2005年11月分の感想
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レディ・ガンナーの冒険
(著:茅田砂胡 イラスト:草河遊也)  角川スニーカー文庫
 人間とは別に動物に変身できる各種人々‘アナザーレイス’が住む大陸での物語。
 隣国に住む幼なじみが意に沿わぬ結婚をさせられようとしていると聞いたウィンスロウ家の娘、キャサリン。彼を助けるべく、彼女は旅立ちを決意する。 そのための旅の仲間として雇った護衛は風変わりな4人組だった。
 う〜ん、茅田さんのファンタジー作品では初(たぶん)の普通の女の子が主人公の物語ですね。超人的肝っ玉の持ち主ではあるようだけど、 基本的には普通の女の子。(茅田作品の普通はちょっとベクトルがずれてるとは思いますけども)
 読んでいるときになぜだかすごく『デルフィニア戦記』を思いだしました。ただ惜しむらくはデル戦ほどストーリーにのめりこめなかった ことでしょうか。電車の中とかで細切れに読んだせいかもしれないですが、ストーリーには入り込めなかったですね。キャラはけっこう好きなんですけど。
 主人公でお嬢様だけど………なキャサリンとか、蛇のアナザーレイスのヘンリーさんとか(彼は脇役ですが)。四人の護衛の中ではダムーさんが好きですね。

 う〜ん、デル戦ほどのものを期待するのは酷と思うんですが、期待値が高かっただけに、ちょっと評価さがちゃったな。決して、面白くないわけでは ないのですが。むしろ茅田さんらしくて面白い部類に入るとは思うんですけど。
評価:3+  2005/11/02読了


ラスト・ビジョン
(著:海羽超史郎 イラスト:ヤスダスズヒト)  電撃文庫
 高校3年生の初乃素直(ういのすなお)は夏休みを利用して、友人の間ノ井忠、神無月さよりとともに、クラスメイトのなぞめいた少女、高井深奈が招待してくれた 彼女の故郷へと遊びに行く。しかし、そこは故郷と言うにはふさわしくない人工的な離島。実は高井産業の研究施設だった。
 3人は深奈になかなか会えないままに、夏休みを満喫する。しかし研究所の事件に巻き込まれ、初乃は銃で撃たれてしまう。
 そこから初乃には異変が……。
 実はこの作品、数ヶ月前にも一度読んでいるんですが、消化不良気味だったので、再読したんです。
 前回よりも消化はしたと思うんですが……。
 さきに言っておくと、話としては、意識の中でのタイムスリップもの……になるのかな。他の作品で言うと高畑京一郎の『タイム・リープ』 とか北村薫の『ターン』とか小林泰三の『酔歩する男』などが近いのではないかと思います。

 前半の事件に入るまでのノリは軽くて、読みやすいです。
 事件に入ってからは、主人公の意識がとびまくるのと、主人公の一人称視点だけではなく、他の登場人物の一人称視点などが入ってくるので、 状況の理解がやや難しくなってくるように思います。そして、主人公の意識が飛びまくることへの説明もちょっと難解な言葉でされるので、 難しい印象を与えてきます。
 面白くないわけではないのですが、タイムスリップものとしての評価は『タイム・リープ』の方に軍配を上げたいと思います。
 ただ、関西弁での会話など面白い部分もあるので、鍛練を積んだ猛者の方は読んでみてもいいと思います。
評価:3  2005/11/04読了

そういうふうにできている
(著:さくらももこ イラスト:さくらももこ)  新潮社
 この腹の中に大便以外の何かがいる!
 スッタモンダで十月十日。さくらさんがお母さんになるまでのエッセイ。
 爆笑ではないけれど、快笑はできるエッセイ。

 女性の身にのみ降りかかる、一人の身体にもう一人の身体が宿るという神秘的すぎる体験。
 それを自然な出来事として、書かれているのが良いと思う。作者の言ってるとおり、読んだからどうという本でもないけれど、 さくらさんの本全般は、ちょっと疲れてるかな、笑いが欲しいなというときに一番向いているなと思う。

