時の町の伝説 (著:ダイアナ・ウイン・ジョーンズ 訳:田中薫子 イラスト:佐竹美保) 徳間書店 |
1939年の疎開列車に乗っていたヴィヴィアンは、目的地に着いたとたんに謎の少年にさらわれてしまう。
しかも行く先は歴史の流れから切り離され、時の門を通ることで逆に歴史のどこにでもいけるという「時の町」。
どうやらヴィヴィアンは「時の町」に破滅を招くという伝説の人物「時の奥方」と間違われてさらわれてしまったらしい。 本物の「時の奥方」を探すためにヴィヴィアンと彼をさらった少年ジョナサンとその仲間のサムは再び時の門をくぐるが。 |
ハウルシリーズ以外では初読みになるダイアナさんの本です。初期の作品らしいですね。(うわっ、私が生まれてから数年しか経ってないじゃん!!) 読後感想。面白かった。 時の町がけっこう特殊な世界なので、飲み込むのにちょっとかかりますが、飲み込んでしまえば、後はお話の流れに乗ってしまうだけ。 時の町の設定とかからファンタジーと思っていたんですが、ちょっと調べたらタイムトラベルの方になるんですね。まあ、そういう要素もなくはなかったですけど、 主人公たち(というか登場人物たち)がパラドックスがどーのこーのとか言わないので、タイムトラベルものとしては印象が薄かったかな。 個人的にはやっぱり、時の町の設定が好きです。遊びに行って、バターパイも食べたいですね。 時の町の設定もちょっと飲み込みづらいですが、冒頭部分はあまり集中して読んでいなかったせいか、ジョナサンとサムの違いもいまいち飲み込んでなかったです。 どっちがどっちだっけ?という感じで。中盤くらいから自然にわかってくるようになりましたけども。 一応反転→最後で明かされるまで、時の奥方はヴィヴィアンのことだと思っていました。← この本にはまったく関係ない話ですが、スミスって職人って言う意味だったんですね。(←名前だとずっと思ってた人がここに) |
評価:4 2005/10/02読了 |
今夜はマのつく大脱走! (著:喬林知 イラスト:松本テマリ) 角川ビーンズ文庫 |
魔王の偽物が現れたらしいというウワサを聞いたユーリ一行はそのウワサを確かめるためにその国を訪れる。 おともは魔族似てねえ3兄弟だったが事情によりユーリと長男の行程となる。そこでユーリと長男にはあらぬ疑いが かけられてしまい、ふたりは捕まってしまう。 |
○マシリーズ3巻目。今回ももちろんコメディです。 ユーリと一番そりのあっていない長男との手錠でつながれた逃避行。この長男は貫禄たっぷりユーリよりも魔王っぽい という人ですが、じつは意外にも可愛い趣味を持っております。別にだからどうだというわけでもないですけど。 う〜ん、実は私3巻目にしてまだユーリとコンラッドとムラケンしか名前を覚えていなかったりします。 わがままプーこと三男はだいたい性格でわかりますが名前で出てくると誰だっけ・・・と。 3巻目でこれはちょっと問題かなと思ったり。 今回はいつものパターンとちょっと結末が違いましたが、どうなるんでしょうか。 |
評価:3 2005/10/05読了 『今度はマのつく最終兵器!』← →『明日はマのつく風が吹く!』 |
札屋一蓮!〜ロマンは冥路の果てにあり〜 (著:さくまゆうこ イラスト:佐倉尚義) 集英社コバルト文庫 |
札屋が儲かりすぎ、一蓮がトラブルに巻き込まれることを懸念したレイ子は突然に一蓮の霊力をすべて奪い自らに封じた。 しかし、莫大すぎる一蓮の霊力は一介の狐の精霊であるレイ子にはとても耐えきれるものではなく、レイ子は霧散し、故郷である精霊界に戻ってしまう。 一蓮は札屋が彼女の協力なしには成り立たないことを痛感し、 古町寺の前駆をしているススキの精霊あなめに協力してもらい、レイ子を迎えに精霊界へと出かけることに………。 |
願い事を叶えてくれる霊力のこもった札を売ってくれる店、札屋一蓮の5巻目です。といっても、今回は札屋は主要な舞台ではなく、主要な舞台は
古町寺と異界ということになります。 今回の話は言ってしまえば、ナイト、姫を迎えに行く。って感じでしょうか。 一蓮の鈍感すぎる性格から言ってそうすんなりと迎えに行くことになるわけでもないですが、まあ、結末は良かったねってところですね。 作者様は一部完とあとがきでおっしゃっているのですが、本編ではそこまでの感じは受けなかったです。 |
