2005年12月分の感想
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マリア様がみてる 黄薔薇革命
(著:今野緒雪 イラスト:ひびき玲音)  集英社コバルト文庫
 新聞部主催のベスト・スール賞に選ばれたのは黄薔薇のつぼみ、支倉令とその妹、島津由乃だった。しかし、 そのふたりが突如として、姉妹関係を解消してしまう。
 そして、その影響を受けた、他の少女たちが姉妹関係を解消するという事件が相次ぐ。
 そんな中で当事者である黄薔薇のつぼみとその妹は……。
 シリーズ2巻目。今回もところどころで吹き出させていただきました。

 前巻でなんとなく印象が希薄だった黄薔薇ファミリー。つぼみの妹はまったくクローズアップされていなかったので ともかくとして、特に私の中では黄薔薇さまが薄かったんですよね。つぼみの支倉さんのことを 黄薔薇さまだと思ってたくらいです。(あらすじ読んであれ?と首を傾げてました)
 ストーリーは先が何となく読めてしまうんですが、心理描写はうまいな〜と思いますね。従姉妹同士で 離れたこともなかった二人が、離れて、お互いを思う。うん、すてきです。

 祐巳が山百合会側に属しているからだと思いますが、 他の少女たちが姉妹関係を解消して騒ぎになったというところがいまいち感じられませんでしたね。
 一応あるそういう描写の場所でも、彼女たちの騒ぎ方はちょっとバカバカしく感じました。

 それにしても、本来なら渦中にいたはずの黄薔薇さまが渦中にいなかった理由がなんというか……。 そんなんでいいんだろうか黄薔薇さま。(たしかに私もあの場所は苦手ですが)

 白薔薇さまの「めんどくさいことはあっても、それは彼女たちを好きだということに対する付加価値」という 発言は素直にすごいな、大人だな、と思いました。
評価:4−  2005/12/01読了
マリア様がみてる』← →『マリア様がみてる いばらの森

クロス〜月影の譜〜
(著:毛利志生子 イラスト:増田恵)  集英社コバルト文庫
 従姉妹の真弥が失踪してから1年。飛鳥の元に一通の手紙が届く。それはハーディという男と真弥の結婚式の招待状だった。ハーディという男は 真弥と飛鳥が12歳の時に住んでいたイギリスの古城で出会い、1年前には真弥を殺そうともした男で、吸血鬼だった。
 飛鳥は真弥を救うべく、香港在住の吸血鬼退治人というレイ・シェパードという男を訪ねる。
 そこで、レイは飛鳥が吸血鬼を殺す力を持つ「フワル」だということに気づく・・・。
 毛利志生子さんの単発もの。イラストは『風の王国』シリーズと同じ方ですね。

 感想をひとことでいうなら亀ゼリー!ってかんじですね。
 ごめんなさい、ウソです。印象に残ったんです、亀ゼリー。どんな味なんでしょうか・・・。

 気を取り直して、ひとことでいうなら、びみょ〜。ってかんじですね。  全体的な雰囲気は好きなんですけど、設定がいろいろと消化不良なままなんですよね。 もうちょっと、書き込んで欲しかったかなとは思います。

 個人的に好きなキャラは自称レイの助言者シンですね。あの偉そうな態度が物語の舵のように思えてしまいました。 彼の過去話は読んでみたい気がします。
 ほうぼうで言われているハーディと真弥の話は……あまり期待しないかな。真弥が飛鳥の元を離れるに至った心境は 知りたい気もしますが、毛利さんに恋愛要素はあまり期待してはいけない気がします。
評価:3+  2005/12/03読了

灼眼のシャナ\
(著:高橋弥七郎 イラスト:いとうのいぢ)  電撃文庫
 ‘ミステス’坂井悠二を破壊するために訪れたヴェルヘルミナ。彼女は何も知らない悠二に近づき、彼を破壊しようとする。
 一方のシャナは悠二を破壊させないために動く。
 そして、語られるのは坂井悠二に宿る宝具「零時迷子」の秘密………。
 シャナ9巻。前巻を読んだのが今年の1月なもので、こそこそと存在を忘れてるものもありましたが、そこはそれ。

 前巻からの引きである、坂井悠二の破壊の件についてをあっさり解決してしまったのはちょっと意外な感じでした。 もう少し、引っ張るのかなと思っていたので。
 それにしても、冷静、無感情、無表情だと思っていた、ヴェルヘルミナもちゃんと人の子というか、執着するものには 執着するタイプの人だったんですね。悠二の破壊の件が乱れに乱れたのはは中身の「零時迷子」のことはもちろんあるでしょうが、 彼女のシャナに対する執着が大いに影響していた感じがします。

