2008年09月分の感想
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アンゲルゼ ひびわれた世界と少年の恋
(著:須賀しのぶ イラスト:駒田絹)  集英社コバルト文庫
 夏が終わり、季節は秋。2学期が始まった学校では、体育祭や文化祭といった恒例行事が目白押し。文化祭では覚野、楓、西原というメンバーが有志として中学校では今まで触れたことがなかったというアンゲルゼ史の展示に挑み始める。
 一方で、AASTには本土から新たに敷島付きの副官として樋口が赴任していた。一見、人当たりが良い彼の真意とは……。そして、陽菜の身体にはとある異変が現れており……。

 アンゲルゼ3冊目。  一言で言えば、陽菜ちゃんが痛々しくて、樋口さんがうざくて、一般ピープル学生組(もーちゃん、楓、西原のこと)が頑張ってる! って感じですね。

 陽菜ちゃんは本当にもう痛々しいです。いや、もちろんほかの未孵化である湊とか有紗なんかも痛々しいな、とは思うんですが、やはり主人公ですしね……。どうやらしょってるモノの重さも違うみたいですし。
 樋口さんはなんかうざい。いや、彼は彼できっと本土よりの考え方で考えてるんでしょうけどね。そういえば、もーちゃんが本土情報を微妙に知ったようでしたが、本土と島のかけ離れ具合はやはりなにか秘密のかほりがしますね……。
 学生組は……もーちゃんよりも個人的には西原君が意外。けっこう出張りますね。彼w そして、楓ちゃんも初登場時より確実に成長している感じですし。もーちゃんはやっぱり一番青春ではありますけどね! 自分が子供であることに歯がみしながらも向かっていこうとするその姿勢がすばらしいと思います。

 あ、ラストの爆弾は……どうなんでしょうね。ちょこちょこ伏線もありましたし、ま、覆りそうにはないですが。どういう経緯があったのかとか非常に気になる。

評価:4−  08/09/02読了
アンゲルゼ 最後の夏』←

帝都万華鏡 桜の頃を過ぎても
(著:鳩かなこ イラスト:今市子)  講談社X文庫ホワイトハート
 給費生として一高に入学した石木琢馬は桜の下で出会った美しい青年、高市京介にかつてない感情を抱く。京介とは会話をかわすこともないままに日々を過ごす琢馬だが、とある放課後、自作の詩をしたためた雑記帳を忘れ、教室に駆け戻る。そこで雑記帳を読んでいたのはあの京介だった。
 時は過ぎ、琢馬は金持ちの息子である京介の協力を得て、文壇デビューをはたしていた。一高時代の友人でもある横山春洋の絵もあり、仕事は順調であり、嫁も迎えていた。男3人の友情はゆるやかに穏やかに続くかと思われた。しかし、琢馬の嫁であるせつ子の死を境にその関係を変わっていく。

 はい、地雷!……というか、自分から飛び込んだんですけどね……。
 イラストが好みなので発売当初から気にはなってたのですが、あらすじが明らかにBLなので、敬遠しておいたのです。ですが、どっかに「BLだめでも読んでみるべきな良作」とか書いてあったのでつられてみました。

 たしかに雰囲気は非常によいのですよ。風景描写、人物描写ともに良いと思います。大正に入ったばかりという時代設定で、その時代の貧乏出身な詩人、金持ちの次男坊。吉原出身の放蕩な男という3人の関係がゆるやかに時に劇的に描かれていて、濃厚でよろしいと思います。
 ですがね、問題はBLシーンです。
 とっても肉体的に絡みます。エロい。……じゃっかん読み飛ばしてしまいマシタ。いや、こういうのがクセになるという人がいそうなのも何となく気持ち的にわかりましたけどね〜。私は苦手です。

 と、いうわけで評価として雰囲気に酔わせていただけたので4−で。BLじゃなかったら4+ぐらいつけるんですけどね〜。新シリーズがノーマルものだったら読んでみてもよいかなと思います。ですが、続きもこのシリーズで出すようなので可能性はとっても薄いですね。

評価:4−  08/09/22読了

最後の夏に見上げた空は
(著:住本優 イラスト:おおきぼん太)  電撃文庫
 戦争の負の遺産である遺伝子強化兵。国民から無作為に選ばれた彼らは望まぬ力の代償に17歳での死を運命づけられていた。遺伝子強化兵の1人であり、すべての記憶を失った少女、小谷順子は編入先の北四尾高校の門をくぐっていた。そこで彼女は柊菜摘という少女が巻き起こす騒動に巻き込まれる(最後から2番目の夏)
 夏のある日、小谷は保護者である名門亮一と散歩に出かけ、瀕死の小鳥を拾い……(いつか鳥は空へ)
 ようやく、クラスに紹介された小谷。うまくやれそうだと思っていた矢先、クラスメイトである太一に大事にしている腕時計を盗られてしまい(絆のかたち)
 名門、小谷、そして運転手役の桂木は街まで買い物に出かけた。しかし、買い物を済ませたころ出会った少女に振り回されてしまい……(夕日の向こう、月明かりの下)

 ぽやんとしたお嬢さんと照れ隠しで口べたな年上保護者の同居もの。買った当時、有川浩の「塩の街」を読み終わったばかりだったのでかなり雰囲気が心の中でかぶっておりました。実際、読んでみると冒頭部分とかベタなキャラ設定とかは似てないこともないのですが、読み進めていくと払拭されました。いや、ベタではあるのですが。
 雰囲気が非常に良いです。

 あらすじで17歳までしか生きられない少年少女たちの話と言うことはわかってますが、一話目でいきなりヘビーな現状がわかったり。小谷と名門のかつての関係とはという疑問が投げかけられてみたり。1話目の後半と2話目は他の小谷と関わる遺伝子強化兵の話も出ますね。それぞれがかなりせっぱつまったような青春をしている印象です。
 17歳で死ぬという運命が待っていても、意外とふつうな高校性生活を送っていますね。柊さんみたいなのはいるにしても。まあ、受け入れざるを得ないという所ではあるのでしょうが。
 3話では彼らが暮らしている街にお出かけ。遺伝子強化兵の家族の気持ちも描かれてみたり。

 全体的に小谷の気持ちを丁寧に追うと共に、小谷が暮らす環境もかかれているので風景も想像しやすい感じですね。
 ただ、読み終わって思ったのですが、小谷の名門の過去はふっておいただけで描かれていないんですよね。続編に描かれるのでしょうが、この一冊だけで見ると、3話目はいらんから過去話を! ってなるかも……。2巻3巻はゲットしてあるので続きは読みます。

評価:3+  08/09/25読了




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