評価;3+ 2005/10/05読了 →『札屋一蓮!〜其の男、祖の道に挑まん〜』 |
札屋一蓮!〜其の男、祖の道に挑まん〜 (著:さくまゆうこ イラスト:佐倉尚義) 集英社コバルト文庫 |
札屋の前に、商売敵お守りジロベエが建った。怒り狂う一蓮にレイ子はジロベエには何の力もないという。 しかし、翌日から状況はいっぺんした。ジロベエの孫の灯(あかり)と名乗る美少女が現れ、彼女にはレイ子がまぶしがるほどの霊力が 宿っていたのである………。 |
願い事を叶えてくれる札屋の話、6巻目です。 商売敵登場。このキャラはしばらく居座りそうな感じです。灯ちゃんも諸事情あるので残りますし。 札屋のアルバイトくん、兆(きざし)にもついに恋人候補が出現しました。とある事情で返事は保留と言うことになってしまいましたが。 この恋人候補の児玉風花ちゃん、まだ顔見せ程度ですが、どんなキャラになるやら・・。 このシリーズ、続刊が出るたびに登場人物が増えていきますが、今回登場のキャラはレギュラー化しそうです。 今回初登場のキャラでは灯が好きな部類でしょうか。天然ぼけがすてきです。そんなにムリして関西弁を使わなくても良さそうなもんですが……。 しかし、この登場人物の多さ、収集がつくんでしょうか……。 |
評価:3+ 2005/10/08読了 『札屋一蓮!〜ロマンは冥路の果てにあり〜』← →『札屋一蓮!〜神坐すゾウは像に非ず〜』 |
邪馬台洞の研究 私立伝奇学園高等学校民俗学研究会その2 (著:田中啓文 イラスト:瀬田清) 講談社ノベルス |
学校の敷地内にあるが立ち入り禁止の森‘常世の森’そこに邪馬台国女王卑弥呼の宝が眠っているという話を聞いた、諸星比夏留(もろぼしひかる)は
宝探しに挑むが………。『邪馬台洞の研究』 比夏留が近所の男の子にあげたクワガタ。それが事件の始まりだった……。『死霊洞の研究』 民俗学研究会の合宿に選ばれた場所は奇妙なわんこそばの伝説が残る土地だった……。『人食い洞の研究』 |
私立田中喜八(でんなかきはち)学園、略して私立伝奇学園。この風変わりな学校の民俗学研究会のシロートお荷物部員、諸星比夏留。
実は彼女は極限のヤセの大食いで古武道【独楽】の使い手であったりする。そんな彼女が主人公の駄洒落ミステリ2巻目です。 前作を読んだのがだいぶ前だったので、登場人物が思い出せるか心配でしたが、一応簡単な説明は本文中にあったので、前作を読んでて頭にちらっと何かが 残っていれば思い出せるのではないかと思います。 駄洒落のオチが決まってると思ったのが表題作、『邪馬台洞の研究』です。そんなオチなのかよとつっこみたくなります。 ストーリーは『人食い洞の研究』が好きでしたね。前半の人食い洞の展開はともかく、後半のわんこそば大会。 比夏留ちゃんの大食いが生きすぎです。白壁先輩にも出てもらって欲しかったですが。 短編なのでストーリー自体はすらすらと読めますし、この駄洒落ミステリにはまりさえすれば面白い作品だと思います。 |
評価:4− 2005/10/10読了 ×← →『天岩戸の研究 私立伝奇学園高等学校民俗学研究会その3』 |
風の王国 天の玉座 (著:毛利志生子 イラスト:増田恵) 集英社コバルト文庫 |
リジムの妻となった翠蘭は無事にリジムの城へと到着する。慣れない環境ながらも、前妻の子どもであるラセルともなじみ、王の司祭であるクシェンとも面通しする。
そうして慣れない環境に慣れようとする翠蘭。 そんなある日、ソンツェン・ガムポ王の使者であるケーセクが姪のジスンを伴い、城を訪れる。ジスンはリジムに妾にしてくれるよう迫る…………。 |
史実を扱っている(らしい)小説の第2巻です。 ジスン登場には、いきなしベタな展開ですかとも思ったんですが、そうなるんですか・・・。 翠蘭とリジムが不器用でいいですねえ。リジムってばそんなんでよく子供をもうけたねとは思うんですが、その子どものラセルは よい子だ。教育が良かったんだろうなあと思う次第。 個人的にはクシェンさんがお気に入りになりそうだったので残念です。 |
評価:4 2005/10/10読了 |
明日はマのつく風が吹く! (著:喬林知 イラスト:松本テマリ) 角川ビーンズ文庫 |