 そして、初登場なのは悠二のパパさんです。……何者なんですか、このひと、ってのが感想ですね。登場して、サッと 去っているし。いつも通りに最強な千草ママですが、どうやって、こんな人と結婚したのでしょうか……。(既にママさんが 押したと思っている)

 前巻、この巻と、割と日常ベクトルな話が続いていたので、次巻からは話が大きく動き出しそうな気がします。
評価:4−  2005/12/09読了

月下廃園2
(著:前田珠子 イラスト:江ノ本瞳)  集英社コバルト文庫
 光明神殿で人生の半分以上を過ごしてきたアヴィエンス。彼女は紫の瞳を持つ光の使いの愛し子であり、光の聖鎌をあやつれる神戦士でもあった。 そんな彼女は、消え失せていた光の聖錫を探すという命を受けて、月華の王宮を訪れる。
 そして彼女はトゥミャーンと出会う。トゥミャーンはセジュンと同じ紫の瞳を持つ彼女に好意を持ち、 アヴィエンスも自分を特別視しないトゥミャーンに好感を抱くが…………。
 シリーズ二巻目。前巻では展開を端折っている感じを何度か受けましたが、この巻ではそんな感じはないですね。 設定見せも落ち着いて、日常とそれに潜むささやかな影と、そんな幸せも長くは続かなかったのです……な部分です。(なんじゃそら)
 新キャラはアヴィエンス(某シャンプーを思いだしてしまう名前……)ですね、鎌を操る美少女とビジュアル的には 私の好みをど突いてくれそうなのですが、はまらないんですよね。性格がけっこう女らしいせいでしょうか。
 同じ女キャラならば、前巻から出ている従姉妹のスウランの方に好感を抱いています。

 次巻が最終巻。ある程度読めている気もしますが、どんな結末なんでしょうか。
評価:3+  2005/12/10読了
月下廃園』← →『月下廃園3

ニンギョウがニンギョウ
(著:西尾維新)  講談社ノベルス
 17番目の妹が死んだ。4回目の死だった。
 筋を通すため、私は映画を見に行くことにする。そして、私は熊の少女と出会う……。
 西尾氏の単発作品は『きみとぼく〜』以来ですね。
 『きみとぼく〜』とも戯言シリーズともまた違い、文章が京極夏彦のような古くさい感じです。 そして相変わらずの西尾調というのか、戯言具合というのか。なかなか特徴的な作品だと思います。
 私は古くさい文章がちょっと苦手なので、なじむのに少しかかりましたが、なじんでしまえばどうと言うこともなく。
 地の文の狂った感じというのか、つじつまが合わない感じが世界観を良く表していると思います。その一方で大筋のストーリーも きちんとあるので、なんとなく消化できました、という感じではあります。

 例によって図書館で借りたので、箱はついていませんでしたが、箱をつけて豪華装丁にするほど、何度も読みたい作品とは ちょっと思いませんでした。
評価:3  2005/12/12読了

閣下とマのつくトサ日記!?
(著:喬林知 イラスト:松本テマリ)  角川ビーンズ文庫
 え?、ギュンターが作家デビュー?
 というわけで、3つの短編集。
 マのつくシリーズも5巻目。本編を離れて短編集ですね。
 1話目がユーリと三男(ヴォルフラム)コンビの話。2話目が長兄(グウェンダル)とアニシナさんの話。3話目が次男(コンラッド)の異世界(地球)放浪記です。

 個人的にはやはり3話目が印象に残ったかなあ。ユーリの魂はあの人だったのね、という事実が発覚したり、あ〜、 やっぱりコンラッドも文化の違いにとまどったんだなあとか。(珍重してきたはずの特徴をあらゆる人が持ってるというのは一番衝撃的かも)
 1話目はクマハチのかわいさにつきますね。虫嫌いなので実際に会いたくはないですけど。

 ギュンターは無事に作家デビューを飾ったようですが、また彼の著作関連の短編集が出たりしてるのかな。
評価:3  2005/12/19読了
明日はマのつく風が吹く!』← →『きっとマのつく陽が昇る

月下廃園3
(著:前田珠子 イラスト:江ノ本瞳)  集英社コバルト文庫
 トゥミャーンは自分がセジュンを追いつめてしまったと自らを責め、アヴィエンスの勧めのままに光明神殿へと籍を移す。
 そうして、心を閉ざして暮らすトゥミャーン。
 そんな彼とアヴィエンスは再び月華を訪れることになった。月華に潜む邪性を浄化するためである。
 そして、そこには闇影神殿からもソウファルたちが派遣されてきていた。
 月華の地と過去に繁栄していた日華の関係とは――
 シリーズ3巻目にして最終巻です。

