
(著:石野鉄)  小学館
 軽い気持ちで登録した骨髄ドナー。
 なんと、ドナーに選ばれちゃった!? ドナーに選ばれたHN鉄と2ch住人たちが送る 骨髄ドナーの本音トーク。
 古本屋で立ち読みしちゃいましたが、こういう本はいいですね。パンフレットはちょっときれい事っぽくて……とか 思って身構えてしまう人でも、こういう本だと気楽に入っていけるので、きっかけ作りには最適なのではないかと思います。
 骨髄ドナーに選ばれる人なんか、なかなか身近にはいないですし、そういう話が聞ける面でも読んで損はない本だと思います。

 Amazonなんかでのコメントを読んでいると、どうやらコレ一冊では知識が必要量に足りないみたいですが、 まあ、骨髄ドナーとはなんぞや、白血病とはなんぞや、なんて思っている人には良い本なのではないかなあ……。
評価:4  06/06/22読了

伊佐と雪〜やさしいよる〜
(著:友谷蒼 イラスト:三日月かける)  GA文庫
 妖怪を調伏する修験道の修行をする高校生、袴田幸太朗は修行をするため尊敬する祖父から弟子入り先を紹介してもらっていた。
 しかし、行き先に行ってみると、そこには袴田には妖怪にしか見えない高校生がいた……。
 伊佐と雪という名前のその高校生二人組と袴田はいつしか仲良くなっていく……。
 どことな〜く惹かれて購入。

 退魔物は好きなジャンルですし、ほのぼの系も好きなジャンルですが、それが融合するとこんな感じになっちゃうのかなあと。
 悪くはないんですが、すっごく良くもないですねえ……。
 主人公がどうにも突っ走ってしまう性格でちょっと感情移入がしにくかったのと、でてくる脇役たちがすごいヤツばかりだからか、 主人公にイマイチ華がないのが一因かと思いますねえ。
 せめてイラストだけでも主人公がかっこよければいいのに、そうでもないし……。

 読み終わってから気づきましたが、この作者さん「星の砂漠〜タルシャス・ナイト〜」の原作者さんなんですね。気づかなかった……。というか こういう作品を書く人だとは……。
評価:3  06/06/22読了

アンダカの怪造学T ネームレス・フェニックス
(著:日日日 イラスト:エナミカツミ)  角川スニーカー文庫
 遠いところにある隣の異世界―アンダカ。そのころの地球では専用の腕輪型の門を使用することでアンダカに生息する生物たちを召喚できる ようになっており、それを研究する学問、怪造が行われていた。
 空井伊依は怪造生物と共存することを夢に古頃怪造高等学校に入学した。そんな伊依は入学早々にある事件に巻き込まれ……。
 本読みの隠れ家さんが一時期、はまってらしたので、気になって通学途中の古本屋で入手してみました。
 入手してからずいぶん経って読んでいるのは積ん読好きの仕様です……。

 さて、読んでみるとぐんぐんと引き込まれて、おもしろく読めました。
 設定がけっこう細かいですが、きちんと説明してあったり、名前だけで何となく分かったりとアンダカという世界観を なんとなく示してくれて良かったですね。RPGぽくて想像しやすかったです。
 ストーリー自体は夢と希望に満ちあふれたあぶなっかしい主人公が現実の厳しくって硬い壁にぶち当たったり、結果オーライだったりと 目新しさは無いんですけどねえ。
 いま、3巻までみたいですね。伊依はこれからもっと現実の壁に激突するんでしょうけど。また古本で見つけたら読むことにします〜。

 あ〜、‘漢字+ふりがな’の用語とか‘漢字が普通はそう読まないよね?というネーミング’とかなのはパソコンで打ちにくくて困ります……。 (西尾維新もあのネーミングセンスだからあらすじ紹介で困っていたんですよ……時間かかるし、単漢字で変なの登録されるし……)
評価:3+  06/06/22読了

花に降る千の翼
(著:月本ナシオ イラスト:増田恵)  角川ビーンズ文庫
 南の島国、タリマレイ。第一王女であるイルアラは王族に必須とされる神や精霊と意志を通じる能力を持っていないため 幼なじみであるエンハスをボディガードに王位継承者と認められようと奮闘している。
 そんな彼女は隣国であり大国のバラーバルが商業港でさかえるタリマレイを狙っていると知り、 運良く来たバラーバルの招待にのってバラーバルに乗り込んでいくが……。
 またも昨年の新人さんだったり。
 少女小説〜って感じの内容でしたねえ。