前回、元の世界に戻れず、仕方なく魔王業務を続けるユーリ。そんな中なんとユーリに隠し子が発覚。そんな覚えはないユーリが その子どもと面会すると子どもはいきなりユーリに刃を向けた。 |
○マシリーズ4巻目。前回元の世界に戻れなかったユーリは今回は戻れるのか。 あらすじでは殺伐とした感じを受けますが、実際にはいつものメンバーの旅がメイン。お子様同伴ですが。 このお子様がけっこうお気に入りだったりします。これからもきっと大変だろうけどけなげに生きて欲しい。 他のキャラではマッドマジカリスト・アニシナさんが本格的に登場。彼女もアクが強いキャラだなあと思います。 |
評価:3 2005/10/12読了 『今夜はマのつく大脱走!』← →『閣下とマのつくトサ日記!?』 |
虹北恭助の新冒険 (著:はやみねかおる イラスト:やまさきもへじ) 講談社ノベルス |
少女はなぜ小学校の屋上から落ちたのか。 封印された映画「妖」その謎とは。 |
話を聞くだけですべてを見通す虹北恭助の2巻目。 前巻では小学6年生だったのに、いきなり年齢が上がっていてちょっとびっくりしました。 後半の映画「妖」の話では恭助は主人公なのにちっとも出てきませんし。燃える一介の映画人の推理もいいんですが、 恭助のファンとしては彼に出て欲しいなと思うんですよね。 映画の内容がト書き調なんですが、字体を変えているなら普通に小説的にかいて良かったのではないかと思います。ちょっと読みにくさを 感じました。 |
評価:3+ 2005/10/16読了 ×← →『虹北恭助の新新冒険』 |
虹北恭助の新新冒険 (著:はやみねかおる イラスト:やまさきもへじ) 講談社ノベルス |
池のコイは何故、殺されたのか。 雪に残された不思議な足跡の謎とは……。 |
話を聞くだけで全てを見通すマジシャンこと虹北恭助の3巻目。 前巻では主役のお株を燃える一介の映画人さんに奪われていましたが、今回は復帰しています。 前巻まで、出てはいたけれどそんなそぶりもなかった二人が婚約していてびっくりしました。響子ちゃんも 中学3年生になっているし。もうちょっとゆっくり時間を追って欲しかったなとも思います。 内容では「殺鯉事件」の構成が面白いなあと思いましたが、個人的に好きな話は「聖降誕祭」ですね。恭助が でずっぱりていうのもありますが、話の内容も好きです。 恭助が今回で旅は最後と言っていますが、彼が何のためにひとり、旅をしているかと言うことが実はこのシリーズ一番の 謎だと思います。 |
評価:4− 2005/10/19読了 『虹北恭助の新冒険』← →『虹北恭助のハイスクール☆アドベンチャー』 |
札屋一蓮!〜神坐すゾウは像に非ず〜 (著:さくまゆうこ イラスト:佐倉尚義) 集英社コバルト文庫 |
一蓮が儲からない仕事で鞍馬寺に出張していた頃、札屋の留守番をする兆とその向かいのお守りジロベエのジロベエ代行の
灯には来客があった。 来客は神坐す像を探して欲しいという依頼をふたりにするが……。 |
札屋7冊目。 前巻で初登場した灯ちゃんがさっそくでてます。児玉風花ちゃんも顔見せ程度には出ていますが。 そして、また新たなキャラがちらほら。今までは純日本風なキャラばかりでしたが、ここにきて いきなしグローバルになったなあというのが感想。 もともと退魔物全般が好きなので別にかまいはしないんですが、そういう設定が出てくるとは 思っていなかったのでちょっとびっくりな感じでした。 あとは神坐す像の位置づけがでこずったわりにあっさりという感じな気がして、雑魚なのかボスなのか微妙に感じました。 新キャラ二人に関してはまだまだ謎多きな感じなのでコメントはなしですが、個人的に灯ちゃんは 好感度がアップしました。風花ちゃんは微妙にダウン。兆に背中を押すキャラが必要なのはわかるんですが、ちょっと 気にくわないので。 |
評価:3+ 2005/10/22読了 『札屋一蓮!〜其の男、祖の道に挑まん〜』← →『札屋一蓮!〜紫、札屋物語を著す〜』 |
札屋一蓮!〜紫、札屋物語を著す〜 (著:さくまゆうこ イラスト:佐倉尚義) 集英社コバルト文庫 |
札屋の向かい、お守りジロベエでは店主の孫、灯と写真を撮影するのがブームになっていた。 しかし、その写真にヘンな女性が写るようになったらしく、一蓮の元に除霊の依頼が来て……。 |