 どうでもいいですが、さくらさんを担当した産婦人科医が女医さんばかりなのが羨ましくなりました。
評価:3+  2005/11/05読了

しにがみのバラッド。
(著:ハセガワケイスケ  イラスト:七草)  電撃文庫
 身分証明書ナンバー100100。だから呼び名は「百々」で「モモ」。
 命を奪う死神でありながら、真っ白な天使と見まがう容姿を持ち、人間と関わるときはその命を救おうとする。そんな変わり者な死神のお話。
 だいぶ前に購入していたのですが、その時は短編連作形式が気分ではなったので積ん読しておりました。
 もっと早く読めば良かったなあ。面白かったです。

 モモは全短編に顔を出しますが、主役ではないんですよね。あくまでも人間が主役。その人間たちが死と向き合ったときに 現れ、生への道を示す。
 高校生の文芸誌とかを読んでいるとこういうふうな系統の作品は割と多いですが、それをうまく、売り物へと昇華していると思う。さすがプロ作家 というところでしょうか。この作品を私が面白かったと感じたところにはもともとこういう系統の作品が好きってところが多分に入っていると思います。

 残念なところはモモが主役ではないが故にモモ自身の話がわからないところでしょうか。続きが出ているのでおいおいと明かされていくのでしょうが、 気になるところではありました。
 あとはちょっと専門的な話になるんですが、急性気管支炎であんなに急に死ぬことはないはずだと思うんですが……。
評価:4+  2005/11/08読了

ネコソギラジカル(中) 赤き制裁vs.橙なる種
(著:西尾維新  イラスト:)  講談社ノベルス
 西東天との第一回戦後、いーちゃんは13人の刺客たちを崩す作戦に出る。
 その作戦はうまくいくかに思えたが……。
 前回が、加速、だったせいでしょうか。今回はあまりスピード感は感じませんでした。
 というか、拍子抜けというか。前回の展開からいって、本格的戦闘に入るのかと思っていたんですが、 そうではなく、むしろ知能戦というかそんな感じですね。まあ、主人公が‘戯言遣い’だから戦闘は 向かないのかも知れませんが。
 タイトルは嘘っぱちな気がします。赤色さんの登場割合少ないですから。 その代わりに橙色さんがでばってます(寝てることが多いですが)

 う〜ん、伏せられているカードのどれくらいが、下巻で公開されるんでしょうか。 とりあえず、今回の巻でひいている、青色のことは明かされるんでしょうけど。
 個人的にはいーちゃんの本名がとても気になります。
評価:3+  2005/11/11読了
ネコソギラジカル(上) 十三階段』← →『ネコソギラジカル(下) 青色サヴァンと戯言遣い

功夫娘々☆疾風録2 軽井沢情話
(著:春眠暁 イラスト:MEE)  ソニー・マガジンズ
 義和団の乱をモチーフにしたアニメ、「功夫娘々☆疾風録」の主人公である王蓮と羅儀のコスプレをする女子高生、 真菜魅と響香。前作のコスプレ写真は話題騒然。 そのおかげで、軽井沢で行われるパーティに出席できることになった。そのパーティにはサラリーマンのコスプレをする自称・正義の味方が参加していた。
 そんな朝、テロリストの陰謀が蠢く頃、真菜魅と響香は同じ夢を見て……。
 コスプレをする普通の女子高生、二人が、コスプレのみならず、本物の王蓮と羅儀に取り憑かれ、中国拳法と仙術を繰り出す、勧進懲悪もの第2弾です。
 これだけでも楽しめるとは思いますが、私は1巻を読んだから2巻を読んだと言うだけの話です。
 主人公は普通の女子高生と言うことになってはいますが、舞台が軽井沢で、パーティ会場とテロリストたちとの戦闘に入ったりするので、あまり日常というものは感じず、 その設定は感じません。(というか、コスプレなんかする時点で、ふつうとは言い難いのかも知れませんが)
 あとがきでは、1巻のネタ晴らしをちょこちょこやっているそうですが、なにしろ内容を忘れているので、確認もできず、読み飛ばしました。 まあ、あまり気になることはなかったですが。