 ええっと個人的には姉弟愛と犠牲愛が好きらしく、つぼにはまってしまいました……。あ、あと南国ぽい雰囲気が好きでしたかねえ……。
 う〜ん、ストーリーには入り込みやすかったんですが、ストーリーから出てこれるのも早かったですね。薄っぺらいんでしょうね 、ストーリーが。
 ええと、評価の3+は姉弟愛と犠牲愛が好きだったから……で見てもらって大丈夫です。ストーリーの評価は3ぐらいかな。ひねりもなく割とありきたり なので。

 気になったのは、キャラ紹介の時点で‘恋愛にはかなり鈍感☆’なんて書いてあったことです……。キャラ紹介を見たとたんに痛い……と 思ってしまいました。こういうことって、ストーリーで読ませることですよ!
 あとは箱入りお嬢様でもないのに、市井のうわさ話を知らなかったことですかねえ……。そういううわさ話って女の子なら意識して無くても自然に 入手しちゃってるモノだとは思うんですが〜。

 次回作はあらすじが面白そうで古本屋で100円だったら……ですかね。
評価:3+  06/06/24読了
→『花に降る千の翼 碧翠の剣

オペラ・エテルニタ 世界は永遠を歌う
(著:栗原ちひろ イラスト:THORES柴本)  角川ビーンズ文庫
 神が使わした不死者が人間たちを魔物から守っているという伝説が残る世界、そして時代。
 剣士であり、薬師でもあるカナギは故郷の人々を救うための方法を探し、暗殺集団に狙われながらも旅をしていた。
 そんな彼は、万病に効くという「命の花」を求めて、ある街の不死者を訪ねてきた。そして彼は、完璧な美貌の謎の詩人と出会う。
 巡回しているサイトさんではおおむね好評価だったのを古本屋で思いだして購入。
 なんの情報もなかったら、好きなイラストではないので、まず手を伸ばしてないでしょうねw

 読んでみるとオーソドックスなファンタジーという印象。世界の歴史としては管理に飽きた神が世界を人間に明け渡し始めた時期(3世代くらい前が神話世代) という感じでしょうか。
 文中である登場人物が「黄昏時に生まれるとつらいやな」みたいなことを言っていますが、人間の歴史としてはまだまだこれからなんじゃないかなと いう気もします。
 ただ、この言葉が世界観を表してるなあと思ったのは事実。

 登場人物ではもと暗殺集団のミリアンが好きですかね。葛藤していた時期は「デルフィニア戦記」のシェラなんかと被って見えましたが。けっこう この手の人は好きなもので。
 とはいえ、他の登場人物(主役であるカナギ、謎の詩人ソラ)なんかもけっこう好きな部類ですし、これから広がりを見せてくれそうな物語世界も 面白そうなので、続きも読むつもりです。
評価:4−  06/06/29読了

緑のアルダ 第二部〜守龍編〜 緋のウルファ、白のラダ
(著:榎木洋子 イラスト:唯月一)  集英社コバルト文庫
 復活したアルダ・ココの力。しかし、アルダ・ココにかけられた呪いは人形が存在している限り有効であった。守護剣士であるウルファは ひとりで呪いと戦うアルダ・ココを見て、ある決心を固めるが……。
 アルダシリーズ12巻目。
 守龍編2巻目ですが、守龍はまだ出てない…のかな?

 タイトルから、二人の真っ向からの対決か? とか思っていたら違いましたね。むしろ、本の半分は平和な旅ですし。

 引きで終わってはいますが、なんか最終的には戻ってくるんでしょ?と思うとあんまり気にもならず……。
 しかも恋愛がらみの展開がベタベタベタ……。(王道に非ず)
 あ〜、もう! 榎木さんだなあ。としか思えないのが半ば信者化しちゃってる私なんですけども……。(ハァ)

 あ、でも悪役であるラダは榎木さんにしては醜い感じのする悪役かなあ、と。
 まあ、守龍編はあと二冊で終わるらしいですが、コーサ復興編とラダのその後編が外伝で出て補完されるんでしょうけども。

 続き、古本屋で出回っていないかなあ。(信者の割には、新刊で買うわけではない)
評価:3+  06/06/29読了
緑のアルダ 第二部〜守龍編〜 導きの泉』←  →『緑のアルダ 第二部〜守龍編〜 占い師の宿命

 今月の感想数 19冊



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