札屋も8冊目。 最初の方は読んでいて、初期の頃の札屋っぽくて、原点回帰か?と思いましたが、やっぱりそうではないですね。 今回の新キャラは紫式部さんです。アクの強いキャラに書かれていて、キャラ立ちはばっちりだと思うんですが、 妙に印象に残りません。私の好きなキャラではないせいかも知れませんが。 一方で、2,3巻目に出てきて忘れられていたようなキャラが再登場しました。ちょっとびっくり。 前巻のグローバルな新キャラが今回は結局出てこなかったので、謎はそのままになりました。まあ、奈良在住だしな。 前巻では雑魚なのかボスなのかよくわからなかった、神坐す像が意外にもけっこう重要だったことが判明しました。 そのために出てきたキャラだったんだ〜。 話は徐々にクライマックスに向かっている印象を受けますが、しかし、一蓮、あんたは鈍感すぎるよ……。 |
評価:3 2005/10/24読了 『札屋一蓮!〜紫、札屋物語を著す〜』← →『札屋一蓮!〜てらまち・札屋殺人事件』 |
式神宅配便の二宮少年 (著:イセカタワキカツ イラスト:マツダ) 富士見書房 |
地脈を利用し、とんでもない速さで夜の街を疾走する、運び屋たち。中学生の二宮少年はかけだしの運び屋。足を怪我してしまった四季状先生の代わりに はじめて一人で届け物をすることになるが……。 |
キーワード買いをした作品。(古本ですが)どこが私にとってキーワードだったかは伏せますが。 読んでみて、まず驚くのはやっぱり文体だと思います。句点(。のこと)がない。まるで詩のような文体。 厳密によく見てみると、次章に移動する前の文でだけはついているんですが、細かいことで、句点がないというのが印象に残ります。 最初は違和感を感じるものの慣れるとまあ、大丈夫ではありますけどね。 レーベルは富士見ミステリー文庫となってはいますが、ミステリーではないですね。もともとファンタジアの長編小説大賞の特別賞を受賞したらしいので、 ミステリーとして書かれた作品ではないってことがあるんだと思いますが。 話は二宮少年とその他の方々との交流を描いた小説です。 感想は、まあ普通に面白かったと言うところですね。第二脈にはちょっと驚かされました。ノリの軽い、ハートフルな話かと思っていたんですが、 ちょっと重めな話が展開されました。 まあ、第一脈でも、陰のある話は展開されますしね……。西門さん外見に反していい人だ。 どうも話よりも句点がないことにインパクトが行ってしまいますね。話も独特の雰囲気があって悪くはないんですが。 |
評価:3+ 2005/10/26読了 |
ネコソギラジカル(上) 十三階段 (著:西尾維新 イラスト:竹) 講談社ノベルス |
いーちゃんを敵として指名するラスボス「狐面の男」こと西東天。彼は13人の刺客をそろえ、いーちゃんに宣戦布告する。 対するいーちゃんも味方をそろえようとする。キーワードは加速。物語の終息に向けて収束していくための加速。 |
いよいよ最終巻が11月発売らしいので備えて、上巻を読み始めました。(時期を合わせるなんて私には珍しい……) う〜ん、読んでいるときは面白かったんですけど、読み終わったら何も残っていない気がするのは何ででしょうか。 見所はあった気がするんですけど。某二重人格殺し屋片割れの再登場とか、人類最強さんとか、玖渚友の話とか。今まで名前だけ出ていた シスコンらしいお兄ちゃんとか。その妹とか。う〜ん。 感想。感想……ねえ。う〜ん。橙色さんが出てきた時点で、この物語、なんでもありだな、と感じました。(感想かそれ?) 狐さんの語る運命論については納得できることもあったり無かったりなんですけどねえ。こういう運命論って考え出すときりがないので 普段は考えもしないんですが。 とりあえず、本州の端っこ在住の身としては、某二重人格殺し屋さんが、どうやって本州に来たかが気になるところでした。 人道トンネルはそりゃ常識的ですが、個人的には関門橋を走ってわたって欲しかったりしました。(無茶言うな。ちなみに関門橋は高速道路) 線路用トンネルを走られるのも親近感はわくんですけどね。毎日使っているので。(電車でですが) |
評価:3+ 2005/10/29読了 『ヒトクイマジカル 殺戮奇術の匂宮兄妹』← →『ネコソギラジカル(中) 赤き制裁VS.橙なる種』 |
今月の感想数 13冊 |