 ん〜、キャラはともかく、ストーリーはわりとありきたりな感じだし、どうしても押さえなきゃという作品ではないと思います。
評価:3−  2005/11/12読了

ネコソギラジカル(下) 青色サヴァンと戯言遣い
(著:西尾維新 イラスト:)  講談社ノベルス
 玖渚友と決別したいーちゃん。零崎人識とともに骨董アパートに戻ると、そこは跡形もなかった。 想影真心が暴走し逃走。残った13階段たちと、復活した哀川潤、そして狐面の男といーちゃんは再び相まみえる。
 戯言シリーズもついに最終巻です。
 読んだ直後の感想は、なんか……釈然としないなあというものでした。謎の大部分が、ちょっと透明度を上げたくらいで、 そのままにしておかれたせいだと思います。まあ、今までの戯言シリーズの展開上、不思議でもない気もしますが。

 ストーリーは一言で言うと零崎でばりすぎ!だと思います。零崎一賊シリーズの方との関連かなと思ったのですが、なにぶん零崎一賊の方は未読なので、 未確認です。
 あとはいつもにもまして、戯言が戯言に見えたことでしょうか。私が展開を急いで読んでいたのかも知れませんが、読んでいる目が何度も数行先に走ってしまうのを 止められませんでした。
 ラストは17幕を読み終えたときにバッドエンドを覚悟していたのですが、ハッピーエンドな部類の終わり方でした。まあ、 いーちゃんにサラリーマンは似合わないよなあ。言い訳ばっかりしてそう(笑)
 以下つぶやき→展開上伏せられた情報で個人的に一番知りたかったのは、やっぱりいーちゃんの本名だなあ。 狐さんとの対戦前に名乗ってるじゃん!「×××××」って、あんたはキノですか。
結局、いーちゃんの本名を知って死んだのはそうするといーちゃんの妹だけなんだよね……? 玖渚は微妙だけど生きてることには変わりないし。


 結末には不満やらなんやらいろいろありますが、まあ、久しぶりに物語の中に入り込んでいたらしく、夢でいーちゃんたちを見ました。 どんな内容だったか覚えておらず、最後に呼んだ「いーちゃん」て言葉だけが頭に残っている妙な夢でしたが。
評価:4−  2005/11/15読了
ネコソギラジカル(中) 赤き制裁VS.橙なる種』←

キノの旅\ ―The Beautiful World―
(著:時雨沢恵一  イラスト:黒星紅白)  電撃文庫
 しゃべる二輪車、エルメスと、それに乗って旅をする旅人キノの話。9巻目。
 さすがに全部にあらすじ付けていると大変なので略。

 今回初めて、登場人物紹介がついてますね。師匠の相棒があんなにハンサムだったんだ、と思ってしまいました。いや、ハンサムとは書いてあるんですけど、 彼の行動を読んでいるといまいちハンサムなイメージがわかなかったもので。
 そして、キノの旅(時雨沢本の?)の醍醐味ともいえる、あとがき。あれ? ふつう?と思ったら、ある仕掛けがしてあるという……。 でも、私が読んだ本にはブックカバーがかけてあったので、ある仕掛けの部分は読めてないんですよ。残念。

 さて、各話、一言感想などを。(ネタバレするので、・・・の後は反転です)
「なってないひとたち」・・・前にも見たことのある形式ですが、3人の旅人の比較ができるのは読んでて楽しいですね。 あの展開で師匠がキレなかったのか、ちょっと気になります。
「城壁の話」・・・開かずの扉の中ではどんな人々がくらしていたのでしょうか。
「悲しみの中で」・・・ab逆転の意味があったのかなかったのか。キノの中ではありがち系に属する話。
「記録の国」・・・なんで、キノの世界の人々は何でも徹底的にするのだろうか。
「いい人たちの夕べ」・・・失礼なことをいわれた代金が3割……なのでしょうか。
「作家の旅」・・・こうやって、稼げたら、ラクだよなあ。話末のイラストに笑いました。
「電波の国」・・・シズ様の思いはこの国に伝わらないだろうなあ。
「日記の国」・・・なんで、みんなが同じ日記を書かなくちゃならないんだろうか。
「自然保護の国」・・・う〜ん、そんなもんか。これから生えるかも知れない樹よりも、かつて樹が生えていたという事実が大事なのね。
「商人の国」・・・商人魂に笑いました。副題もぴったりだし。だからこそ、彼は大成したんでしょうけど。
「殺す国」・・・師匠の意外な才能発見。でもこの人大概なんでもできちゃうなあ。胃も強靱だし。それにしても迷惑千万な国だな・・・。
「続・戦車の話」・・・いやあ、バッドエンドかと。戦車としては、事実を突きつけられてきついかもだけど、これから第二の人生(?)が始まるさ。
「むかしの話」・・・ティーも無事におばあさんになったということでしょうか。陸視点以外からのシズ様たちの話もいいものですね。 女の子が欲しい国の、ティーのパンチに笑いました。犬が欲しい国は3人パーティが板に付いてきたかなという感じがしました。
「説得力U」・・・師匠だけが、キノを育てたわけではないんだな、と。 ずるくても何でも、キノが学んでいるのは生き残るための術だから、武器に固執してはいけない、ということですよね。
評価:3+  2005/11/16読了
→『キノの旅] ―The Beautiful World―