 オールスターが月華に集合し、やっとこさ、過去に縛られていた→セジュン←が解放されます。
 作者様も想像したらしいですが、途中どうしても戦隊ものにしか見えなくなってしまいました。
 ラストというか真相もだいたい想像していたとおりですね。
 ようするに過去に縛られ続けた男と生まれ変わりのお話。ということですね。

 個人的には、戦闘が終わった後に駆け寄る巻き込まれた人たちとの会話が読みたかったですね。

 最後に言うのも何ですが、前田さんの文章は私とは相性が悪い気がします。
評価:3  2005/12/20読了
月下廃園2』←

きっとマのつく陽が昇る!
(著:喬林知 イラスト:松本テマリ)  角川ビーンズ文庫
 季節は夏休み。草野球の軍資金を稼ぐため、ユーリは中学時代の同級生、村田健(ムラケン)と海の家でのバイトに励んでいた。
 そんなところで、またしても喚ばれてしまうユーリ。いつものように迎えに来たコンラッドはしかし、いつもとは様子が違った。送り返そうとするコンラッドたち の導きで、ワープはできたユーリだったが次にたどり着いたのは、敵国の中だった。しかも、なぜだかムラケンも一緒だった。
 シリーズ6巻目。
 いままでのギャグ展開がウソのようないきなりのシリアス展開です。
 う〜ん、今までのギャグ方向で行くと、シリアスシーンが主になると、ギャグが浮きますねえ……。ちょっと、 気になるかも。

 ストーリーはやっぱり、次男坊の行方が気にかかるところ。ムラケンも気になると言えば、なるんですが、『アナトゥール星伝』でも、 主人公以外が一緒に異世界に飛んだことがあるなとか思うと、あまり気にならなくなったり。

 個人的には久々の上様ユーリのチーズ星人がツボだったんですが、懐かしすぎです。
 ユーリの魔法は‘えげつない’、というよりはただ単に‘スマートじゃない’だけだと思うんですけど。

 引きが気になるので、続きを読みます。
評価:3+  2005/12/27読了
閣下とマのつくトサ日記!?』← →『いつかマのつく夕暮れに!

いつかマのつく夕暮れに!
(著:喬林知 イラスト:松本テマリ)  角川ビーンズ文庫
 敵国・シマロンで、領主様の陰謀でつかまってしまったユーリ(とムラケン)。領主の治めるシマロン内の自治区からシマロン本国に輸送されることが決まるが、 シマロン本国でも火種がいろいろとあるようで……。
 シリーズ7巻目。個人的、ヒットキャラは羊の皮を被った狼“Tゾウ”ちゃんです。

 ムラケンはゲスト召喚かと思っていたんですが、どうやらウラあるキャラのようで。キーワードは‘猊下’ですか。言われて初めてそういえば『トサ日記』のときに 魂はふたつあったなあ、と思いだしました。でも、正体はわからないや。

 次男坊は相変わらずの行方不明。ひょこっと出てきそうな気はしますが、煙瓶のところでのユーリの期待はさすがにムリだろ、と思いました。
 長男はブチッとキレてるのはわかるけど、ヒューブの言うことをちょっとぐらい聞いてあげなよ、と思ったり。このときのグレタのセリフに、 あ〜、彼女も彼女でいろいろ思ってるのね、と思いました。
 そして、三男。わがままプーも成長したなあ。ラストのいいところをかっさらっていきました。

 う〜ん、これから、どうなることやら。
 次巻は新年明けないと借りれないか。
評価:3+  2005/12/27読了
きっとマのつく陽が昇る!』← →『天にマのつく雪が舞う!

Missing 神隠しの物語
(著:甲田学人 イラスト:翠川しん)  電撃文庫
 文芸部の魔王に彼女ができた!?
 魔王こと空目恭一を知るだれもが驚く事件の翌日、彼は失踪した。
 失踪に彼女が絡んでいると睨んだ文芸部の一同は空目恭一を救出するために動き始める。
 マンガを読んで、気分が盛り上がってきたので9巻以降を読むため、再読です。1巻の内容はマンガと同じなので さらっと。
 何度読んでも、感心してしまうのが‘異存在’とか霊感が‘活性型’‘非活性型’に分かれるとか、そういう設定 の部分ですね。なんだか、すごく納得してしまう。
 キャラクターもこの時点から過去設定考えてあったのねとか思うし。(続きを途中まで読んでるからこその感想ですが)

 難を挙げるとするなら、後半、あやめが撃たれて……のあたりの展開が唐突すぎに思えることでしょうか。 霊感とかあのあたりには理論的説明がついているのに、ここの展開には説明がついていないので、気になります。
評価:4−  2005/12/28読了
→『Missing2 呪いの物語

 今月の感想数 10冊



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