夏の庭 The Friends
(著:湯本香樹実)  新潮社
 小学生ワルガキ3人組。彼らは人の死ぬ瞬間を見てみたいという不純な動機で、町はずれに住む独居老人を観察し始める。
 しかし、観察し始めてから、老人は日増しに元気なっていき、観察はいつしか交流へと変わっていってたのだが……。
 有名な話なので読んでみたのですが、面白かったです。

 3人のワルガキたちの悪ガキっぷり、それに対する老人の性格。
 次第に仲良くなっていく様子も丁寧に描かれていて、その光景が頭に浮かんできます。

 近々、祖父の法事があったりするのですが、これを読んでから、なんとなく祖父の気配が 感じられます(笑)
評価:4  2005/11/16読了

天国の本屋 恋火
(著:松久淳+田中渉)  小学館
 ピアニストの健太は不況のあおりを食って、オーケストラをリストラされた。そして、安酒場でくさっているときに、謎のアロハシャツの男に 誘われ、天国の本屋の期間限定アルバイトとして働くことになる。そこで、出会ったのは、「椿姫」を読んでくれと頼む女性だった。
 一方、飴屋の娘、香夏子は商店街復興のため、花火大会を開催しようと東奔西走していた。願わくば、「その花火を見ればふたりの恋が成就する」という 伝説の花火をあげたいのだが……。
 『天国の本屋』と同じ設定の、別の主人公たちの話です。こちらが映画の原作のようです。

 前半のへたれ青年が、物語が進むにつれて、才能に気づく、っていうのは、『天国の本屋』と同じですね。 そのぶん、へたれの健太が「椿姫」の女性と話すシーンはやまですね。
 個人的には飴屋の娘、香夏子のがんばりに拍手。伝説の恋する花火を上げるための東奔西走ぶりはすごいです。

 ストーリーはご都合主義に見えてしまうところもあって、 全体的な感動度などは『天国の本屋』の方が上かなと思いますが、あちらの設定が気に入ったのなら読んでみても損はない作品だと思います。
評価:3+  2005/11/21読了
天国の本屋』←

散歩屋さんの事件簿
(著:麻城ゆう  イラスト:下村富美)  小学館パレット文庫
 大学生の結城勇樹(ゆうきゆうき)は叔母の経営する「ふれんど散歩社」で、犬の散歩屋のアルバイトをしている。
 いつものように、ミステリー作家、桜大作の愛犬、ラッシーと散歩をしていると、誰も住んでいないはずの広い庭のある洋館から子犬が一匹飛び出してきた。 その子犬を助けたことで、勇樹はその豪邸の娘、御影百合花の愛犬ポンの世話をすることになる。
 折しも、百合花の父でステンドグラスで有名な建築デザイナーだった御影祥三郎の遺産であるその洋館の分配のために、何人もの人々が集まっていた。
 まず、一言。面白かったです。
 散歩屋さんと聞いて、動物がばりばり出てくる小説か?と思ったら、違いました。(まあ、出てくることは出てきますが) ステンドグラスの似合う本格洋館が舞台で、遺産相続のために人々が集まり、主人公は内部のメイドと通じた、第三者。と、いかにも殺人事件が起こりそう。(笑)
 遺産を目当てに集まってきた人々の誰がどんなでと勇樹くんにメイドさんが報告してくれるのを、私も好奇心で見ていって、ページが進んだ感じですね。
 遺産分配で招かれたアイドルという設定の美和さんが個人的には好きでした。気の使い方がストレートではなく、けっこう意地っ張り。どうもこういうお姉さんに弱いです。

 意外だったのは、勇樹と百合花の関係ですね。ライトノベルの常道を行くかなと思っていたんですが。
 コナン的ミステリー@平和風味なものをお求めならおすすめな感じです。
評価:4  2005/11/24読了

月下廃園
(著:前田珠子  イラスト:江ノ本瞳)  集英社コバルト文庫
 生まれてまもなく尋常でない力を顕した少年、トゥミャーン。彼は精霊の祝福を受けた子供だと証明されるまで、月華の王族でありながらも 周りから隔離された、魔術師たちの結界の中で育った。
 そんな彼を誘ったのは母方の従姉妹であるスウラン。彼女は王宮の一角でありながら植物の生えない、通称「廃園」で、存在しないはずの月の精霊が見えると 彼を誘った。彼はそこで、悲しげに廃園に佇む青年、セジュンと出会った。
 そして、彼は王宮を離れ、学びの苑のひとつ風の苑へと旅だち、セジュンが忘れているという彼の過去を調べようとする………。
 『天を支えるもの』を読もうと思っていたんですが、あちらは完結していないので、こちらを読んでみました。

 う〜ん、なんというかストーリー全体の雰囲気が、今のアニメ絵などのカラーインクとかCGとかのペカッとした感じよりも、 水彩画なんかのちょっと明度の落ちた感じとか風景だと霧がかかってかすんだ感じとかが似合う作品だなと思いました。
 このキャラが一押し、というキャラはいませんでしたが、主人公であるトゥミャーンが風の苑で仲間たちと出会い、成長していく様子は 読んでいてよかったです。
 ストーリーの展開はこれから、な感じですね。この巻もいろいろありましたが、設定見せ程度な感じがしましたし。
評価;3  2005/11/25読了
→『月下廃園2

マリア様がみてる
(著:今野緒雪  イラスト:ひびき玲音)  集英社コバルト文庫
 私立リリアン女学園、中学までの義務教育期間とは違い、高等部では、清く正しい学園生活を送るために いつしかできた姉妹(スール)という制度があった。姉となる先輩が後輩にロザリオを与えることで、姉妹となることが誓われ、 姉である先輩が後輩を指導していくのである。
 高等部に進学して半年。まだ、姉を持っていない祐巳は、リリアン女学園の生徒会といえる赤白黄の薔薇の一人、赤薔薇さまの妹で あり、祐巳が憧れていた赤薔薇のつぼみである2年生の祥子から突然の姉妹宣言を受ける……。
 有名どころなシリーズ。今になって読んでみました。(しかも予約が入ってるから返せと図書館から催促されてる微妙な状況)

 百合、という言葉をどこかで聞いていたので、殿方同士のラブラブ女性バージョンが展開されてたらイヤだなと今まで逃げていたのですが、 ぜんぜんそんなことなかったです。むしろ高校、大学と意図せずに女子校に通っている身としては物語に入りやすかったかなと思います。
 女同士でラブラブ……なのではなく、あの先輩かっこいい、と憧れる方の心境ですね。(自分の中では把握できる感情だったりします(笑))
 先輩方も後輩である自分の妹をかわいがってみたり、いじめてみたり。そんなやりとりが読んでいてすごく楽しかったです。

 ストーリーのラストは展開が読めてしまいますが、それでもそこまでの積み重ねが生きていて良かったです。

 後は名前か。赤薔薇(ロサ・キネンシス)とかはルビが振ってあるから覚えていられるけれども、赤薔薇さまの名前、黄薔薇さまの性格、となってくると まだ、厳しいものがあります。まあ、シリーズを読んでいけば、解消されるでしょう。
 ストック済みの次巻に突入することにします。
評価:3+  2005/11/30読了
→『マリア様がみてる 黄薔薇革命

 今月の感想数 13冊



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